めんそ〜れ!知名定男の三線入門スタート
公開日:
:
最終更新日:2012/05/25
今日のお仕事
今日から、趣味悠々で三線の講座が始まる。
先生は、沖縄島唄界の大御所、知名定男(ちな・さだお)。
沖縄音楽にあまり興味のない人でも、「ネーネーズのプロデューサー」といえば、何となくわかる人もいると思う。
ORANGE RANGEや、BEGINどころか、NHKの連ドラ「ちゅらさん」やTHE BOOMの「島唄」が爆発的にヒットし、今のように沖縄ブームが定着するず〜っと前から、沖縄音楽の未来を想って歌い続けてきた唄者(うたしゃ)の一人である。
趣味悠々は、50〜60代の視聴者が多い番組であり、音楽ものはピアノやギターが定番となっていて、その合間にウクレレやリコーダーといった“その他”の楽器が入る。
「何か企画はないですか?」という担当編集さんの問いかけに、ふたつ返事で返したのが三線だった。
私は前職のドレミ楽譜出版社時代、三線の教則本や曲集の企画をぶったてて、ほぼ無広告ながら、ゼロから結構な売上をつくった。その時の経験もあり、広告やテレビが加われば、ケタが1つどころか2つ変わってもおかしくないほどの潜在力が、三線にはあると勝手に踏んでいた。
はたして、企画は遡上する鮭の勢いで上流へと向かい、番組として成立するにいたる。
しかも、講師は現在の沖縄島唄界でトップの知名定男である。
彼はいわゆる島唄といわれる琉球民謡だけでなく、宮廷で演奏されていた琉球古典、また八重山などの地方の島唄を歌い、さらにはアレンジも自分でこなすほど、コードや洋楽器にも通じている。つまり、沖縄の音楽をさまざまな面から語り、歌うことのできる人物だ。
この人より上といえば、“誠ぐゎー”(せいぐゎー)の愛称で呼ばれ、映画『ナビィの恋』で名俳優を演じた唄者、登川誠仁(のぼりかわせいじん)くらいしかいないだろう。
知名さんとは7月に顔合わせをし、8月、沖縄の自宅へ取材に伺った。取材は連日で2週間に渡り、最後は知名さんの“行きつけ巡り”も加わったので、文字どおり、朝から晩までいろんな話をお聞きした。
赤ら顔になった知名さんがこう語っていたのが印象に残っている。
僕は11歳で「天才少年現る!」ってデビューしたから、よくもわるくも、当時の無茶苦茶だった先輩たちに連れ回されて、一緒に歌を歌い、彼らからいろんなことを学ぶことができた。
当時はとんでもない人のところへ来てしまったと思ったし、はやく抜け出したいとも思ったけど、彼らの受け継いできたものがあるおかげで、今の自分や、自分の歌がある。
沖縄の若いミュージシャンにもうまいのが沢山いるけど、そういうことを知っているのと、知らないのとでは、歌に絶対違いが出てくる。
だから最近は自分から若いもんに話にいくことが多い。
「おい、オレの話を聞け!」と。
“若いもん”にしてみれば、ヤクザみたいな怖いおっさんに説教されて迷惑この上ないはずだが、次第に耳を傾けるミュージシャンが増えているという。
島唄のように、土地や歴史背景に根ざしたある種の“ソウルミュージック”には、そういう系譜の伝承があってこそ、曲に魂が入るのだろう。
30分番組では、そこまで触れることはないだろうけれど、テキストのコラムには、知名さんのその思いを少しだけ書いておいた。
ちなみにテキストは、写真と図版を多用した丁寧なつくりになっているので、ヤクザなおっさんも、ソウルも、若いミュージシャンも関係ない、入門用教則本です(汗)。
それから、島唄を独習できるように、知名さんのアルバム『島唄百景』から定番の6曲を抜粋した付録CDもついています。
「めんそ〜れ 知名定男の三線入門」
NHK教育 毎週水曜日22:00〜22:25/再放送:翌週水曜日12:00〜12:25
レッスン曲◆靴が鳴る/涙そうそう/黄金の花/安里屋ゆんた/てぃんさぐぬ花
テキストはNHK出版より 定価:1260円
CD収録曲◆安波節/祝い節/遊びしょんがねー/恋ぬ花/浦波節/染みなし節(全曲工工四付き)
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