幕府と鎖国と捕鯨と外国人
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最終更新日:2012/05/25
つれづれ日記
ユーキャンの仕事で30山のことをあれこれ調べているうち、いろんなエピソードと出会うようになった。中でも一番面白かったのは、江戸時代、日本に入国を試みた2人の外国人の話だ。
ひとりはイタリア人のジュアン・シドッチ。
彼は宣教師として日本への布教を志し、シンガポールの日本人村で着物と刀を調達して屋久島へと上陸を試みるが、和装にもかかわらず顔が思いっきり外国人だったのですぐに捕まってしまう。
長崎から江戸のキリシタン屋敷に送られ、外出できないことをのぞけば、割と自由な生活を送るも、屋敷の使用人夫婦が元キリシタンだったことから、互いに感化されキリスト教の信仰を再開したため、使用人共々地下牢に入れられ獄死してしまう。
このとき、シドッチに聞き取りをしたのが新井白石。シドッチから聞いた海外の情勢は著書『西洋紀聞』(岩波文庫)で読むことができる。
もうひとりはアメリカ人のラナルド・マクドナルド。
ネイティブ・インディアン、チヌーク族の王家の血をひく彼は、「祖先は西からやってきた」というチヌーク族の伝説に興味をもち、自分のルーツが日本人でないかと考えていた。折しも時代はペリーが開国を迫る5年前。今でこそ捕鯨反対を唱える欧米も、当時は血眼になって鯨を追っかけ回しており、太平洋は沢山の捕鯨船が行き交っていた。
マクドナルドはハワイから捕鯨船のひとつに乗り、船長からもらった小舟で北海道の小島、利尻島へと上陸する。“外国人が日本へ上陸すれば殺される”というのは当時の船乗りの常識だったため、船長や船員は必死で止めたが、彼は難破を装い、日本人の情に訴える作戦で見事殺されずに長崎へと送られた。
マクドナルドの顛末は、彼の著書『日本回想記』(刀木書房)に詳しい。当時、英語への対応を迫られていた長崎の通詞(通訳)事情もあって、彼は日本初のネイティブ英会話教師として、牢ごしに通詞たちに英会話を教えているのだ。
彼の教え子の一人、森山栄之助は、数年後の黒船襲来の際、ペリーとの交渉に当たり、その聡明な対応能力から、ペリーに武力での開国を思いとどまらせたとされている。
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