*

「何のようぞ」の心で大日本帝国海軍の本を編集しました

公開日: : 最終更新日:2015/04/20 今日のお仕事, 編集のお話

ユーキャンから発売されたDVD「大日本帝国海軍」の鑑賞ガイドを編集しました。

興味のある方はこちらをどうぞ。大日本帝国海軍 DVD
 

IMG_5729

鑑賞ガイドのタイトルは「大日本帝国海軍の基礎知識」。

音楽の出版物の編集からスタートした小社も、気がつけばミリタリーもできるようになりました。
いったい私たちはどこへ向かっているのでしょう。

さて、日本の軍隊や戦争ものは、1945年8月15日という着地点があるため、時間軸で編集すると暗い方向に行きがちです。
何年の何月何日に○○をして、翌年○○がどこどこへ・・・と歴史をなぞっていくと、途中、どれだけ華々しい活躍や、実績を紹介しても、行き着く先は「玉音放送」が待っているからです。

しかも、今回は海軍ですので、ミッドウェー海戦から先は、判断ミス、リーダー不在、敵兵器との性能差ありすぎ、物量差もありすぎ、最後は根性論、などによって、目を覆いたくなるような状況が3年近くも続きます。

企画の段階から、DVDは、明治元年の海軍創建からこってり歴史をなぞるという話だったので、担当さんと「鑑賞ガイドは別の方向がよいですね(両方とも歴史をなぞると鬱になりますね)」という基本方針で合意(?)しまして、あとはこちらに任せてもらいました。

そんなタイミングで「艦これ」がはじまるなど、海軍まわりがにわかに活況を呈してきたのですが、“萌え”の要素は一切ない、いたってまじめで面白い本にしたつもりです。

余談になりますが、「艦これ」前と後とでは、ネット上での海軍周りの検索結果が180度違っていて、例えば、Googleで戦艦名を入れて画像検索すると、以前は武骨なモノクロ写真かプラモデルくらいだったものが、今では萌え萌えの絵で埋め尽くされております。

kongo

白状しますと、かくいう私も編集作業中にやりはじめたわけです。
結果として、擬人化によって戦艦の名称や関係性がすっと入ってきたのでよかったのですが、以降、戦艦名を聞くとキャラのイメージが勝手に脳内変換されるようになって困っています。

・・・。

話を元にもどしましょう。

時間軸で追わないことのほかに、代表的な海戦の戦術や、勝敗分析といった、海軍本でよくあるテーマも扱わないことにしました。
その代わり、兵の一日のスケジュールや、艦上での役割。海軍で食べられていた食事、さらにその食事を作っていた主計兵(しゅけいへい)たちの様子など、あまり積極的に伝えられてこなかった兵たちの日常や生活を紹介することにしました。

例えばこんな見出しです。

「住めば都?の艦隊暮らし」
「大日本帝国海軍を支えた男の料理」
「艦上生活で許された兵や下士官の持ち物」
「海軍式の徹底した節水生活」
「酒保、それは兵員たちの心のオアシス」

幸いなことに、担当さんや営業のかたにも喜んでいただけ
さらによいことに、テスト販売での評判も上々のようです。

ということで、最近のお仕事のお話でした。

ちなみに、編集中にいつもお世話になっている保険会社の方が来社されたので、「今、海軍の本を編集しているんですよ」と話してみたら、なんと!お父様が海上自衛隊の元海将で、阪神大震災時の現場指揮官をされていた方でした。。。
ご本人も、昔からお父様の影響で、海軍関係の本や映像に触れていたとのこと。
人はどこでどうつながっているかわからないものです。

そこで、お父様、仲摩徹彌さんについて調べてみましたら、本を出されていましたので、早速購入。
著書『危機突破リーダー』(草思社)の帯には「阪神大震災の教訓はなぜ東日本大震災に生かされなかったのか。」とあり、ありし日の大沢親分や張本勲のような「喝!」が飛びまくっていて痛快です。
社長はもちろん、管理職や組織のリーダーを任されている人に、ぜひオススメしたい一冊でした。

この本のキーワードは「何の用ぞ」。
大日本帝国海軍でも受け継がれていた言葉です。

その意味は、
「自分が何のためにそこにいるのか、今自分しかできないことは何なのか」
ということ。

次の仕事も「何の用ぞ」でがんばりたいと思います。

次のリンクはユーキャンの通販ショップへのリンクです。興味のある方はご覧ください。大日本帝国海軍 DVD

PR

関連記事

no image

昔取った杵柄

今年からリットーミュージックの管楽器向け雑誌「サックス&ブラスマガジン」にて連載を担当している。

記事を読む

no image

10月のお仕事〜ボカロのギタースコア

今日で10月も最終日。2012年も残すところ2か月となりました。 最近のお仕事が形になりましたので

記事を読む

no image

最近のお仕事 2011年2月

 サンプル本が届く。  「沖縄三線で歌う 童謡・唱歌集」(ドレミ楽譜出版社)  三線の本は今までにも

記事を読む

no image

レコーディング仕事

 都内近郊のスタジオでギターソロのレコーディング。ギタリストは日本のショーロ界で知らぬ人はいない田嶌

記事を読む

no image

新刊なのに昭和の香りムンムン

 「見た目は第1印象に影響を与える」  これについては、異論持論をお持ちのかたも多々おられるのではな

記事を読む

no image

ミャンマー、韓国、一五一会、マレーシアな11月。

 ミャンマーでの強烈な体験がいけなかったのか、出国前の尋常じゃない仕事ぶりが仇になったのか、10月か

記事を読む

no image

やっとこCS4を入れてみた

  アップルとアドビのフラッシュを巡るいざこざは、傍観者からすると  「アップル、そこまでしなくても

記事を読む

no image

一五一会スコアマガジン Vol.5

  今週はドレミ楽譜出版社より発刊されている季刊誌「一五一会スコアマガジン」の春号を製作中です。 一

記事を読む

no image

敗北宣言

ま、負けたであります・・・。 昨日、「.htaccess」にて一件落着のはずが、他のブログに影響が出

記事を読む

no image

タップダンステキスト紹介ムービー

 仕事が終わったことに安堵してしまったのだろう。  前回の記事で、最大の売りになる大事なことを書き忘

記事を読む

PR

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

PR

2020年1月21日(火)@赤羽/新宿二丁目ママ歴27年、涼ママの歌とトークと焼肉ホルモンde笑ってナイト、大盛況でした。

 久しぶりのイベント復帰、どんなことになるだろう……と思いつつ、フタ

2020年1月21日(火)@赤羽/新宿二丁目ママ歴27年、涼ママの歌とトークと焼肉ホルモンde笑ってナイトをプロデュースします。

 あっという間に2019年が過ぎ去り、2020年入り。 明けましてお

小林家と居倉家の対面について書かれた福島民友新聞社の記事。
小林家のファミリーヒストリー 〜信州から会津に行ったご先祖様〜

NHKに「ファミリーヒストリー」という人気番組がある。 毎回、ひ

出版不況の中、デジタルオンデマンド印刷の登場は、業界をどう変えるのか?
出版不況の中、デジタルオンデマンド印刷の普及で出版界はどう変わる?

このところ、本の雑誌社の杉江さんと「おとなの社会科見学」が続いている。

レンガ状に配置された「Project」。今回、会社のサービスを紹介する場所に使いました。
WPテーマ「Perth」の設定で困ったこと③プロジェクトが表示されない!

先日、会社のホームページをリニューアルしました。Wordpressの「

→もっと見る

  • 2024年4月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑