アコギの神様のコンプリート本、『石川鷹彦WORKS II』を編集しました。
去年の9月から制作にあたっていた本が8月末に出版された。
「石川鷹彦 WORKSⅡ」(石川鷹彦ワークス・ツー)
石川鷹彦といえば、日本のフォークミュージックを支えた、スーパーギタリスト。
伊勢正三、南こうせつ、かぐや姫、吉田拓郎、イルカ、さだまさし、中島みゆき、アリス、長渕剛、松山千春、森山良子、ふきのとう、水谷豊……。ずらりと並ぶ参加アーティストのディスコグラフィーは、彼がフォークの中心にいたことを雄弁に物語っている。
まさしく“アコギの神様”だ。
その“神様”のWORKS=業績をまとめたコンプリート・ブックが「石川鷹彦 WORKSⅡ」である。
2009年に放送されたNHK趣味悠々に石川さんが講師として出演した際、番組テキストの編集を私が担当した縁で、今回の編集チームに加えてもらうことができた。
ちなみに、Ⅱの名の通り、今回の本は石川鷹彦コンプリート本としては2冊目である。
1冊目の「石川鷹彦WORKS」は、2003年に出版。今回は、そこから10年経過し、ソロ活動にも力を入れてきた軌跡や、参加シングル、アルバムのディスコグラフィー、10年の間に加わった新しいギターや、制作環境、さらに趣味や家族など、さらに一歩踏み込んだ“熱い”本に仕上がっている。
ひとえに、初代「WORKS」を立ち上げた、編集長:小林和朋さんの石川さんへの熱い思いが編集チームに深く浸透していたのが、大きな理由だろう。
私は、特別対談として、押尾コータローさんとの新旧ギタリスト対談をおさめた「SPECIAL TALK SESSION」、10年間のソロライブの日時、会場、セットリストを掲載した「石川鷹彦ソロライブ・データファイル」、雑誌、新聞類を紹介する「BOOKS & MAGAZINES SCRAP COLLECTION」、石川家のみなさんに取材した「家族から見た石川鷹彦」の各コーナーを執筆、またはデザインし、その他のコーナーに編集担当として携わった。
自分自身は、超マニア向けの本よりも、初心者でも入りやすく楽しめる(でもちゃんと深みにはまっていけるような)本を作るほうが向いていると思っている。
そういう意味では、コンプリート本は日ごろ自分のいる実用系書籍のフィールドとは若干趣旨が異なり、コーナーのタイトルや、リード文1つとっても、読ませ方や、読ませる相手のツボが違う。
編集長の小林和朋さんは、もともと週刊ゴングの編集部で働いていただけあって、ヒーローの見せ方、讃え方、そして、支えるファンへのアプローチが秀逸だ。
確かに、プロレスラーとミュージシャン、プロレスファンとアーティストのファンは、カリスマ性と熱狂的な支持という点では共通点が多いかもしれない。
「渡さん、このタイトルでは、この本のイメージに合わないですね」
「リード文をもう少し堅めで落ち着いた雰囲気に」
など、いろんな〆切をくぐり抜けながら、書き上げた原稿や、レイアウトがばっさばっさとダメ出しをくらう。
「わかりやすさ」を優先させると、「アーティスト像」がおろそかになる、といったら言いすぎだろうか。読者にとってわかりやすいように、かみ砕いたり、比喩などで説明をすればするほど、手の届かない存在であるはずのアーティストが身近になってくる。
ジャイアント馬場や、アントニオ猪木が普通の人であってはならないのだ。
もちろん、本人たちはいずれも“いい人”だったり、“ふつう”の部分もあると思うのだが、ファンの望むイメージは大事にしなくてはいけない。読み手にとって「わかりやすくなる」ことで、本来触れるべきでない、読者の持っているイメージにまでタッチしてはいけない。その世界観を保ちつつ、“普通の顔”や“飾らない姿”を見せてこそ、コンプリート本のあるべき姿なのかもしれない。
最終的には、編集チーム内スタンスの違いもうまい具合に収斂され、バラエティーに富んだ紙面という形で着地したと思う。
「家族から見た石川鷹彦」の取材では、石川家のみなさんから貴重な話をたくさんお聞きすることができた。
天才がこの世の中を生きていくのは、本当に大変なことだが、身近に天才を抱えた家族の大変さというのも、また我々一般ピーポーの想像の範囲外にあることは間違いない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『石川鷹彦WORKS Ⅱ』は、全国の書店、楽器店でお求めいただけます。また、オフィシャルサイトから、郵便振替 or ゆうちょ銀行宛て振込でも購入できます。実はAmazonでも購入できるんですが、オフィシャルサイトから購入いただけますと、大人の事情により、私含め、制作チーム全体が泣いて喜びますm(__)m。
http://www1.icnet.ne.jp/works/works1.html
2016年12月より、こちらでも販売中です(送料無料)
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