*

秘密兵器!

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 謎の怪魚ウモッカ

そうそう、言い忘れていた。
無策無能な私たちにも今回たった一つだけ「秘密兵器」がある。
ウモッカのトゲ・フィギュアだ。
(正確にはトゲ付きのウロコ・フィギュア)
最初はウモッカの全体像のフィギュアを作ろうかとも思ったが、全体像にしてしまうと
曖昧な部分までくっきりとしたイメージが形成されて誤解を招きやすいし、大きさの感覚も狂ってくる。
そこで、目撃者のモッカさんが「これがなによりも印象的だった」というトゲのみを、
実物大で再現することにした。
問題は誰に作ってもらうかということだった。
造型で有名な海洋堂や、個人でやっているプロのフィギュア職人に頼むつもりだったが、時間があまりないし、特注なのでお金もけっこうかかってしまう。
でも、なんとか作りたいので、モッカさんにあらためてトゲの形や色について訊いたところ、驚いたことに、
「なんなら、ぼくが作りますよ」と言う。
モッカさんは美術系大学を卒業後、しばらく造型屋さんをやっていた。
つまり、プロなので、自分で作れてしまうのだ。
てなわけで、目撃者であるモッカさんがじきじきに作ってくれた。
お金もタダ。かわいい手製のケースに入って送られてきた。
未知動物探しで、こんな幸運に恵まれることは稀である。
さて、肝心のトゲだが、見た本人が作っているので、これ以上正確なものはない。
驚かされるのはその大きさと鋭さである。
話では「バラのトゲみたいな感じ」と聞いていたが、実際見ると(あくまで彼の記憶にしたがって作られたものだが)、バラのトゲどころじゃない長さだ。
こんなものが背中にびっしり生えていたのかと想像すると、モッカさんが繰り返し言っている「すごく気持ち悪い」「不気味な魚」という感想がやっと少し理解できた。
魚類の専門家にもこのトゲ&ウロコを見せたが、
「こんなトゲを持っている魚はフグ目しかない。でも、フグは全然形がちがうし…。化石魚類でも思い当たらない」
とのことだった。
やはり、相当異様な特徴のようだ。
このフィギュアを現地の人に見せれば、絵を見せるだけよりもずっとわかりやすいだろう。
もしかしたら、このトゲだけなら漁師の家の片隅に転がっているかもしれない。
それを見つけるだけでも重要な「証拠」となる。
モッカさん、どうもありがとうございます!

関連記事

no image

出発

今日からインドへ出発します。 ウモッカを見つけ次第帰りますが、そうでない場合は3月13日が帰国予定日

記事を読む

no image

さらなる衝撃!

大勢のみなさんから比較的温かいコメントが多数寄せられた。ありがたいことです。 (特に英語版の要望には

記事を読む

no image

無事?出発

謎の巨大魚ウモッカを探しに、とうとう高野秀行がインドへ旅立った。 同行するのは「ワセダ三畳青春記」(

記事を読む

no image

ウモッカ探しの方法&発見時の手順

ウモッカ探しの方法、…と言っても前に書いたように妙手があるわけではない。 地元の漁師に聞きとり調査を

記事を読む

no image

インド・ウモッカ・プロジェクト始動!

いよいよ、インドの謎の怪魚「ウモッカ」探しへ出かける体制が整った。 まず、探索計画は20年前の「コン

記事を読む

no image

ウモッカ手配書

今朝、「ウモッカ手配書」が印刷所より届いた。 モッカさんによるスケッチ、同じくモッカさんによるトゲ付

記事を読む

no image

IUP公式Tシャツ&ロゴができる!

目撃者のモッカさんがわれわれのために、インド・ウモッカ・プロジェクト(IUP)公式Tシャツを作 っ

記事を読む

no image

驚愕の真相(その2)

気をもたせたまま、前回のブログを「つづき」にしてしまった。 みなさん、キタ君のことをご心配だと思うが

記事を読む

no image

キタ帰る

先週の土曜日、キタ先発隊長が無事にご帰還された。 色は日焼けと垢と埃で真っ黒、インドで買ったぺらぺら

記事を読む

no image

驚愕の真相

みなさん、ごぶさたしてます。高野秀行本人です。 私は実は現在日本にいる。というより、ずっと日本にいる

記事を読む

Comment

  1. kaba より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; CPT-IE401SP1; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 1.1.4322)
    インドで新種の巨大魚発見

    http://kaba.2ch.net/stationery/kako/1012/10128/1012891221.html

  2. kow より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)
    stationeryという時点で……

  3. きたしろ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    インドネシアのカリマンタン島(ボルネオ島)で新種の肉食動物も発見(?)されたって世界自然保護基金の発表もあったみたいすね。
    発見ラッシュ?

  4. 二村 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Mac_PowerPC)
    え?ほんとですか?
    私は明後日からボルネオ(マレーシア側)です。

  5. きたしろ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    ネットで、"カリマンタン島" "新種" "肉食動物" ・・・あたりのキーワードで検索すると先日の記事がけっこう出てきます。
    WWF(どうしてもプロレス団体に聞こえる・・・)が追跡調査中とのことなのでまだつかまってはいないみたいです。
    二村さん11/5イベントあったんですね。しばらくサイトのぞいてなくて行けなかったです。次行きます。

  6. 二村 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Mac_PowerPC)
    高野さん また連絡に使っちゃってごめんなさい。
    きたしろさん どうもです。
    灯台もと暗し。今日のマレーシアの新聞『TheStar』紙上で
    カラー写真およびカラーイラストで紹介されていました。
    civet様の動物ですね。
    まだまだ未知の動物がみつかるんだなーと思うと
    ウモッカ発見の可能性も高まる気がするじゃーありませんか。
    tokuさん、PNGのアンボイ島の翼竜ですが、
    ポートモレスビーおよびLae(レイって発音でした)の人々は、
    『伝説は聞いたことがあるけど、いるとは思えない』
    というシビアな発言をする人が数人いただけでした。
    『狐の顔をした翼のある大型動物だ』という伝説だそうですね。
    個人的には飛行船で調査するのはどうかな?
    なんて思いましたけど。<馬鹿だなー俺
    メールアドレス書きます↓ので、そちらへご連絡ください。
    お邪魔しました。

  7. Renea Mason より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 1.1.4322)
    [url=http://pumkf0og9k5o2q40.com/]0ju3tai8j303t9cb[/url]
    [link=http://17kwfj9l0odym8ej.com/]5lkq1dyf3ewfqp04[/link]
    <a href=http://1u9asln6lq0x00zt.com/>rcp3vucyk9yb98h1</a>
    http://0q2trfl1qtbiigri.com/
    辺境・探検・冒険ブログ 

  8. Dell Conway より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US; rv:1.8.1.11) Gecko/20071127 Firefox/2.0.0.11
    [url=http://pumkf0og9k5o2q40.com/]0ju3tai8j303t9cb[/url]
    [link=http://17kwfj9l0odym8ej.com/]5lkq1dyf3ewfqp04[/link]
    <a href=http://1u9asln6lq0x00zt.com/>rcp3vucyk9yb98h1</a>
    http://0q2trfl1qtbiigri.com/
    辺境・探検・冒険ブログ 

  9. Dorothea Walsh より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US; rv:1.8.1.7) Gecko/20070914 Firefox/2.0.0.7
    [url=http://pumkf0og9k5o2q40.com/]0ju3tai8j303t9cb[/url]
    [link=http://17kwfj9l0odym8ej.com/]5lkq1dyf3ewfqp04[/link]
    <a href=http://1u9asln6lq0x00zt.com/>rcp3vucyk9yb98h1</a>
    http://0q2trfl1qtbiigri.com/
    辺境・探検・冒険ブログ 

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年11月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
PAGE TOP ↑