7月はマレーシア情緒が満開
観光文化イベントが目白押し
(文・写真:アサネギシ)
観光シーズンの7月はマレーシア情緒が感じられるイベント満載で華やかなムードに包まれる。なんといってもマレーシアのお国自慢はマレー、中華、インドというアジアの三大民族がそのまま国内に共存する多様性。一国にいながらにしてアジア全体を感じることが出来る国なのだ。
7月1日からは先頭を切って『クアラルンプール(KL)祭06』が開幕。開会式にはナジブ副大臣が出席し、「ショッピングする場所でもビジネスに来るだけの場所でないことを知って欲しい。KLを文化都市として認知してもらいたい」と語り、フェスティバルがKLの新しい顔となることを希望した。
文化・芸術・遺産省が主催のKL祭は音楽、演劇、工芸、芸術などのイベントが31日まで、国立劇場(イスタナ・ブダヤ)、国立博物館、国立美術館、国立工芸?などで行われる。
●KL祭のイベント予定はこちら
http://www.heritage.gov.my/upload/kalendar/jadual.html
また8日からは恒例の観光フェスティバル『チトラ・ワルナ・マレーシア』が行われる。今年は「マレーシアの色と趣」をテーマに各民族とマレーシアの地に咲いた混合コミュニティーの伝統・近代文化を紹介するミニイベントが全国の主要都市のショッピング・センターや公民館などで行なわれている。この時期観光客がどこを訪れてもイベントを観ることができるようになっている。
なかでもおすすめは7月14日から16日までKL、アンパン通りにあるマレーシア観光センター(MTC)で行われる食の祭典『チトララサ・マレーシア』。
会場ではホテルや食品関連企業、芸能人による128もの屋台が出展され、名物料理が楽しめるほか、薄餅(ポーピア)を60時間ノンストップで作り続ける記録に挑戦するイベントが行われる。また、メインステージでは地元アーティストによるコンサートもあり。期間中は最寄の鉄道駅までの巡回バス運行も午前2時まで延長される。
●チトラ・ワルナ・マレーシアの情報はこちら
http://www.tourismmalaysia.gov.my/en/events/
最新タイ情報はここをチェック!
Asian Heart Beatでは、アジアの各国から届く時折々のトピックスを紹介しているが、アジア各国にも現地に住む日系人向けの法人紙や情報サイトがある。いつくかの情報誌は、神田にある「アジア文庫」など、日本国内でも販売されているが、現地ではフリーペーパーとして配られているケースも少なくない。
さてそんな現地情報満載の冊子やWEBサイト、もちろん現地に住む人々にとっての貴重な情報源ではあるとともに、遠く日本からその国の情報を知りたい人にとっての重要なツールでもある。今回紹介するのはタイの最新情報をぎっしり詰め込んだ情報誌「newsclip」のWEB版「newsclip.be」。
日本語総合情報サイト@タイランドとコピーがついたWEBは、英語もタイ語もNGという日本人には心強い情報源だ。カテゴリはニュース、ビジネス、をはじめ、食や住、治安情報などもあり、このサイトで丸ごとタイの情報を手に入れることができそうだ。特に治安情報などは、読者より寄せられた過去の事例を公開しており、事件や事故への遭遇を未然に防ぐための貴重な情報源となるだろう。
そろそろ夏休みの予定をあれこれ考えている読者の皆さんも多いことと思うが、ホテルやレストランのレビューや、インタビュー記事も充実しているので、これからタイへの旅行を考えている人は目を通しておくと良いだろう。
■日本語総合情報サイト@タイランド newsclip.be
http://www.newsclip.be/
newsclip右下の「ニュースクリップブログ」はタイに住む社長のリレーブログ「社長の和」や、駐在員の妻がバンコクでの日々を綴る「駐妻のサバーイライフ」など、タイでの生活感溢れる日常を伺いすることの出来るブログが並んでいて、読み物としても面白い。
なお、誌面版はバンコク国際空港(ドンムアン空港)のタイ・ホテル協会のブースにおいてあるので、バンコクに到着したら真っ先に手に入れよう。ブースにはnewsclipと共に、現地の人気邦人誌「DACO(ダコ)」も並んでいる。両方持って行くのがオススメだ。
活況を呈するモーターショー
自動車市場のビッグバンが始まるマレーシア
(文・写真:アサネギシ)
東南アジア諸国の中でもっとも乗用車が販売されている国はマレーシアだと聞けば多くの人は意外だと思われるかもしれない。しかし、乗用車の年間販売数は約 50万台と、タイやインドネシアといった国を上回っているのだ。もっとも人口も2倍以上で経済的に実力をつけつつあるタイに1位の座を受け渡すことは時間の問題なのだが、マレーシアの所得格差の少なさや道路の整備率などを考えれば自動車普及率の高さも頷けるはずだ。マレーシアにはプロトンという国産車メーカーがあったり、F1開催国であることなど、“自動車大国の野望を抱く”知られざる国なのである。
さて3月26日から4月4日まで首都クアラルンプールで国際モーター・ショーが開催された。今年は例年の1.5倍の16カ国から242企業が参加。ショーは 2日目までに5万7千人を集め、例年を軽く上回る人気ぶり。「なぜか?」それは3月にマレーシアの新自動車政策が発表されたことにある。
マレーシアは自動車産業を基幹産業として位置づけており、長期にわたって国産車メーカーの保護策を続けてきた。プロトンもマハティール前首相が手塩にかけて育ててきた観がある。2000年から発効したアセアン(東南アジア諸国連合)自由貿易地域(AFTA)もマレーシアのこういったお家事情があり、自動車に限っては05年まで先送りされてきたのである。新政策では今年3月から輸入車の関税が大幅に引き下げられ、今までお金持ちしか手に出来なかった海外メーカーの自動車需要に火がつき始めた。
会場で目だったのは日本メーカーの力の入れよう。トヨタはコンセプト�・カーの展示、ホンダは二足歩行ロボットASIMOのショーを行い大勢の人を集めている。三菱や日産、韓国メーカーも大スペースで新車種を積極的にアピール。勢力的には日韓が欧米を圧倒している印象だった。
いままでモーターショーといえば、限られた車種を展示してあるだけで、単にショールームが移動してきただけという風景が2006年、大変貌を遂げた。
一方、競争時代に勝ち残らなければいけない国産メーカー、プロトンは傘下にある英国の名門ロータスの新車種展示が目玉。ロータスでブランド力を強調した意図だが、プロトンとしての新車種はなく、どうしても見劣りしてしまう。国内メーカーで元気なのはダイハツのOEM生産をしているプロドゥアや韓国のキアに続き、フランスのプジョーの車種をラインアップに加えたナザ。国産価格で実質的に外国車が買えることで地元の人々は注目している。日本メーカーは地元ブランドとの提携の面でも三菱はプロトン、日産はトラック部門でハイコムというメーカーと手を組んでおり、アジアの自動車大国としてきっちり存在感を示している。
モーター・ショーは学校休暇にあわせて開催されていることもあり家族連れも目立つ反面、美人コンパニオン目当ての若者たちも多く見られた。モーター・ショーの風景からも先進国との時差もいよいよ縮まってきたマレーシアの姿が実感できる。
竹下通りよりお勉強? 今どきの修学旅行
「東京へ修学旅行」といえば、東京タワーに東京ドーム、ディズニーランドに竹下通り・・・と思いきや、最近の中学生はそんなに簡単には遊ばせてもらえないようだ。
5月中旬、銀座のあるオフィスに中学生のグループが入ってきた。あたりはオフィスビルが建ち並ぶ銀座のビジネス街、制服姿の彼女たちはいやがおうにも周囲の目を惹く。宮城県の七ヶ浜町立向洋中学校から修学旅行でやってきた彼女たちは、総合学習授業の一環としてマレーシアの貿易について調べるべく、マレーシア貿易開発公社(Matrade)を訪れていた。
ムスタファ所長のにこやかな出迎えを受けて、固くなっていた表情に笑みがこぼれる。ところで彼女たちはなぜここに来たのだろうか。現在、中学では“総合学習”という科目が組み入れられており、担当教員の大寺先生によると「2年生の終わり頃から、政治経済、スポーツ、科学、美術、文学歴史、国際理解という6 つのカテゴリの中からそれぞれに好きな1つを選択」する。この中で「国際理解を選んだ約20名の生徒たちはさらにアジアの国々の中から「ブルネイダルサラームの観光」「アジアの民族衣装」「中国と日本の観光」「マレーシアの貿易」「韓国について」といった具合にテーマを決め学習。修学旅行で東京に行く機会を使い、テーマに相応しい機関を先生が選び、アポイントを取って直接訪問。他のグループはASEANセンター、日本ブルネイ友好協会、中国国家観光局、国際理解教育センター(ERIC)、あーずぷらざなど、訪問先も様々」だ。
2泊3日のスケジュールで来た約130名の生徒たちは、初日こそ東京ディズニーランドを楽しんだものの(午前中国会議事堂を訪ねているのだが!)、翌日は 1名から2〜3名単位に分かれて、合計9つの商店街にある沢山のお店に行き、職場体験として実際の仕事を経験。最終日は各テーマに合わせて会社や機関を訪問と、遊びの要素は非常に限られており、せっかく東京に来たのだから…と記者は少々気の毒に思った。
5人の代表を務める日高彩さんは、なぜマレーシア?という問いに「日本とマレーシアは貿易が盛んだと聞いて興味を持ちました」と恥ずかしそうに答えていたが、展示フロアにピューター製のディズニーグッズを見つけると、はしゃぎながら写真を撮ったりする普通の中学生に戻っていた。
ムスタファ所長は「弊社に来て、実際にマレーシアの製品やマレーシアの情報に触れてもらうことで、将来の日本を担う若い人たちに、マレーシアに対して興味を持ってもらうことは非常に良いことだ」と、これからもこういった生徒の受け入れを積極的に行っていきたい考えだ。
ゴム手袋の秘密
2006年5月16日(火)東京、赤坂にあるホテルニューオータニで「SELECTING THE RIGHT GLOVES」と題したセミナーが開かれた。
アジアンハートビートでなぜ手袋なのか・・・。それは今回のテーマが天然ゴム製の手袋ということと無関係ではない。現在世界中の天然ゴムの75パーセントは、タイ・マレーシア・インドネシアの3国で生産されており、石油などと同じように、三大天然ゴム生産国の供給事情が価格にも影響するほどのシェアを占めている。天然ゴムはさまざまな商品に用いらているが、その伸縮性や柔軟性などの性能面や、天然素材であることの安全面から、医療用、食品加工用として使われる天然ゴム製の手袋は高い需要がある。中でも、マレーシアは天然ゴム製手袋のクオリティーも高く、今回のセミナーはマレーシアゴム輸出評議会(MREPC)とマレーシアゴム手袋工業会(MARGMA)が共催し、業界内では認知の高い「天然ゴムアレルギー」に対する現状と、それに対する業界の取り組みを通じて、用途に応じた手袋選びとは何なのかを解説。
「天然ゴムにアレルギー?」東南アジアがゴムの主要生産地であることを知っている人はいても、アレルギーについてまで知識を持っている人はそう多くはないかもしれない。現在では、さまざまな研究機関、学者などによってより細かいデータや、対応策がとられているとのこと。天然ゴム手袋は病院や歯科医院はもちろん、食品加工場、大学や研究機関、その他素手で触ることを避けなければならない現場など、沢山の場所で使われている。それにしても、天然ゴムアレルギーの存在が知られるほど患者が激増した背景には、エイズの蔓延によるゴム手袋の需要増と大量生産があるというのはなんとも皮肉なものだ。
マレーシアの癒しが一冊に
『リゾート&スパ・ガイド』が刊行
今、アジアへ旅行する人達に人気のアトラクションといえばスパもその一つ。中でも優雅な雰囲気でゆっくりとくつろげる国マレーシアはスパ・リゾート地としても有名だ。
『リゾート&スパ・ガイド』は、そんなマレーシアの癒しのトレンドを楽しむための一冊。同書ではKL近郊で開店ラッシュが続く新趣向のデイ・スパだけでなく、マレーシア有数のリゾートも取り上げ、女性だけでなく家族でも楽しめる場所を紹介している。もちろん人気のランカウイやコタキナバルのリゾートも特集。デイ �・スパ、ビューティー �・サロン、ネイル・サロンのページはサービスやトリートメントを丹念に紹介しており、日常の疲れを癒したい方にはおすすめの一冊。(協賛店で割り引きが受けられる読者特典カードも付属)
現在、マレーシア国内では日系デパートや日本人が多いコンドミニアムなどで無料配布中の当冊子をAHBでは読者プレゼントとして20冊を先行入手!
ご希望の方は「リゾート&スパ・ガイド希望」と書いたメールをahb@aisa.ne.jp宛にお送り下さい。
『リゾート&スパ・ガイド』問い合わせ先
LINXMAS SDN BHD
Fax : 03-58911725(マレーシア) E-mail : linxmas@csc.jp
Shall We Malay Dance?
アジアの国々にはそれぞれ特色を持ったいわゆる「民俗舞踊」がある。日本国内をみただけでも、例えば富山県の「風の盆」や徳島県の「阿波踊り」、沖縄へ目を向ければ「エイサー踊り」と、リズム、メロディーはもちろんのこと、踊り手の衣装や立ち振る舞いなどが全く異なる踊りが存在する。
ワクを世界に広げればその違いは一目瞭然!
きっとその国の新しい魅力に気づくことだろう。
衣装も鮮やかなマレーシア舞踊
愛・地球博のパビリオンでも人気の的だった各国の民俗舞踊団だが、これからの季節、マレーシア政府観光局のPRイベントとして、各地のホテルやショッピングセンターなどで、マレーシアの民俗舞踊を見ることが出来る。一度足を運んでみてはいかがだろうか?
スケジュールは・・・
(社)日本マレーシア協会のサイトにて
伸びゆくアジアの健康食品 SUPPLYEXPO
4月4日から5日に渡り、東京国際フォーラムにて世界中の健康食品・素材を集めた「SUPPLYEXPO」が開催された。
日本国内における健康食品、および関連製品の市場は順調に右肩上がりの成長を続けている一方で、ヒット商品はアメリカをはじめとした海外製品であるという事実もあり、当イベントでは日本発の優れた製品を海外へ紹介するという面も持っている。主催者のヘルスビジネスマガジンによると、2日間の合計来場者数は10,660人と、最終日は雨にもかかわらずどちらも5000人を越える関係者が訪れたとのこと。
SUPPLYEXPO「健食原料・素材・OEM展2006」
4月4日(火)〜5日(水)
東京国際フォーラム
主催:株式会社ヘルスビジネスマガジン社
協力:ニューホープ・ナチュラルメディア社
後援:財団法人日本健康・栄養食品協会/社団法人日本通信販売協会/NPO全健協/NNFA JAPAN/日本チェーンドラックストア協会/中国医薬保健品輸出入商会
会場を歩いてみるとアジア勢では中国企業の健闘が目立つ。日本企業に混じって、漢方をベースにした商品の説明を流暢な日本語で行っている中国企業もあった。
さて、その中でAHB取材班が足を止めたのが、日本ASEANセンターだ。日本ASEANセンターでは、まだ流通の決まっていないASEAN諸国の企業と、日本国内の流通業者を巡り合わせるというキューピッド役を業務としており、もちろん健康食品に限らず、食品や家具、各種加工品など、非常に多岐に渡る商品を対象としている。5月からは2ヶ月間に渡って、銀座にある常設展示場にて「ASEANヘルス&ウエルネス展」が開催される予定で、SUPPLYEXPOの出展企業以外にも、ASEAN諸国から健康食品や、スパ関連商品を扱う企業が出展する。
インドネシアの健康食品「ノニ」をタブレットにしたもの。
「日本にはジュースが入ってきていますが、独特の香りと味に抵抗がある人も多く、飲みやすいタブレットはニーズがあると思います」(日本ASEANセンター貿易部 山本さん)
■ASEANヘルス&ウエルネス展
2006年 5月17日(水)〜7月31日(月)9時30分〜17時30分
日本ASEANセンター常設展示場
入場無料(土日・祝日は休館)
アジアの食材が幕張に!
3月13日(火)より4日間にわたり「FOODEX JAPAN 2007 /第32回国際食品・飲料展」が幕張メッセにて開催される。
今年で32回を数える同展は、日本全国はもとより、世界77ヵ国・地域、約2,250社から選りすぐりの食品・飲料が出店されるアジア・環太平洋地域最大の食品・飲料専門展示会とあって、期間中は約100,000名の業界関係者が集まり、それぞれに活発な商談が行われる。企業毎の展示ブース以外にも、業界のトップランナー達によるセミナーやカンファレンス、最新の食のトレンドを紹介する展示コーナーなど、サイドメニューも充実の4日間。
8つあるホールのうち、5つは海外メーカーによる出店であり、アジアの食材も大いに期待出来そうだ。
食品・飲料に携わる人であれば入場可能なので、アジアの食材に興味のあるかたは足を運んでみてはいかがだろうか。
【16歳未満・お子様連れ入場不可】
FOODEX JAPAN公式サイト
http://www.jma.or.jp/foodex
日時:2007年3月13日(火)〜16日(金)
10時〜17時(最終日は16時30分まで)
会場:幕張メッセ(千葉)
麻生あかりのYANGON日記 Vol.2
第2回 ベビーシッターの怪
ミャンマーでは人件費が途方もなく安い。従ってお金持ちだけでなく、仕事をしている母親はベビーシッターを住みこみで雇って子供の面倒をみてもらうのが一般的だ。日本人から見ると「なんて羨ましい!!」と言われそうだが、そんなわけで私も当然のように子供の為にベビーシッターを雇ったわけである。ちなみに彼女は48歳独身。ベビーシッター暦31年という。
自身満々の彼女に、私は「日本とミャンマーでは多少やり方が異なること」、また「どうしても守って欲しいこと」だけを簡単に説明したのだった。それからというもの、彼女のズボラな性格、機関銃のような話し方、子供を寝付かせる時の奇妙で甲高い子守唄、何かと口答えをする自身満々の態度・・・等々に度々「カッチ〜ン」ときつつも
「ここはミャンマー。目をつぶる事も大事。日本人とは違うのだから」
とお経のようにつぶやいては自分をごまかしていた。
2か月後・・・。
それは静かな目覚めの良い朝であった。以前から「子供が泣いたら、粉ミルクをお湯に溶かしてあげて下さい。作りおきは厳禁です」と何度も何度も口をすっぱくして言い聞かせていた私は、ベビーシッターがミルクの作り置きをしている現場に遭遇した。クーラー完備とはいえ熱帯地方のミャンマーである。腐るのは早いし、だいたい子供は時間通りにお腹がすくとは限らない。お腹が空いて泣くのは子供の唯一の自己表現、せめてミルクくらいはちゃんとしたものを飲ませてあげたい。それが私なりの母心である。
私「どうして今ミルクを作っているの?」
ベビーシッター「もうそろそろ起きるから。」
私「この2が月、泣いてからミルクをつくるようにず〜っと言ってきたけど、どうして言う事を聞いてくれないの?」
ベビーシッター「子供が泣いたら可哀想でしょ。」
私「あのね、私が子供の母親なの。私はあなたにお金を払ってあなたを雇っているの。泣いたら可哀想なのは私も同じ気持ちだけど、ミルクが腐ったら困るし、泣いたらあげてと何度も何度も言っているでしょう?」
シッター「腐ってないよ。別に見た目何ともないし。」
おいおい・・・見た目でわかったらとっくにアウトだろうと軽く青筋をたてつつ、しかしここで怒ったら日本女子の名がすたる、「つとめて冷静に冷静に」と自分に言い聞かせ、
私「とにかく、子供が泣いてからミルクを作って下さい。」
とお願いすると
シッター「それを言われる度に毎回イヤになるわ。ホント仕事辞めたくなるのよね」
と言い放った。
あまりの言いっぷりに、怒りをも吹っ飛び「ぽか〜〜ん」とバカみたいに口をあけてしまった私は思わず
「辞めたかったら辞めてもらってもいいのよ」と即答したのであったよ。その後、彼女は家族に私への愚痴をこぼし、全員から「雇い主の言う事を聞くのは当たり前ジャン」と冷たくあしらわれると、逆ギレして出ていった。「信じられない」。この一言につきる。ところがミャンマーでは例え雇われている立場であろうと、次の日から職が無くなって困ろうとも、「やりたくない事は絶対にやらない」という人が圧倒的多数だ。しかも、
「自分が間違っていようといまいと」である。
特にベビーシッターに関しては、色々な人から同じ様な話を聞く。皆揃って言うのは「ベビーシッターは本当に我侭でやりたい放題である」と言う事。しかし、子供を人質に取られているのと同じなので、なかなかクビに出来ないし、新しい人を探すのも難しいので、頭にきつつも我慢しているらしい。
私の聞いた中で一番凄いベビーシッターは、ある日母親が仕事から帰って来ると、ミルクビンの飲み残し、子供の服の脱ぎ散らかしなどが色々な所に散らばり、足の踏み場もないほど荒れ果てた家の中で平然とテレビを見ていた! 母親が「何をしているのか?」とただすと、ベビーシッターは「私はミルクビンも洗わないし、洗濯もしない。ミルクを作ることも本当はしない」と言い放ったそうだ。怒った母親が「それならあんたは今日1日何をしたの?」と問い詰めると「ミルクを飲ませてオムツを買えて寝かせた」(もちろん、その後ミルクビンもオムツもそのままかたずけずに放置)と威張って言い放ったと言う。完全にキレた母親は「今すぐ荷物をまとめて出ていけ!」とその場でクビにしたらしい。日本だったら、そんな事をしたら2度と同じ職には就けないと思うのだが、ミャンマーでは次の日に平然と違う人の家にシッターとして働く事ができるらしい・・・。人件費は安くて良いのだが、何か間違ってる。いや絶対おかしいぞ!!
麻生またしてもミャンマーの片隅でバカッ!!と叫ぶの巻きであった。
●麻生あかり
日緬合作映画「血の絆」の映画撮影後、本格的に語学留学をするため渡緬。その後結婚し、現在ミャンマー在中。