“がんばる行政”を応援する法改正
先週の金曜日(20日)、動物愛護管理法改正の意見交流会に行ってきた。
タイトルは『真に動物を守る法律へ』で主催はTHEペット法塾。
この日の東京は、朝から雪。
しかし会場になった衆議院第一議員会館の大会議室は、
超満員の大盛況だった!
パネリストとして『ゼロ!』に登場する
熊本市動物愛護センターの松崎所長も登場。
今年実施される動物愛護管理法改正について、
論点はイロイロあるのだけれど、
誰もが注目する項目のひとつに<第35条>がある。
これは「もう飼えない」という無責任な飼い主に、
保健所などの職員が、どう対応するか大きく関わる法律なのだ。
現状では「引き取りを求められた時は、これを引き取らなければならない」となっている。
つまり、引き取り=義務が大原則。
それでいて「所有者は家庭動物を終生飼養するよう努めること」とか、
「この引き取りは緊急避難として位置づけられたもの・・・・・・」とか、
平成18年には「今後10年間で犬及びねこの引き取り数を半減する」などと、
環境省は告示している。
どっちなのよ?!
そういいたくなる矛盾だらけの法律なのだ。
だから対応は自治体によってイロイロ。
「飼えないならいつでもお持ちください」というのが、
市民サービスと考えているところもある。
でも、いわゆる“がんばる行政”の職員は、
引き取り(=ほとんどが殺処分になる)なんてやりたくない。
だから無責任な飼い主を説得する。
そして「35条も知らないのか!」と怒鳴られる。
でも負けずに説得する。で、さらに罵倒される。
だけどへこたれない。
だって殺処分なんて嫌だから。
そんな状態で1時間以上かけて、終生飼養について説き続けるのだ。
はっきりいって引き取り義務さえなければ、こんなに苦労することはない。
自治体のなかには、引き取り義務規定を緩和した条例を独自に施行したところもある。
東京都、横浜市、岡山県、千葉市、北九州市では、
「引き取らねばならない」とう文を
「やむを得ない理由があると認めるときに限り、これを引き取るものとする」
に変更して動物行政をおこなっている。
その結果、動物の殺処分は大幅に減少した。
無責任な飼い主を説得するうえで、
「条例で決まっている」は大きいのだ。
引き取らなければ遺棄動物が増える。
そう心配する自治体もあるけれど、
横浜市職員は「捨てるのは犯罪ですよ」というと、
飼い主はみんな納得し(あきらめ?)帰っていくという。
でも自治体によっては、法律に違反していると判断して、
こうした条例を採用できずにいるところもある。
ちなみに『ゼロ!』の舞台になっている熊本市。
ここでは、現在のところ義務規定を緩和する条例はない。
今年6月に予定している条例改正で上記内容を入れる予定だったが、
法を超える内容にはできないと、却下されてしまったという。
一方、横浜市が環境省に確認したところ「法律の規定とは齟齬はない」の回答。
それなら法律をもっとスッキリさせてほしいというわけで、
第35条の引き取り義務を撤廃しよう・・・・・・というのが、
今回の法改正のひとつのポイントになっている。
撤廃案は、
「やむを得ない理由により犬又ねこの所有者に引き取りを
求められたときは、これを引き取ることができる」
というもの。
こうすれば行政は引き取り拒否もできるし、
ダメ飼い主から動物を保護することもできる。
こうした法改正が実施されるために、
どうしたらいいのか?
昨年のパブリックコメントや署名提出など、
集まった多くの意見はすでに環境省に届き、
法改正にあたっての検討会も終了している。
今となっては、一般国民としてできることはほとんどない。
2〜3月に改正法案が通常国会に提出され、
4〜6月に改正法成立・公布される予定。
日本の犬や猫がこれからどうなるのかは、
国会議員にゆだねられている状態なのだ。
この意見交流会の大きな目的は、各党議員アピール。
そういう意味でも、おそらく大成功だったのだろう。
民主党、自民党、公明党など多くの議員が壇上でコメント。
秘書の代理を合わせたら、20名は軽く超えていたはず。
動物愛護管理法改正については「党を超えて協力したい」発言が多数。
「これだけ人が集まって、誰も寝ていない交流会は初めて」
という松浪ケンタ議員のコメントには思わず笑ったけれど。
各党議員によると「動物愛護の現状について、
わかっていない議員も多い」とのこと。
こういうことはどの分野にもあるのだろうけれど、
「これ変えたら、何が違うの?」「さあ?」
という感じで判断されたら、やっぱりたまらないなぁと思う。
現状のままなら惰性でもいける、
でも変更するには明確な理由が必要。
だから壇上発言した議員には、
正しい情報発信のさらなる力投をのぞみたい。
そして国会議員と近い立場の方々、
「こんなことになってますよ〜」
と是非伝えてもらいたいのです。
2012/01/24 | 犬と動物
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35条の撤廃、是非実現して欲しいですね。
小学生の頃、まだ子犬だった先々代の柴犬が脱走〜行方不明になりました。
見つかるまでの2週間、懸命に捜索し、ビラを配ったり、訪ね歩いたりする中、子供心に1番恐怖だったのは、保健所や愛護センターに保護されて殺処分される事でした。
勿論、交通事故や病気や衰弱も心配でしたが、もっとも恐ろしく感じていたのは、それでした。
がんばる行政を応援する法改正実現して欲しいです。
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB7.2; .NET CLR 1.1.4322)
しばいぬさん
私たちが子どもの頃の保健所って、アンタッチャブルなイメージ強かったですよね〜。
交流会では35条と同時に、保護期間の延長もされるべきと議論されてましたよ。
今は収容から3日後に殺処分というところもありますが、保護期間を最低でも2週間にしようという案です。