『ゼロ!』更新と熊本市動物愛護センターのピンチ
集英社WEB文芸で連載中の『ゼロ!』更新。
犬猫の殺処分ほぼゼロを実現した熊本市動物愛護センター。
10年の軌跡を追うリアルストーリー第9話。
今回は渋くて熱い2人の新メンバーが登場します。
カッコイイ公務員はここにいる。
初めての方は第0話からどうぞ!
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この取材の続きのために先週、3日間熊本に行ってきました。
実はこのとき愛護センターはかなりハードな状況になっていたのです。
10月初めに収容した犬がパルボで急死。
それ以降、ほか数頭も発病。
先週の24日も検査で4頭から陽性反応が出ていました。
私がセンターに到着したのは、これ以上感染が拡大しないようにと安楽死をおこなっている最中のこと。
いずれも新しい飼い主をさがす前提で世話している元気な犬たち。
所長Mさんはじめ、職員の皆さんにとっては苦渋の選択でした。
いつもは1日1回の犬舎の消毒も、最初の病犬が出てからは1日3回に増加。
それでも感染がおさまらず、皆疲れ果てていました。
ちなみにパルボは、抵抗力の弱い子犬に多く見られる病気。
劇症だと発病から十数時間で死に年に至る恐ろしい感染症で、
効果的な治療法はないといわれています。
でも年1回のワクチン接種をすればほぼ100%予防が可能。
人畜共通感染症ではないので、人間が発病する可能性はなし。
ちなみに今回は犬パルボなので、猫などほかのペット動物に感染する心配もありません。
愛護センターでは子犬にはワクチン接種を実施していました。
しかし、成犬については予算の都合もあって、
全頭にワクチンを打っていませんでした。
それでもある程度抵抗力がある成犬なら
万が一発病しても集団感染にまで発展することは稀。
動物行政の現場でトータル7年働いている所長Mさんも
「こんなことは初めて」と戸惑いをかくせない様子でした。
場合によっては“リセット”つまり全頭殺処分があってもやむを得ない事態。
とはいっても長年に渡り殺処分ゼロをめざしてきた同センター。
獣医師が集まって深夜まで討議を重ねた結果、
陽性反応が出ても固体の免疫力をあげる努力を重ねて、
殺処分はできるだけ避けるという方針が決定しました。
それにあわせて新たにワクチンなどを購入するために
所長Mさんが市に緊急予算請求。
即効で受理されて26日にはワクチンが到着しました。
ただしワクチンを接種しても抗体ができるまで1週間〜10日以上。
そのあいだの対策としてタミフルの併用も決定。
おなじみインフルエンザに効くといわれる薬ですが、
もしパルボが発症しても投与しておけば、
症状が軽くてすむ可能性が高いのだそう。
この状態がおさまるまでには、もう少し時間が必要です。
でも「これからは成犬もふくめすべての保護犬にワクチンを接種します」とM所長。
つまり今後は、ここから譲渡されるすべての犬に感染症の心配がなくなるということ。
詳しい内容については、まもなく熊本市動物愛護センターの公式サイトで発表されるはず。
感染症についての情報が正しく伝わったうえで、今は事態の終息と譲渡会が再開されることを願うばかりなのです。
2011/10/31 | 犬と動物
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「ゼロ!」の更新いつも楽しみにしています♪
今回も素晴らしい展開に、読み進めていく程にワクワク!
次の行を、次の言葉を早く読みたくて、自分の読むスピードの遅さにイラっとするほどでした。
カッコイイ公務員本当にいるんですね!!
しかし、熊本のセンターの感染症は、こんなに大変な事になっていたのですね。
飼い犬の場合は、ごくフツーに、当たり前のように混合ワクチン接種するので、そういうものに罹る機会も無く、感染症を意識する事も余り無かったので驚きました。
早く事態が終息して、職員さん達もワンちゃん達もゆっくり出来るようになって欲しいです。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB7.1; .NET CLR 1.1.4322)
しばいぬさん
公務員という立場から顔が見えにくい状況があるわけですが、個人にスポットをあてればこんなにカッコイイ人がいる! ということを紹介したいと思ったのも『ゼロ!』を書くきっかけです。
ワクチン接種があたりまえの飼い主さんには、感染症なんて無縁の世界ですよね。
でも世のなかには、ワクチンやフィラリア予防薬の存在さえ知らない人もいるんですよ〜