驚愕の真相
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
謎の怪魚ウモッカ
みなさん、ごぶさたしてます。高野秀行本人です。
私は実は現在日本にいる。というより、ずっと日本にいる。
インドに行かなかったわけではない。
行ったことは行ったのだが、なんとカルカッタの空港で入国で捕まってしまったのだ。
三年前、ビザなしで入国し、その後強制退去させられたことがあり、その記録が残っていたのだった。
前々からその心配はしてはいたのだが、インド大使館でビザが普通に下りたため、
「あー、もう問題ないんだ」とホッと胸をなでおろしていた。(これについてはブログでもちらりと触れた)
ところが、大使館(=外務省)とイミグレ(=警察)では組織がちがい、ブラックリストも異なる。私は大使館はOKだけどイミグレはNGという状態にあり、つまりは二つの官僚組織間のクレバスに落ちてしまったというわけである。
結局、尋問を受けたあと、三日間拘束された。
空港の出発ロビーに説明もなく軟禁され、まるっきりトム・ハンクスの「ターミナル」みたいな状態だった。
イミグレの方も、私がちゃんとビザを持っているのにコンピュータ上では入国禁止人物になっているから、処置に頭を悩ませたようであった。
そして、四日目、突然呼び出された私は、マレーシア航空の飛行機に押し込められて、インドを後にすることとなった。
そして、12月17日に「帰国」した。
パスポート上では「どこへも行ってない」のに帰国したのである。
「恥ずかしながら日本に帰って参りました」−−そう言ったのは、戦後30年も経ってフィリピンから帰国した小野田少尉だが、私も気持ちは同じである。
ただ、小野田さんは帰るのが遅すぎ、私は帰るのが早すぎたという決定的なちがいがあるが。
それにしても…。
「ウモッカを捕まえ次第帰るので帰国は意外を早まるかもしれない」などと公言していたが、まさか自分本人が真っ先に捕まってしまうとは夢にも想わなかった。
まさに人生一寸先は闇である。
あまりにショッキングであり、誰にも会いたくない。
あれだけ大々的に宣伝していったのだから、みなさんに会わす顔もない。
姑息な私は、入国失敗&帰国をひた隠しにし、自宅にこもり、「日本国内極秘潜伏」を続けていた。
事情を知らせたごく一部の友人及び関係者の人たちは私のことを「現代のアンネ・フランク」と呼んでからかった。
言い訳をするようだが、私もなんとかみんなに気づかれないままインドに戻れないか、いろいろと画策をした。
コンピュータがまだ導入されていない陸路の国境イミグレからインドに入国しようとか、妻と離婚して別の女性と結婚し、その人の姓になってパスポートの名前を変えるとか、考えられることは全て考えた。
だが、結局、それも断念した。
ここで違法行為を繰り返すと、一生インドに入国できなくなったり、インドに入れても見つかって懲役10年くらい喰らったり、日本の外務省を敵にまわしてパスポートを取り上げられたりする可能性がある。
そして何よりもただでさえ芳しくない私の評判が地に落ち、ひいてはウモッカそのものもダーティなイメージを背負って、もし見つかったときに大変な問題になってしまう。
そんなこんなで、最終的にはインド大使に直訴の手紙を書き、直接交渉するという正攻法を選んだが、それも進展はかばかしくない。
私は身もだえしながら、大晦日の曙VSボビーとか吉田VS小川の世紀の一戦などを観戦し、年を越した。
いっぽう、インドでは「吉田VS小川の世紀の一戦が見てえ!」と身もだえしながら、たった一人、ウモッカ現地調査に励んでいる男がいた。
相棒のキタ君である。(つづく)
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気をもたせたまま、前回のブログを「つづき」にしてしまった。 みなさん、キタ君のことをご心配だと思うが
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Comment
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な、なんと!
もしかして、今もインド警察に拘留されていると思ったら
そんなことになっていたとは……(つ∀`)
こうなったら、キタさんにがんばってもらわないと
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なんとそうでしたか。
ボクも引きこもりでアンネ・フランクしていました。
高野本読者ならば、これも想定内ではないかと。
インドの臭い飯でカレーを10年食べるよりも、ボクのすむマレーシアに出没のうわさがある“ビッグ・フット”と呼ばれる未開人を捜索にいきましょう。
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え。。
キタさん、どないしてるんですか・・・?
かわいそぉですぅ・・・
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インド上陸&ウモッカ捕獲という大目的がひとまず頓挫してしまった事実は誠に残念至極ですが、失礼を承知で言わせていただくならば、そのような高野さんご本人にとってはある意味致命的とも言えるトラブルですら、この時期にこのような一級品の“読み物”として綴られることころが、高野秀行が高野秀行たるゆえんである、と僕なんかは強く思ってしまいました。
無力ながら応援し続けます。
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考えようによっては、「どこへも行ってないのに帰国する」は、
誰にでも出来ることではないです。
ほとんど「このはしわたるべからず」と書いてある橋をわたった
一休さんみたいだ。
身もだえしながら見た大晦日格闘技戦も含めてぜひまた本に
詳しく書いて欲しいです。
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はははは。らしいといえば、らしいですね。
相棒のキタ君の続報、お待ちしております。
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年末にSさんとカルカッタを急襲して、一緒にウモッカを探そうかと言っていたところだったのだけれど、行かなくてよかった(笑)。高野さんがアンネフランクになった気持ち、よくわかりますが、私としては「高野さんらしすぎる!」と思っちゃいました。他の人には絶対できないですもん。ウモッカではなく、別の生命体を探せ、という神のお告げでは?
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それは大変でしたねぇ。私も「西南シルクロード・・・」の件がありましたので心配してました。でも無事でよかったです。
ところで私本屋に勤めてるんですが、本屋大賞ていうのがこの頃あるんですが、最近2006年のノミネート作品が決まりました。残念ながら高野さんの名前はなかったですね〜(>_<)
やっぱり恋愛ものとか強いのかも?怪魚探しの話も面白そうでしたが、こうなったら純愛もので賞ねらいっちゅうのはどうでしょうか、うふ!
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大変でしたね。自分の手で捕まえること出来なくて悔しいですね。
でも高野さんなら日本でも出来ることは色々あるでしょうから、体調に気をつけて頑張って下さい。
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う〜ん。
何と言ったら良いか…。
しかし大変なことになっていなくて良かった。
こんなこともあるのだなあ。
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タイのプーケットかピピ島あたりからはアンダマン諸島までは船(といっても釣り船かダイビング船ですが)が出ているようですよ。
アンダマン諸島に「入国」できれば多分カルカッタ等での入国審査はないはず。「1はず=50%」としても0.5×0.5×0.5=12.5%の確率でタイ経由で
インド入国は出来るかも知れませんね。
と、いうかその前にアンダマン諸島ってベンガル湾の真っ只中。Uタウンまで出かけなくてもアンダマン諸島でウモッカが見つかるのかも知れませんね。
請う再挑戦!
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やっぱり、高野さんの作品は海外向けですよ。
Mr.Bill.
Please introduce good translater for Mr.Takano.
I believe he has much big market in overseas if somebody can translate
& publish his works.
I would like to his works into the world market.
Not only for small Japanese market.
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My Malaysian wife is reading "shore beyond…"now.
Her comment is "why all of your friend is like this?"
I shouted at her!
"No!, there is no one like Takano Hideyuki!"
but I talked to myself "…Except for Taro…."
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I want to add one name to ex-comment.
"….Nimura…."
He is greatest and most dangerous guy in the world as well as Taro.