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獣医学生よ、アジアを目指せ。

先週の土曜日、全国16大学の獣医学生が集まる団体JAVSのパネルディスカッションに参加した。ご一緒したのは少年サンデーの『犬部!』でシナリオ構成を担当されている、はまなかあきさんだ。

タイムスケジュールを訊くと、私たちのディスカッション枠の前にもうひとつ企画があるという。

タイトルは「Let’s think 動物愛護法!!」

今回の動物愛護法改正を含め、問題点や改善点を獣医学生の目から提起していこうというもので、大学別でテーマを決めて発表するという。現役獣医学生のナマの声を聞くチャンス!と少し早めに会場入りさせてもらった。

東大農学部の教室に集まったのは、関東エリアを中心にした獣医学生約50人。そのなかから発表に参加したのは、日本大学、麻布大学、日本獣医生命科学大学、東京大学の4校。

ちなみにJAVSは特に動物愛護に特化した団体ではない。獣医学に関連するものや情報を大学の枠を超えて共有することを目的に活動している。だから今回の発表では、法内容をじっくり読むのは初めてという学生も多いという。

しかし、発表を聞いてビックリ。みんなよく内容を把握しているし、導入から問題点まで説明もスムーズ。改善ポイントや方法もユニークで、各グループの提案に聞き入ってしまった。

発表終了後は、参加メンバー全員による投票タイム。構成力や獣医学部生らしい独創性、実現可能かどうか、などが評価のポイントになる。

第1位に輝いたのは、麻布大学の1年生チームでテーマは動物実験について。基本的な法令内容を説明したうえで、動物実験の反対を訴える愛護団体と実験を実施する研究者という、立場のまったく違う人々にインタビューしているのに感心。そのうえで実験内容を適正に審査・指導できる獣医師を動物実験の現場に配置するシステムの提案していて、このあたりは是非実現してほしいと思った。

第2位は東京大学の5年生チーム。こちらもテーマは同じく動物実験。情報公開の必要性を指摘したうえで、データ内容を消費者アピールにつなげた提案は説得力があった。

 

企画者によると上位2チームに賞品があるという。

その中身はなんと拙著。そんなのでいいのか?と思いつつ第1位の麻布大学に『犬部!』文庫版とコミック1巻、第2位の東京大学に『ゼロ!』を進呈。

 

この後は、私とはまなかさんによるパネルディスカッション。

こんな立派な研究発表会のあとに、いったい何は話せばいいいのか? と思いつつ、前半30分は主に『犬部!』の取材や執筆、コミカライズなどの裏話など。後半は獣医学部生が学生のうちに何をしたらいいのか?という質問にこたえて、アジアの旅について話をさせてもらった。

最初は「なぜアジアの旅?」と顔をする学生もいたが、どんなタカチであれ命を扱う仕事につくのなら、今のうちにアジアに行って絶対に損はないと思っている。

人と動物の共生とか、動物の命を食べる・・・・今の日本では実感したり体験することは難しい。しかし、たとえばタイやベトナム、インドなどの市場に行けば、それが日常的に展開されている。

アジア各国の市場には、たいてい食材売り場と屋台コーナーがある。そんなところを半日もウロウロすれば、動物が殺され、さばかれ、食肉となり、料理になって出てきて、みんな笑顔で「美味しい」といって食べていることがすぐにわかる。

命をいただく、と言葉にすると神聖で大げさな感じがする。でも、実際に現地でゴハンを食べれば、そんな大上段にかまえるものではなく、でもとてもありがたいことだと実感できるだろう。

100回の議論や画像鑑賞より、1回の現地体験のほうがはるかに有意義だと、私は思っている。命の問題には、おそらく正解はない。でも実体験があれば、きっとそれを基準に自分の考や立ち位置をどうにか探り当てることができるはず。

町なかを犬や牛やヤギなどの動物が自由に歩きまわっているという状況が、ごくフツーに展開されている点で、行動学に興味がある人にも是非おすすめしたい。

しかし、この状況も世界レベルでは減りつつある。パックの肉が並ぶスーパーが増えているのは、どこの国も同じ。今のように市場に活気があるのは、おそらく5年から10年のあいだだろう。「いつか行こう」なんて思っていたら、もう遅いのだ。

・・・・・なんて話をしてたら終了時間に。

最後は全員で記念撮影。

 

 

 

 

 

 

獣医師のたまごたち、みんな元気で優秀だった。

日本の動物業界の未来は明るい!!

 


2012/07/11 | アレコレ

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