スパム対策

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 いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
 さて、当ブログでも最近にわかにスパムコメントが増大してきておりまして、その対策に追われておりましたが、このたびシステム上でシールドをかけることに致しました。今後、欧文のみのコメント・トラックバック(ローマ字のみも含む)は、ブロックされて受け付けないようにしましたので、ご報告致します。
 海外文化圏の読者の方々にはご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、なにとぞご了承くださるようお願い致します。

最近の飲ン方(ちゅうても先月)
友人の結婚式二次会にて。嫁さんがビール持って飲む気まんまん。
(9/10 新浦安ブライトンホテル)
吉野中30期6組同窓会「信道塾」関東支部第一回会合。
幼き頃、毎日を共に過ごした、すてきなおば…お姉様達と。
(9/16 新宿 鹿児島酒処ふるさと)
一年間の研修を終え、秋田へ凱旋帰国する友人と一緒に。
(9/20 江古田 登美)
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ついに校了!

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 鷹彦さん特集を初めとした、記念すべきアコースティック・ギター・マガジン-vol.30、すべてを校了しあとは発売を待つばかりとなりました。鷹彦さんの公式ホームページ管理人さんのブログでも紹介して頂きました(ありがとうございます、管理人様)。
 近いうちに、打ち上げを兼ねて、鷹彦さん自宅兼スタジオにお邪魔して、一緒にギターで遊びながら、またもや飲みに行ってきま〜す。
 今号のAGMでは、以下の部分を担当しました。
●PLAYING KNOW HOW
 石川鷹彦直伝! あの名フォーク・ソングはこう弾け!
●BEST SONGS FOR ACOUSTIC GUITAR
「海岸通」風
●LIVE REPORT
 吉田拓郎&かぐや姫 inつま恋2006
●CDレビュー
 なんと、ページ数にして20ページ以上! どれも濃くて楽しめる内容になったと思いますんで、ぜひ手にとってじっくり読んでみてくださいね。発売は10月28日、お楽しみにー!

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つま恋レポート

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 23日、「吉田拓郎&かぐや姫 Consert in つま恋2006」に行ってきた。
 結局、前夜は2時間ほどしか眠れず、朝5:00に起きて6:00には家を出る。渋谷の集合場所に7:30に到着し、マスコミ関係送迎車に乗り込み、8:00に静岡県掛川市に向けて出発。車内で支給された弁当を食べたりしながら、12:00、ついに30年来の夢の場所、つま恋に到着。
 敷地内には、レース場や乗馬クラブ等が余裕を持って散りばめられており、だだっ広い場所であることはわかるが、あちこち動き回ることはないのであまり実感できなかった。それでも、10分ほど歩いて会場に入った途端、その広さに圧倒された。すでに会場のほとんどは埋め尽くされているが、全員が入ったらどんな光景になるのかと思うと、開演までまだまだ時間があるというのに胸の高鳴りを抑えきれない。
 ふっと空を見上げると、いわし雲に彩られた青空が高い。たまに吹くそよ風も心地いい。

会場内ではいかなる理由があっても撮影禁止なので、会場へ向かう場面を。
正面奥にある照明塔の向こう側に広大な会場がある。


 これ以降の詳細レポートはAGM-vol.30をお楽しみに、というところだが、やはりそこに拓郎とかぐや姫がいるというだけで感無量だったのは事実。
 1975年4月にかぐや姫は解散し、その夏に伝説のつま恋コンサートがあった。当時、僕はギターを始めたばかりの中学生なので、どんなに行きたくても、鹿児島くんだりから行けるはずもなかった。その後のこうせつのソロライブや風のコンサートは何回か行ったが、ナマのかぐや姫を見るのはもちろん初めてである。大型スクリーンに映し出されるとはいえ、ステージまで100m以上もあるのでさすがにフィギュアのようだが、それでもそこに立って歌っているのだ。
 さらに、メンバーを見て驚いた。「拓郎BAND」がかぐや姫のバックも勤めたのだが、その中に、なんとあの土方隆行氏もいるではないか! 石川鷹彦氏も当然のように途中から登場したので、僕にとってのアコギとエレキの両巨匠をいっぺんに見ることができた。よもや、このつま恋という一生に一回しか見られないであろう大イベントでそんな幸運に恵まれるとは。盛り上がらないわけがない。仕事も忘れてはしゃぎまくっていた。やばいやばいと我にかえるものの、また次の瞬間には入り込んでしまう。

やや長めの休憩時間中。
食事を取る人々でごった返していたが、さすがに疲れが見える人もチラホラ。


 8時間半に及ぶ一大イベントは、思った以上に短く感じられた。とは言え、寄る年波のせいか、睡眠不足もたたって体力的にはガタガタ。途中でユンケルを飲んで多少はしのいだものの、1:00に渋谷へ戻ってきたときにはグッタリ。帰りの電車もなく、しかたなく最寄りのホテルに宿泊。夢のような一日をかみしめながら、それこそ夢見心地の中で、深い眠りに落ちた。
「吉田拓郎&かぐや姫 Consert in つま恋」HP
http://www.takuro-kaguyahime.com/

AGM(アコースティック・ギター・マガジン)HP
http://www.rittor-music.co.jp/hp/agm/index.html

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つま恋!

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 忙しさにかまけて、更新がすっかり滞っておりました。
 鷹彦さん特集のお仕事も、先日無事に入校完了し、あとはゲラ出しを待つのみ。なかなかの自信作ができましたんで、発売されたらぜひ手にとって見てくださいね。AGM-vol.30が全国の書店・楽器店に並ぶのは10月下旬ですぞ!
石川鷹彦「WORKS」
鷹彦氏のすべてがわかる貴重な一冊。所有楽器群の詳細な紹介、過去から現在までの貴重なショット、インタービュー秘話、レコーディングワークス一覧などなど、非常にレアな情報満載。
発行元:バーニングスタッフ
発行日:2003年8月
定 価:3,500円(税込)
http://www.icnet.ne.jp/%7Eworks/

 明日は、「吉田拓郎&かぐや姫 Consert in つま恋」に行ってきます。13:00〜21:00の長丁場です。この世紀の大イベントのライブレポートを執筆するという、大きな仕事が巡ってきました。31年前、まだ中学生の頃に行きたくてしょうがなかったこのコンサートに、時を大きく超えて行けるなんて想像だにしてませんでした。お仕事とは言え、早くもコンサート満喫モードにワクワクおります。
 プレス関係者は、掛川まで送迎バスで送ってもらえるのはありがたいのですが、都内に朝7:30集合ということで、僕の家からはほぼ始発に乗らなくては間に合いません。今日は早めに寝て、明日に備えようと思います…って、すでに12:00まわってる。。。
 ちなみに、このコンサートの模様は、NHK-hiビジョンで生中継やるそうです。また、同じくNHK-BSでは、総集編を後日放映するとのこと。さらに、明日の19:00からのNHK総合「ニュース7」では、コンサートレポートをやるようなので、時間のある方はご覧ください。特に、同世代とそれ以上の方々には喜んでもらえると思いますよ。
 ほんでは、行ってきまーす。
かぐや姫ブログ
http://www.geocities.jp/tsuki_taro/k3/

「吉田拓郎&かぐや姫 Consert in つま恋」HP
http://www.takuro-kaguyahime.com/

AGM(アコースティック・ギター・マガジン)HP
http://www.rittor-music.co.jp/hp/agm/index.html

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石川鷹彦御大 vol.2

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焼き鳥「雅(まさ)」の前にて


 帰郷前日にAGM編集部のM氏と入念に打ち合わせをし、30日にご自宅兼スタジオへ。いよいよ待ちに待った取材だ。ワクワク・ドキドキを隠しきれずにご自宅へ向かう。
 いささか緊張ぎみでご挨拶したところ、「おっ、『彦』つながりじゃん(僕の本名は「良彦」)」と、さっそくその緊張を解きほぐしてくださった。仕事部屋には、数多くのギターやバンジョー・マンドリン達がところ狭しと並んでいる。それだけでも感動なのに、取材に入ると、いろんな話を細かく深く、そして丁寧にお話しくださった。ほとんどの場面でギターをつま弾きながら、実演も交え取材は進んでいく。あの鷹彦さんが、目の前で弾いてくださってると思うだけで熱いものがこみ上げてくる。時には脱線話も交えつつ、5時間にも及ぶ濃い〜取材は無事終了した。
 取材後、お仕事モードを離れ、にわかにミーハーと化した僕は、持参した鷹彦さんのソロアルバムにサインをいただき、さらに色紙にもとお願いした。無言で部屋を出て行った鷹彦さんだったが、戻ってきたその手には筆が握られていた。「色紙はこれで書かなきゃね」と、実に丁寧に描いてくださった。もう、感激以外のなにものでもない。代々の家宝だ!

 おねだりついでに、「弾かせてもらっていいですか?」と、鷹彦さんの顔とも言えるマーチンD-45を弾かせてもらった。鷹彦さんの前なのでむちゃくちゃ緊張したが、その音色の深さにとろけていく。鷹彦さんも「おっ!さすがにやるねぇ」と僕の音に興味を示してくださった。
石川鷹彦1stソロアルバム「WORDS」
1994.10.(FHCF-2182)

 撮影も終わり、「酒は飲めますか?」と聞かれたので、「鹿児島出身だし…」と応えると、「それじゃ行こう」と、すぐにいきつけの居酒屋に連れて行ってくれた。珍しいお酒とおいしい肴、それに鷹彦さんとのギター話・音楽話・ツアー話などいろんな話題で、時間はあっという間に過ぎていく。M氏も言っていたが、鷹彦さんと飲める機会なんてめったにないとのこと。とっても貴重な体験だった。
 やはり、最高クラスの人は人間的にもすばらしい。温厚で、優しくて、懐が広い。この日は、僕にとって最高に幸せで、夢のような一日になった。
 この取材の模様は、11月発売のAGMに掲載される。さらに、9/23に行われる「吉田拓郎&かぐや姫コンサート in つま恋 2006」にも行くことになった。これまた超ビッグなイベントで、30年来の夢であったつま恋。高鳴る興奮を抑えきれない。
 次号AGM-vol.30は必見ですぞ!
 
石川鷹彦さんオフィシャル・サイト
http://www.birdiehouse.co.jp/absr/falcon/

アコースティックギターマガジンHP
http://www.rittor-music.co.jp/hp/agm/index.html

吉田拓郎&かぐや姫コンサート in つま恋 2006
http://www.takuro-kaguyahime.com/

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石川鷹彦御大 vol.1

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 先日、アコギの巨匠、石川鷹彦氏とお会いした。
 鷹彦氏といえば、かぐや姫・風・吉田拓郎・イルカ・アリス・長渕剛・さだまさし…といった、フォーク・ニューミュージック界にきらめくスター達を支えてきた、日本が誇るトップギタリストでありアレンジャーだ。特に有名なところでは、「22才の別れ」のイントロメロやスリーフィンガーで、あれがないと「22才の別れ」はヒットはおろか成立さえしない名フレーズだ。これまでに参加したアルバムは無数にあり、名実共にアコギ界の神様である。
 僕は、作曲や演奏以外では、ドレミ楽譜出版社でバンドスコアの採譜やギターアレンジの仕事を続けている。さらにここ3年ほど、リットーミュージックの「アコースティックギターマガジン(以下AGM)」という季刊誌でも、アコギに特化した採譜もやらせていただいている。
 で、「次回のAGMで石川鷹彦氏の特集をやるので、Yoshiさんに取材から執筆・採譜まですべて担当してもらいたく云々…」という電話が担当編集者M氏からあった。鹿児島に帰省する直前のことだ。「えっ?!?!?! あの鷹彦さんですか?」と一瞬我が耳を疑ったが、もちろん「やります、やります、やらせてください!」と二つ返事でお引き受けした。

 鷹彦さんは、僕がギターを始めた中学生の頃から30年来の憧れの人。いや、憧れと言うより、むしろ雲の上の存在で、まさかお会いできるなんて夢にも思わなかった。
 ギターを初めた頃は、かぐや姫の全68曲をすべてコピーすることでアコギの基本を学んだのだが、そのほとんどが鷹彦さんのプレイによるものだった。上京したての頃、鷹彦さんに弟子入りしようと、ユイ音楽工房まで乗り込んで相談しに行ったこともある。つまり、僕の中での音楽は、鷹彦さんの音と出会ったことで全てが始まったと言ってもいい。あの柔らかくも優しく暖かい音色は、今でも僕の音に大きな影響を与えてくれている。
 その鷹彦さんに会える! しかも、お仕事として会える!! そう思うだけで胸の高鳴りを抑えきれなかった。この一件があり、鹿児島への帰郷が原点復帰にも感じられ、楽しく大切な5日間になったのだろう。
〜つづく〜
石川鷹彦さんオフィシャル・サイト
http://www.birdiehouse.co.jp/absr/falcon/

かぐや姫ブログ
http://www.geocities.jp/tsuki_taro/k3/

アコースティックギターマガジンHP
http://www.rittor-music.co.jp/hp/agm/index.html

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ブラバン

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 鹿児島市内まで戻る途中、吹上浜を少し見ようかということになった。かなり遠浅の砂丘なのだが遊泳禁止区域。たぶん潮流が複雑なのだろう。海風にあたりながら「泳いでる人がおるなー、ここは遊泳禁止じゃろ?」とか言っていたのだが、車に戻りかけたとき、パトカーや消防車がものすごい勢いでとばしてきた。「すわ事件か?!」と、報道マンのT氏はすかさず消防士に事情を聞いた。なんでも、若者数人が溺れたらしい。なんと、彼らは泳いでいるのではなく溺れていたのだった。消防士の後について駆けていったら、数人が海岸で座り込んでいる。どうやら自力で助かったようだ。ほっと胸をなでおろす。

遠浅の吹上浜


 とんだ事件のおかげで時間を読み違え、帰りは渋滞にハマりまくった。なんとか夕方には市内へ戻り、T氏は打ち合わせがあるとかで、トンボ返りで南さつま市へ戻っていった。なになからなにまで本当にありがとう! おかげで、とっても充実した一日を過ごすことができたよ。
 都会で過ごしていると、日々の喧噪に慣れきってしまい、あたかもそれが日常のあるべき姿だと思いこんでしまう。でも、ここ南さつま市は、町全体が穏やかで、ゆったりとした時が流れている。翌日にひかえた30年ぶりの同窓会を前に、置き忘れてきた大切なものを確かに思い出させてもらった。
 夜は、高校時代のブラスバンド仲間と飲ン方!
 男女問わず、先輩後輩問わず、10数人集まってワイワイと焼酎を飲みまくる。共に一生懸命打ち込んできた仲間だけに、話が尽きることがない。結局は昔話で盛り上がるのだが、それはそれでいい。20代の頃は、いつまでも過去の栄光を語る雰囲気がいやで、会うことをあえて避けていたが、この歳になると、それはそれで楽しいものだ。

外見はともかく、中身は高校時代のまんま。

 それぞれがいろんなことをやってきた。それぞれがいろんなことをやろうとしている。そして、それぞれがいろんな悩みを持っている。でも、そんなことは全部、顔を一目見ればわかる。何を言わんとしているのか、世間話の中にかいま見られる。それが、故郷の友達だ。かけがえのない、僕の宝物だ。

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あら煮

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 車は一路西へ。ほぼ海岸線に沿って走るが、片方は切り立った崖だ。途中、最近はあまり見かけなくなった石垣の段々畑を眺め、小さな港町に降りて潮風にあたる。

みごとな段々畑だが、現在は畑としては使用されていない。

 何艘かのヨットが停泊していたが、その内の一艘は石原裕次郎が最後に乗っていたものらしい。そういえば、日本テレビ「鉄腕ダッシュ」で一筆書き日本一周をやっているが、この道も通ったのだろうか?

真ん中に見えるマストが高いヨットが裕次郎所有のものだったらしい。

 再び走る。小島がいくつか見えてくる。鹿児島は、知覧や鹿屋といった軍事基地があり特攻隊の拠点になっていたが、なんと船にも特攻隊があり(いわゆる人間魚雷)、この島の一部に隠れるように工場が存在した。実際には発進されることなく終戦を迎えたが、GHQ指導のもと工場の破壊作業中に爆薬が暴発し、数人が犠牲になった。戦地での死ではなく、工場での、しかも戦後の国内での犠牲。あまりにもいたたまれない気持ちのまま、しばし沈黙が続く。

 笠沙地域をほぼ一周し、再び加世田へ戻る。
 14:00も回ってきたところでさすがに腹も減ってきたので、海辺らしく「ドライブイン大浦」という活魚料理の店に連れて行ってもらった。ドライブインというよりは、ちょっと大きめの居酒屋といった感じだ。さっそくお勧めの刺身定食を注文するが、定食にもれなくついてくる「カンパチのあら煮」ががこの店の名物だそうだ。15cmほどのアラで、パッと見た目は普通のアラと変わりない。が、一口食べてびっくり。うまい! これはうまい!
 非常によくつけ込んであり、隅々までしっとり味がしみこんでいる。さらに驚いたことに、骨が口の中でとろけていく。つまり、身やゼラチンはもちろん、骨まで全て食べられるのだ。刺身ももちろんうまいのだが、このあらはぜひ一回は食すべし。

「ドライブイン大浦」と南日本新聞社南さつま支局長T氏。
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すんくじら

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 帰郷二日目。昨日の飲ン方(飲み会)の席で、T氏が「南さつま市に来てみませんか?」と誘ってくれた。夜は飲ン方で予定ビッチリだが、昼間は特になにもないので、その誘いに喜んで応じ、この日は南薩地方の観光としゃれこんだ。
 南さつま市は、文字通り薩摩半島の南部地域だが、鹿児島に住んでいた頃にもほとんど行ったことがなかった。T氏はわざわざホテルまで車で迎えに来てくれ、朝9:30出発、片道約1時間のドライブになった。
 余談だが、鹿児島県でも市町村合併の嵐が吹き荒れており、それまで90以上あった市町村が、現在では50そこそこに激減したそうだ。南さつま市もその一つだが、馴染み深かった地名がなくなるのは悲しいことだ。
 道すがら昔話をしたり近況等を語らい、南さつま市の中心、旧加世田市にある南日本新聞社南さつま支局に着いたのは11:00前。この加世田市は、小泉首相のお父さんの故郷だそうで、首相も幼い頃によく来ていたらしい。でかい邸宅も、穏やかな加世田の町並みに溶け込んでいる。

「杜氏の里」のすぐ近くから東シナ海を臨む。


 支局で一服し昼前に再出発。いよいよ南薩観光だ。雨どころか嵐まで呼んでしまうほどの雨男たる僕のせいか、あいにくの天気。天気が良ければ、遠く屋久島も見えるらしい。リアス式海岸には、奇妙な形の島が点在している。
 最初の目的地、笠沙町の「杜氏の里」に着くまでに、T氏はこの地域の話をしてくれた。「霧島の高千穂連山には天皇降臨の神話が残っているが、この南薩地方にもニニギノミコトが上陸したそうな」とか「この一帯は平地がないので、石垣を組んで防災や垣根としており、今もその風情は残っている」とか。さすがに報道マン、わかりやすい。

笠沙町黒瀬の「杜氏の里」入口


 そうこうしているうちに「杜氏の里」に到着。
 この笠沙町黒瀬地域は、明治時代頃から芋焼酎の杜氏が多数いた、いわば焼酎の故郷である。彼ら杜氏はその技術を持って全国各地へ散り、それぞれの蔵元で活躍し「黒瀬杜氏」と呼ばれ大切にされたそうな。そんな杜氏達が、丹誠込めて焼酎を紡いできた技術を保存・継承する為に建てられたのが、この「杜氏の里」である。
 とんでもない山の中にあるが、芋焼酎の造り方が丁寧に描かれ、昔からの製造器具も数多く展示されている。今ではほとんど機械化が進んだ焼酎造りだが、ここではかたくなな杜氏の姿が見え隠れする。
 出るとき、この笠沙だけでしか手に入らない「すんくじら(※)」という焼酎を買った。渋谷に一軒だけ、この焼酎を飲ませる焼酎バーがあるらしいが、その店も笠沙出身の人がやっているとのことだ。
街灯も一升瓶をかたどっている。
 T氏とも語った。焼酎ブームになって久しく、にわかにうんちくを語る焼酎ファンがいたり、「幻の焼酎」とかいう名目で高価な焼酎を販売している飲み屋もあったりするが、そんなことはどうだっていい。「しょせん、焼酎は焼酎」なのだ。高価な酒ではない。庶民の飲み物なのだ。手軽に気持ちよく酔えて、会話もはずみ、楽しい飲ン方ができ、だいやめ(晩酌)で一日の疲れが癒されれば、それでいいのだ。
 この「すんくじら」は、希少価値があるはずなのにそれほど高価でもなく、決して高飛車に構えてもいない。縁があってこの杜氏の里に立ち寄ることができたから、ここの焼酎が飲んでみたい、ただそれだけなのだ。そんな気持ちのまま、奢らず媚びず、純粋なまでの職人達の心意気を感じて「杜氏の里」をあとにした。

※「すんくじら」は、鹿児島弁で「隅っこ」の意味。まさに日本列島の隅っこにある蔵から生み出されるという、絶妙のネーミングだ。

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ざぼんラーメン

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 市内へ着くなり、最初のラーメンタイム。今回は以前ほどラーメンは食しなかったが、それでも5日間のうち3回食べた。そのうちの第一食目は与次郎ケ浜にある「ざぼんラーメン」。僕が鹿児島在住の頃からある老舗だ。ここは味はもちろんだが、大根の漬け物が食べ放題という点が嬉しい。ほとんどの場合、ラーメンとご飯を一緒に注文するのだが、この漬け物はいいアクセントになってくれる。さっきまで腹ペコだったのに一挙に満腹になり、繁華街にほど近い「いづろ通り(※)」にあるホテルへ。
 この「オリエンタルホテル」は、迎えに来てくれた友人Fが紹介してくれたビジネスホテルなのだが、一泊4,500円という安さ。しかも、彼の勤め先のお得意さんということで、なんと毎朝の朝食までつけてくれた。ありがたや〜、タイガーオートさん。

「さつま温泉」入口。温泉というわりには生活に密着している。


 彼はそのまま仕事へ戻り、僕はというと、昨夜からの疲れがどっと出てきたので、さっそく近くの温泉へ。徒歩10分ほどで「さつま温泉」に到着し、銭湯ほどの値段で温泉を満喫。昼過ぎだったこともあり、中はガラガラでほぼ貸し切り状態。いや〜気持ちんよか〜。早朝からやっており、休憩所もあるのでお勧めです。
 それからしばらく仮眠をとり、夜は当然のように鹿児島一の繁華街=天文館へゴー。

夕刻の天文館メイン通り


 連絡していた後輩Tと待ち合わせる。彼は、鹿児島最大の新聞社=南日本新聞社の南さつま支局長を務めている。仕事の忙しい合間を縫って、約1時間かけてわざわざ駆けつけてくれた。彼の紹介で、まだ若くて威勢のいいマスターと、僕好みのきれいなおかみさん(というにはあまりに若い)がやっているこぎれいな居酒屋へ到着。久々の薩摩料理と焼酎に舌鼓を打ち、話もはずみ大満足。その後Fも合流し三人で盛り上がり、2年ぶりの鹿児島の長い一日は終わりを告げた。
※この界隈は昔から石灯籠が多かったので「石灯籠通り(いしどうろうどおり)」と言われ、それがなまって「いづろ通り」になったそうな。ちなみに、鹿児島が故郷だというのになぜホテル宿泊なのかというと、すでに実家は全部引き上げ、こっちには誰も住んでいないからでござる。

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