PLAY FOLK SONGS〜WORDS4.5〜

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 年が明けてからヘビィな仕事の連続で、それこそ寝る間もないほどのてんてこまい。やっと開放され、平穏な日々(?)に戻りました。
 何回かに分けて、これらの仕事について紹介していきましょう。
 まず今回は、石川鷹彦さんのニューアルバム「PLAY FOLK SONGS〜WORDS4.5〜」のお仕事。
 鷹彦さんのソロアルバムシリーズで、「WORDS4.5」というサブタイトルからもわかるように、このアルバムはオリジナル曲を収録したものではなく、フォークの名曲を現在の鷹彦さんのテイストでアレンジしたカバー集です。吉田拓郎・かぐや姫・風・アリス・さだまさし・森田童子といった、鷹彦さんが関わってきた曲に加え、サイモン&ガーファンクルからも2曲収録されています。
 で、このアルバムのレコーディングにどう関わったかというと…。
 まず、レコーディングに入る前に、「マスターリズム譜」と言われる譜面を作成しました。今回はカバー集なので、基本的にはオリジナル音源を基にしています。そのオリジナルを聞いて、メロディー・コード・主なリフ・キメなど、曲の骨格になる部分を採譜し、すぐにレコーディングに取りかかれるように譜面化します。手書きの譜面でもいいと言われたんですが、なるべく見やすくするために、きちんと浄書(出版レベルのきれいな譜面に清書すること)してお渡ししました。
 実際のレコーディングが終わったら、TD(トラックダウン)という作業に入ります。これは、個別に録音したいろんな素材をまとめ、バランスを整えたりさまざまな効果を付けたりして、一つの楽曲として仕上げていく作業です。
 年が明けてすぐ「Yoshi、TDには来るんだろ?」と誘われ、恵比寿のスタジオに行きました。作業が進むうちに「このフレーズ、ディレイで追いかけてみたらおもしろいんじゃないですか?」とアイデアを出してみたところ、「んじゃやってみよう」と快く聞いてくださり、採用されました。「Yoshiのせいで作業が1時間よけいにかかったわい」と、いつもの優しい毒舌をはきながらも、かなりご満悦なご様子。
 ほかにも、0.001秒単位の微妙なタイミング補正や音質チェックなど、鷹彦さんやエンジニアの方と一緒に、完成へ追い込んでいきました。
 そして、このアルバム全曲を完全コピーした譜面集の制作作業。
 CDになった音はいろんな楽器の音が混在しているので、聞き取りにくかったり埋もれていたりするものなのですが、今回はレコーディングした直後のレアなバラ音源を素の音でお預かりしました。おかげで、和声や弾き方はもとより、ポジションや細かいニュアンスまで完璧にコピーすることができました。
 また、ギターだけではなく、マンドリン・ブズーキ・バンジョーといった生楽器など、CDに盛り込まれている音を全て譜面化して網羅してあります。
 日本のフォーク・ニューミュージックを支えてきた神様の音を、素の音で聞くことができた上に、畏れ多くも意見まで取り入れていただき、鷹彦さんの懐の深さをあらためて実感しました。とても充実した楽しいお仕事でした〜。
 このCD、絶対にお勧めですので、ぜひ聞いてみてください。昔聞いたあのメロディーが、時には姿を変え、時にはより以上に切なく、心にグッと迫ってきます。
 ギターをやっている人は、ぜひスコアを見てみてください。CDの音がそのまま譜面になって目に飛び込んできて、ゴッドハンドの秘密がひもとけるはずです。

石川鷹彦
PLAY FOLK SONGS〜WORDS4.5〜
SCORE
ドリーム・ミュージック・ファクトリー(2010.02.24)
http://shop.d-music.co.jp/4_25.html
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