最終的にはパッション
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
宮田部長の『だいたい四国八十八カ所』(本の雑誌社)が重版になったそうだ。
このすさまじい出版不況下で、単行本に重版がかかるのはすごい。
タマキングファンが増えているのかお遍路好きな人が知らずに買って読んでいるのかはわからないが、いずれにしてもめでたい。
めでたいついでに、是非次は文庫化されたばかりの『ふしぎ盆栽 ホンノンボ』(講談社文庫)を読んでみてほしい。
もちろん私は単行本発売と同時に買って読んでいて、面白いと思ったが、
『晴れた日には巨大仏を見に』(幻冬舎文庫)に比べると、地味でB面的だと感じていた。
ところが再読すると、記憶以上に素晴らしい。
今となっては巨大仏よりこっちのほうがいいと思える。
ベトナムの盆栽ホンノンボをひたすら訪ね歩く旅の話だが、
なぜホンノンボが好きかというと、それを見ているだけで、
その中に迷い込んで旅をしている気分になるからだという。
精神的に旅をする装置を求めて物理的に旅するという話なのだ。
宮田さんは旅がほんとに好きなんだなと思う。
ていうか、この人ほど「旅」について朝から晩まで考えている人はいないんじゃないか。
ふつうの人はいくら旅好きでも、もっと他にいろいろ考えることもあるし。
やっぱり本は書き手の情熱で成立するものだと改めて思う。
情熱。英語でいえばパッション。
なぜ英語で言わねばならないか不明だが、パッション宮田と今後は呼びたい。
☆ ☆ ☆
取材で、横浜のベリーダンスショーに行く。
イラン人のミーナさんと、その下で活動している日本人インストラクターが踊っていたが、
ミーナさんのど迫力のバディとふつうの日本人女性では
技術のレベル以前に同じダンスには見えなかった。
関連記事
-
ナカキョー、直木賞を受賞
私が前々から熱烈に推薦するナカキョーこと中島京子さんが 『小さいおうち』(文藝春秋)で直木賞を受賞
-
ミャンマーでまた政変?!
さあ、「ビルマロード」へ行くぞ!と気合を入れ、さらに今年末には「イラワジ河ほぼ全流下りをやるぞ!」
-
『ルポ アフリカ資源大国』
ソマリアに行ったことのある日本人ジャーナリストはいないかと調べてみたら、 毎日新聞のアフリカ特派員だ
-
ファミコンって何だろう?
土曜日にアキバ系中国人のカリスマこと「魚干」君に会った。 まだ22歳、日本に来て半年なのに日本語は流
-
彼らもイランに行った
自分の本が出ると、意味もなく書店に“確認”に行くという癖は 何冊出しても換わらない。 今回も『アジ
-
震災のリアルを超える傑作
本屋大賞を受賞した『謎解きはディナーのあとで』という本を私はまったく見たことも聞いたこともなかった
- PREV :
- 両国の暴走特急相撲
- NEXT :
- 「困ってる人」史上最大の作戦