祝!創立12周年。MOの読み方で世代がわかる、小社とデジタル環境の移り変わり。
先週の土曜日、10月29日(土)、会社創立から丸12周年を迎えた。
干支で一回りしたことになる。
今年に入って、事務所を移転することを決め、4月に調布から府中へ移った。
10年以上経つと、会社でつくった制作物だけでも相当な数になる。制作時の資料もある程度とっておいたので、荷物のほとんどは本と紙の束だった。
3か月ほどかけて、事務所のモノを仕訳していった。
楽器やパソコンなど、場所をとり、使わないものは、思い切って処分した。
引越は、過去を見つめるいいタイミングだと思う。
モノには、過去の経緯とその時代の記憶が宿っていて、手に入れた当時と変わらないものもあれば、すっかり変わってしまうものもある。
事務所にあったモノと向き合うことで、この12年間の業務内容や、働き方を振り返ることができた。
例えば、クローゼットに入っていたMO。
エムオーという。
最近の人は知らないかもしれない。
2004年の創業当時、出版物はデジタルに移行していたけれど、まだDropboxもOneDriveもギガファイル便もなかった。
結局、納品だけはMOかCD−Rというモノにして渡すしかなかったのだ。
校正のやりとりも様変わりした。
21世紀に入ったというのに、まだ紙でやりとりしていた。
コピー機にスキャナー機能が搭載されているオフィスはまだ少数派で、みんなせっせとFAXを送っていたのだ。
今は、PDFに直接赤字を書き入れ、メールでやりとりして、そのままデータでクライアントに納品することも少なくない。
デジタル化が進んだといいつつも、最後はまだアナログで処理しなくてはいけない時代だったのだ。
今からたった12年前の話である。
この12年で、自分の仕事は「音楽」「出版」という2つの軸から、少しずつ動いてきた。
制作物だけ見れば、ピアノ、山、ゴルフ、ギター、大日本帝国海軍、ガルパン、飛行機、尺八、箏、エルヴィス・プレスリー、ベンチャーズ、宿坊、寺、伊藤壇(サッカー選手)、趣味の園芸、NECのウェブページ、電化製品のスタートガイド(笑)、など、相当に節操がない(まだあるけど、とても書ききれない)。
しかし、12年間、まったく変わらなかったことがある。
それは「難しいことを、文字とデザインで、わかりやすく解説する」ことだ。
テーマが何であっても、表現方法が本やウェブ、映像などに変わっても、これだけは変わらなかった。
自分の関わった制作物は、すべて「わかりやすく解説する」という同じ目的のもと、つくったものばかりだ。
たぶん、これが自分の強みであり、得意なジャンルということなのだろう。
12年たって、やっと気づいた。
さて、引越は過去を見つめるいいタイミングだと書いたが、同時に、未来を考えるきっかけをくれる大事なイベントでもある。
次の申年がくる12年後、自分たちを取巻く環境はどう変わっているのだろうか。
そして、自分はこの得意な分野を、どう伸ばしていけるだろうか。
まずは、それを書くために、会社を存続させなくてはと思う。
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