楽譜が1つも出てこない!カラオケ上達本を編集してみた
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最終更新日:2013/03/27
あれこれ思考してみる, 今日のお仕事 NHK趣味Do楽, 広瀬香美, 歌
5月から取りかかっていた本が、昨日発売になりました。
「NHK趣味Do楽 誰でも歌はうまくなる!広瀬香美のボーカル・レッスン」
広瀬香美さんといえば、『ロマンスの神様』や『promise』、『ゲレンデがとけるほど恋したい』など、冬をテーマにしたヒット作から「冬の女王」の異名をもつボーカリストです。90年代にスキーやスノボをやっていた人なら、どのゲレンデにいっても彼女の歌が流れていたのを覚えているのではないでしょうか。
さて、その広瀬さんが、歌に対してコンプレックスのある人を、カラオケで自信を持って歌えるようにレクチャーするのが今回の番組、ならびにテキストです。
表紙には「カラオケ王(キング)・カラオケ女王(クイーン)になれる」と歌っている通り、番組では実際にカラオケ店に行っていろんな曲を歌い、最終的には大勢の聴衆の前で歌を披露することを目標に据えています。
広瀬さんは音楽家としての活動に加え、1999年に設立した「広瀬香美音楽学校」の校長として、生徒に直接歌を教えており、実体験に基づいた教え方の引き出しがたくさんあります。
そこで、なるべく具体的な悩みや問題をとりいれ、より多くの人が歌にトライしてもらえるような作りにすることを編集方針のトップにすえたのですが、すぐに大きなカベにつきあたりました。
楽譜が使えない……。
多くの人が手にとってもらえる本にするなら、なるべく敷居を低くしなくてはいけませんが、歌の本ですから音楽の説明はある程度必要です。
一方「歌はともかく音楽は苦手…」と感じている人は、五線譜アレルギーを患っていることも多く、楽譜を一切用いず、どうやって説明するのかということが課題となりました。
(うーん、どうしよ)
番組では広瀬さんが生徒役のみなさんに直接教えますので、例えば「こう歌ってください」と模範を示せば、それを聞いて歌うことができます。しかし、テキストは独習ですから、生徒自身が本から情報を読み取って、それを模範に練習することになります。
(うーん、どうしよ…悩)
ふだん楽譜出版社で自分が担当している本であれば、模範の部分を五線譜で掲載してめでたしめでたしなのですが、今回は編集方針によって禁じ手になっています。
さらに、歌の場合は歌い手によってキー(曲の音の高さ)が変わるため、五線譜で表記してしまうと、そのキーにしばられ、自由に歌えないという問題もありました。
(うーん、どうしよ……ぐぬぬぬぬ)
声楽では固定ド(楽譜に表記された実音通りに歌う)、移動ド(移調して元の楽譜の階名のまま歌う)といったようなキーの問題の回避方法がありますが、それを説明すればさらに泥沼化……しますよね(笑)。
(うりゃぁあああ!)
ということで、散々悩んで試行錯誤した結果、全128ページ中、1度も楽譜が出てこない歌のレッスン本ができあがったという次第。
番組は10月2日(火)から、毎週火曜日 午後9時30分〜55分まで全8回の放送予定です。ちょうどレッスンが終わる頃には12月の忘年会シーズンに突入ですから、二次会、三次会のカラオケ対策としてもおすすめです。
ぜひ、今年はカラオケ王・カラオケ女王を狙ってみてはどうでしょうか?(微笑)
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