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出版界史上初の企画「メモリー・クエスト」

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 みなさまへ告知&ご報告


このたび、幻冬舎のweb誌上にて、私の新しい企画が始まった。
名づけて「メモリー・クエスト」。
今まで世界の辺境で探しものをしてきた私が、今度は、人の記憶の辺境を探そうというものだ。
いや、行くのは、実際に世界の辺境なのだが。
具体的にどういうことか。
例えば、あなたが昔、タイへ行ったとき知り合った女の子と帰国後も文通をしたとしよう。でも、あるとき不意にそれが途切れ、終わってしまった。
「あの子は今、どこで何をしてるんだろう?」ときどき、あなたは思い出す。
別にその子に熱い思いがあるわけじゃないけど、どこか気になる。できれば、今どんな暮らしをしているのか知りたい。できれば、もう一度会ってみたい。でも、連絡のとりようもない…。
そんな人のかわりに、私がその子を探しに行くのだ。
上の話はあくまで例である。
探したい人は何でもいい。「10年前、インドで俺を騙したやつ」でも「熱射病で倒れていたところを救ってくれたおじいさん」でも「一生に一度という情熱的な恋をしたけど、約束の時間をまちがえたため、二度と会うことができなかった相手」でもいい。
いや、人じゃなくて「モノ」だっていい。
「10年前、イランで力道山のポスターを見て、すごく驚いたが、買いそびれてしまった。なんとか入手できないか」とか、「アフリカで世界でそこにしかないという酒を飲んだけど、その酒の名前も具体的な場所も忘れてしまった」とか、「別になんの変哲もない仏像をネパールで見たけど、なぜかそれがいつまでも忘れられない」というのでもいい。
探す人やモノの条件はないが、場所については若干ある。
日本および先進国はなるべく避けてほしい。というのは、そういう場所は興信所や探偵社に頼めばある程度は調査が可能だからだ。
金でも解決がつかないような依頼が望ましい。
もっとも私の興味を引けば、日本でも先進国でも行く用意はある。
さて、手順である。以下のとおりに進めたい。
1.そういう依頼内容を幻冬舎のwebに応募していただく。
2.私がその依頼について、一つ一つウェブ上でコメントする。
3.興味をひかれた依頼については、ご本人に直接お会いしてお話をもっと細かく訊き、そのインタビューについてもウェブ上で記事にする。
4.その中で最も興味をひかれた依頼を1つか2つか3つ、厳選して、
来年(2008年)、現地に実際に探しに行く。
5.一つ一つの依頼についてのコメントから始まり、その経過と結果をウェブ上で発表し、いずれは単行本化する。
6.「革命的ノンフィクション!」と絶賛され、大宅賞と講談社ノンフィクション賞、読売文学賞、新潮ドキュメント賞、坪田譲治児童文学賞などを総ナメにし、一躍大ベストセラーになる。
以上のような皮算用、いや予定である。
とにかく、自分がほんとうに心にひっかかっていることであれば、どんなトンチキなことでも、どんな平凡なことでもかまわない。
かえって、平凡すぎるものに私が惹かれることもあるかもしれないし。
少なくとも、私は何かそれについて真剣にコメントをするつもりだ。
あなたの遠い記憶がとてつもない物語になるかもしれない…。
応募方法などについては幻冬舎ウェブをご参照くだされ。
http://webmagazine.gentosha.co.jp/memoryquest/memoryquest.html
(写真:太平洋をバックに立つキタ2号の勇姿)

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Comment

  1. COM より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows 98)
    先日上石神井の駅で高野クンと俺と一緒に待ち合わせしてた
    ミャンマー人に会いたいっ!!
    でもきっと夢の中の話だから無理だろうなぁ・・・^^;
    マジで数日前にこんな夢見たんだよね。
    で、たまには・・・と思って書き込みしてみたヨ!!
    ちなみに学院のCOM@多摩です^^
    メールのとき以来だネ♪

  2. 太郎 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    了解です。
    こりゃ、面白そうな企画ですね。
    応募させて貰います
    高野さんでなければ行けない場所がいいですね(笑)
    少し間違えたら危なさそうな・・・・・

  3. タカノ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    夢の中かあ…。
    いくら私でも無理ですね(笑)。
    あと、危なきゃいいわけじゃないですから。
    とにもかくにも、まず応募してください!

  4. マカロニ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.0.3705; .NET CLR 1.1.4322)
    すごい!
    とっても探して欲しい人がいます。
    応募してみます。

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    • あ、そうだったんですね。名監督の知られざる一面を描いているし、著者ご本人の青春記風でもあり、『嫌われた監督』を彷彿させました。落合夫人とサッチー夫人もよく似てるし(笑)いや、面白かったです。 https://t.co/66kmDl74FN ReplyRetweetFavorite
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