あら煮

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 車は一路西へ。ほぼ海岸線に沿って走るが、片方は切り立った崖だ。途中、最近はあまり見かけなくなった石垣の段々畑を眺め、小さな港町に降りて潮風にあたる。

みごとな段々畑だが、現在は畑としては使用されていない。

 何艘かのヨットが停泊していたが、その内の一艘は石原裕次郎が最後に乗っていたものらしい。そういえば、日本テレビ「鉄腕ダッシュ」で一筆書き日本一周をやっているが、この道も通ったのだろうか?

真ん中に見えるマストが高いヨットが裕次郎所有のものだったらしい。

 再び走る。小島がいくつか見えてくる。鹿児島は、知覧や鹿屋といった軍事基地があり特攻隊の拠点になっていたが、なんと船にも特攻隊があり(いわゆる人間魚雷)、この島の一部に隠れるように工場が存在した。実際には発進されることなく終戦を迎えたが、GHQ指導のもと工場の破壊作業中に爆薬が暴発し、数人が犠牲になった。戦地での死ではなく、工場での、しかも戦後の国内での犠牲。あまりにもいたたまれない気持ちのまま、しばし沈黙が続く。

 笠沙地域をほぼ一周し、再び加世田へ戻る。
 14:00も回ってきたところでさすがに腹も減ってきたので、海辺らしく「ドライブイン大浦」という活魚料理の店に連れて行ってもらった。ドライブインというよりは、ちょっと大きめの居酒屋といった感じだ。さっそくお勧めの刺身定食を注文するが、定食にもれなくついてくる「カンパチのあら煮」ががこの店の名物だそうだ。15cmほどのアラで、パッと見た目は普通のアラと変わりない。が、一口食べてびっくり。うまい! これはうまい!
 非常によくつけ込んであり、隅々までしっとり味がしみこんでいる。さらに驚いたことに、骨が口の中でとろけていく。つまり、身やゼラチンはもちろん、骨まで全て食べられるのだ。刺身ももちろんうまいのだが、このあらはぜひ一回は食すべし。

「ドライブイン大浦」と南日本新聞社南さつま支局長T氏。
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