ブラバン

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 鹿児島市内まで戻る途中、吹上浜を少し見ようかということになった。かなり遠浅の砂丘なのだが遊泳禁止区域。たぶん潮流が複雑なのだろう。海風にあたりながら「泳いでる人がおるなー、ここは遊泳禁止じゃろ?」とか言っていたのだが、車に戻りかけたとき、パトカーや消防車がものすごい勢いでとばしてきた。「すわ事件か?!」と、報道マンのT氏はすかさず消防士に事情を聞いた。なんでも、若者数人が溺れたらしい。なんと、彼らは泳いでいるのではなく溺れていたのだった。消防士の後について駆けていったら、数人が海岸で座り込んでいる。どうやら自力で助かったようだ。ほっと胸をなでおろす。

遠浅の吹上浜


 とんだ事件のおかげで時間を読み違え、帰りは渋滞にハマりまくった。なんとか夕方には市内へ戻り、T氏は打ち合わせがあるとかで、トンボ返りで南さつま市へ戻っていった。なになからなにまで本当にありがとう! おかげで、とっても充実した一日を過ごすことができたよ。
 都会で過ごしていると、日々の喧噪に慣れきってしまい、あたかもそれが日常のあるべき姿だと思いこんでしまう。でも、ここ南さつま市は、町全体が穏やかで、ゆったりとした時が流れている。翌日にひかえた30年ぶりの同窓会を前に、置き忘れてきた大切なものを確かに思い出させてもらった。
 夜は、高校時代のブラスバンド仲間と飲ン方!
 男女問わず、先輩後輩問わず、10数人集まってワイワイと焼酎を飲みまくる。共に一生懸命打ち込んできた仲間だけに、話が尽きることがない。結局は昔話で盛り上がるのだが、それはそれでいい。20代の頃は、いつまでも過去の栄光を語る雰囲気がいやで、会うことをあえて避けていたが、この歳になると、それはそれで楽しいものだ。

外見はともかく、中身は高校時代のまんま。

 それぞれがいろんなことをやってきた。それぞれがいろんなことをやろうとしている。そして、それぞれがいろんな悩みを持っている。でも、そんなことは全部、顔を一目見ればわかる。何を言わんとしているのか、世間話の中にかいま見られる。それが、故郷の友達だ。かけがえのない、僕の宝物だ。

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