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マドとナズナ その2

〝お父さん〟たちの海外出張により、我が家で犬合宿をすることになったマドとナズナ。
そのつづきについて書いてみたい。

いよいよ合宿スタート。
お父さんが旅立っていくと、ナズナは玄関の前でピーピー鳴き続けた。
しかし、1時間ほどであきらめ、私の腕にしがみつくようにして寝入ってしまった。

どうなることかとおもったが、夕方の散歩は元気に歩き、ゴハンをパクパクと食べて、以外なほどケロリとしている。
自分なりに現実を受け止めながら、前に進もうとするところは、さすがはオトナの犬なのだ。

一方、マドは、私に甘えるナズナを見ながら「ま、しゃーない!」という顔をしている。
お父さんたちが、しばらく戻らないことも理解しているようで、こちらも、またオトナなのだ。

犬は社会的な動物といわれるが、元保護犬で8歳のマド、複数の家族のなかで育った12歳のナズナを見ていると、経験をもとにした判断力や理解力、人間たちの複雑ば事情をのみこめるふところに広さに深く感じいった。

とはいえ、慣れない合宿ライフゆえ、ストレスもある。

私がナズナの世話をしていると、マドはそれなりに面白くない。
そんなときマドは、これみよがしにナズナが持参したおもちゃを振り回してみせた。

しかし、ナズナは視線をはずして、気づかないフリをする。
「ナズナ、いいの?」と声をかけても、絶対に見ようとしない。

なるほど、これが和平を保つコツなのか。
徹底して対立を避ける姿勢をつらぬいているのだ。

そのかわり、ナズナは隙を見ては、もっと撫でて〜!とばかりに、私の手に頭をグリグリと押し付けてくる。
あまりに長い時間やっていると、マドの気持ちがスウーっと冷え込むのを感じる。

これは飼い主として、マズイと思った。

複数の犬を飼うとき、平等はむしろトラブルの源になることがある。
日常の世話は、マド優先。
ナズナだけにベタベタすることも、なるべく避けるようにした。

基本的に、毎日の散歩はたっぷり。
そして、家の中ではゆったりモード。

やがて2頭とも、合宿ライフに慣れてきたみたい。
気づいたら、くっついて寝ていることも。

その距離はしだいに縮まり、こんなカワイイ場面も!

そんななかでも、マドとナズナの心が、日に数回ずつ微妙にゆれているのを感じる。
やはり複数の人間から愛情を受けている犬にとって、人間1名・犬2頭というのは、根本的に物足りないのだろう。

幸いだったのは、2頭とも布団が大好きだったこと。
「さあ、みんなで寝よう!」と声をかければ、嬉しそうにベッドに飛び乗ってきて、私の右と左でそれぞれ丸くなる。
微妙な空気も、たちまちうやむやになるのだった。

動物には心がある。
しかもそれは、かなり複雑なものである、ということを実感した約3週間だった。


2019/03/16 | 犬と動物

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