映画『レイ、初めての呼吸』を観る
公開日:
:
最終更新日:2012/05/25
つれづれ日記
ちょっと前の話だが、11月のあたま、久しぶりに映画を観に行った。
タイトルは『レイ、初めての呼吸』。
高校の同期、梶野純子さんが監督をつとめる作品だ。
あらすじをざっくりと説明すると・・・
10年前の沖縄で、一人の少女がアメリカ兵から暴行を受けた。
反米、反基地など、世論をつき動かしたその事件から月日は流れ、大人になったレイは、心と体に傷を負いつつも、それを取り除こうとアメリカへ渡る。
彼女の向かった先は、かつて自分の体を傷つけた2人の元アメリカ兵。そこで彼女は父の過ちについて何も知らない息子パリスを誘拐する。
父の過去を初めて聞かされるパリスと、過去のフラッシュバックに苦しみながら一人の人間へと立ち戻ろうとするレイ。それぞれの心情の変化が二人の会話を通して細やかに表現されていく。。。
日米で丹念に撮影された映像は、青い空と海、太陽がまぶしい沖縄と、どんよりと灰色の曇り空でくすむシカゴという対比にもなっていて、目を奪う。
しかし、それ以上に驚いたのは編集の妙味だった。
沖縄、米兵、暴行、誘拐、告白・・・。
どれ一つとっても明るいテーマではない。
たとえ、映画の伏線となっている「憎しみではなく、赦しから生まれてくるもの」を描くにしたとしても、事実をそのまま伝えるドキュメンタリー映画でもなければ、避けて通りたいネタの数々である。
それらの重いテーマを、重く感じさせず、相手に深く考えさせ、そして、教訓めいたり、正解を押しつけたりしない。
カット割りや、構成など、映画の国、アメリカで身につけた技と、日本人特有の細やかさが見事にまとまった作品だと思う。
終演後、同期の登内くんとともに、梶野さんに直接を話を聞いてみた。
すでにこの作品はアメリカ国内で上映されているけれども、日本での上映は試写も含めて相当ハードルが高いという。
そもそも、映画に対する人々の付き合い方もアメリカと日本ではだいぶ違っていて、彼らは夕食後に「ちょっと映画でも観ていく?」みたいなラフな雰囲気で、テーマもその時その時で変えていく。
だから、もちろんエンターテイメント性の高い作品は人気を集めるけれども、それと同時に社会派のハードな作品にも一定数のニーズがある。そして、それに応えるだけのシアターが存在するのだという。
大抵の人が映画を観ることを数日前から決めている日本とは、環境も大きく異なるのだ。
11時5分からの試写なのに、11時に駅について危うくオープニングを見逃すところだったが、「間に合った〜」と汗をかきながらひとりほっとしていたら、斜め後ろに伊那北同窓会長の東條さんやら、加山さんやらがいて、
「小林、あぶなかったな」
といわれ、さらに大汗をかいてしまった。。。
『レイ、初めての呼吸』についてはこちら
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小林君、
上映へ来てくれて本当にありがとう。あの編集方法に行きつくまでに2年くらいかけました。それを気に入ってもらえるのは長い年月をかけた効果が少しはでているのかな?と嬉しくなります!映画は今月27日まで大阪で上映しております。関西の方は大きな画面で是非ご覧ください。