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アブディン作家化大作戦

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

mixiのトークイベントの翌日、私もただ二日酔いでうなっていたわけでもなくて
スーダンの魔術師(?)アブディンとワタル社長と長い話をしていた。
これからいよいよアブを本格的に作家として世に出そうという大作戦をはじめたのだ。
そのためにはまず、彼に本を一冊書いてもらわねばならない。
アブは日本語文章能力もすばらしく、というより文字通り「天才」だ。
音声ソフトつきパソコンを駆使して、漢字変換まで自在にこなす。
日本人でもアブほど文章力のある人はめったにいない。
だが最大の問題は、構成である。
なにしろ目が見えないから、「ここをこうして、ここはもっとふくらまして、ここは
こっちに持ってきてこことつなげて…」という、ふつうに私たちが編集者とやる作業が
まったくできない。
そのためには、最初からかなり構成をきっちり考え、その構成に沿って書いていけばできあがるという方法をとろうということになった。
その辺は、ワタル社長が素人(大学の先生やミュージシャンなど)に文章を書かせるプロなので、ノウハウを教えてもらった。
で、構成をつくるためには、アブがどんな「材料」をもっているのかこちらが
知る必要がある。
そんな逆算の上で、ワタル社長と私でアブの半生記を聞くことにしたのだ。
もっともネタの宝庫なだけに、この日だけでは3時間かけてもスーダンから日本に出発する前までしか行かなかった。
続きはまた来週ということで、分かれて吉祥寺に酒を買いに行ったのだった。

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  1. 山中温泉 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; Trident/4.0; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729)
    高野さんのブログをいつも楽しく読んでいます。
    ここで知ったアブちゃんのブログも時々見てます。
    ところどころ変換が間違っている部分もありますが
    書き手に熱意があり同じように読み手に熱意があれば
    小さなミスを乗り越えるのは簡単でした。
    アブちゃんの本を読むのが待ち遠しいです。

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