旅の終わり

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 最終日は、みやげを買い、友人Fが空港まで車で見送ってくれた。

袴腰のフェリー乗り場

 通常は吉野を経由してそのまま高速道路で空港へ行くところを、時間的に少々余裕があるので桜島経由で行こうかということになり、フェリーに乗る。ふと温泉に入りたくなり、袴腰(※1)近くの温泉に入ったまではよかったが、余裕ぶっこいていたのが大失敗。いい気分で出てきたと思ったら、Fのちょっと焦り気味の一言「間に合わんかもしれんどー(※2)」。。。
 急いで桜島の溶岩道路の中を半周し、大隅半島を海岸沿いに北上。ひたすら空港へ向かうが、行けども行けども空港の「く」の字も見えやしない。どこまでも桜島の雄々しい姿が見えたまま、時間だけが刻々と進む(※3)。
 ようやく「鹿児島空港」の標識が見えてきたのは、出発15分前だった。「ほんならな、あいがとなー(※4)」と、別れのあいさつもそこそこに降車したのが出発7分前。お盆休みで出かけていた人や、何かの大会の為に搭乗するらしき学生さん達でごった返すロビーをかき分け、チェックインカウンターへ猛ダッシュ。結果、ギリギリセーフ。ふ〜っ。
 以前、マレーシアツアーの際に、トランジットがうまくいかずマレーシア空港を端から端まで全力疾走したことや、札幌での取材の仕事が長引いて最終便に駆け込み乗車(?乗空)したことを思い出しながら、ほっと胸をなで下ろした。やっぱ、飛行機とは相性が悪いんやろか?

袴腰近くの公園。ゴロゴロしているのは、すべて溶岩。

 こうして、今夏の大きなイベントは幕を閉じた。
 いつものことながら、羽田から浜松町へ向かうモノレールでは、なんとも言えずセンチメンタルな気持ちに打ちひしがれる。それが日常へ戻ることへの安堵感なのか、故郷を離れた寂しさなのか、よくわからない。また、それが気持ちいいのかよくないのかさえもわからない。
 以前は飛行機に一切乗らず新幹線で帰省していたので、それなりの時間の経過と共に感傷は和らいでいたのだが、飛行機はごく短い時間に別世界に踏み込むので、気持ちの切り替えには多少の時間を要する。ただ今回は、みやげを渡すと称して友人とそのまま飲みに行ったので、その感傷が比較的早めに薄れていったのは幸いだったかもしれない。
 生まれ育った故郷があるということ、故郷の友人がいるということを、今回の帰省ほどありがたく感じたことはない。それは年のせいなのかもしれないが、ある種の誇りのようなものでもあり、逆に田舎者の戯言かもしれない。
 しかしながら、少なくとも「ほっ」としつつ、大切なものを見つけたような気がした数日間であったことは確かだ。
※1:はかまごし/桜島側のフェリー乗り場。
※2:間に合わないかもしれないよー(って、これくらいはわかりますよね)。
※3:鹿児島県の地図を見て頂くとわかると思いますが、桜島は錦江湾周辺のどこからでも見えるので、大隅半島をひたすら北上しても桜島が見えているうちは空港はまだまだ先なのです。
※4:それじゃぁね、ありがとうね(…って、これもわかりますよね)。

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