発掘!笑えるノンフィクション・その1
公開日:
:
高野秀行の【非】日常模様
笑えるノンフィクションを募集したところ、たくさんの方から、当ブログのコメントや
ツイッター、あるいは私への直接のメールなどで、笑えるノンフィクション情報が寄せられた。
中には既読の本もあれば、存在は知っているが呼んだことのない本、全く知らない本もあった。
それらを片っ端からAmazonで探して注文している。
以後、面白かった随時ここで紹介し、「笑えるノンフィクション・ベスト100」に入れていきたい。
(なぜベスト100なのかは不明)
1.まずは本の雑誌社の杉江さんに教えてもらった、中野渡進『球団と喧嘩してクビになった野球選手 選手とファンからは今も愛される、現モツ鍋屋店主の独白』(双葉文庫)という副題も含めるとえらく長いタイトルの本。
横浜ベイスターズに入団、実労はほぼ1年に過ぎずクビになってしまったのに、野球界の大物選手たちから可愛がられたアウトロー的な投手の物語。
変なピッチングをしているとマウンド上でみぞおちにパンチを入れる谷繁(現中日監督)や
なぜ自分の携帯にエロ画像を送ってきてはいけないかを理論的に滔々と語る「精密機械」小宮山悟など、
球界の変人たちの話は最高である。
この本は構成がとてもいい。編集者とライターが優れているにちがいない。親本はミリオン出版。
エロ雑誌を作っているという漠然たるイメージしかなかったが、いい仕事をやっている人たちがいると
認識をあらためた。
上記の本を注文したらAmazonに薦められた。実際に面白く、それどころかすごく雰囲気が似ている。
中野渡さんにとってのシゲさん(谷繁)が愛甲さんにとってのオチさん(落合現中日GM)になるとか。
全体としては暴露本では決してなく、仕事としてのプロ野球という視点がとても面白い。
冒頭の「人間関係が見える『ベンチの距離』」だけでも、なるほど〜と目から鱗だった。
関連記事
-
-
ラジカル加藤、現る!
「ワセダ三畳青春記」にちょっと書いたが、探検部の二つ上の先輩で 「ラジカル加藤」という人がいた。 仮
-
-
おもしろくないことがおもしろい
キタ帰国の二日後、つまり6日から9日まで沖縄に行ってきた。 10年以上前、大連に短期留学をしたときさ
-
-
怪談実話系7で「神隠し」
『怪談実話系』というシリーズをご存じだろうか。 実話という建前で、でもフィクションも交えた「怖い話
-
-
西原理恵子『できるかな クアトロ』
私が「解説」を書いた西原理恵子の『できるかな クアトロ』(角川文庫)が届く。 漫画部分は例によって
-
-
ビルマロード完全走破!
。 (写真:ナガの吊り橋を渡るロケ隊のバイク) 40日にわたるミャンマー辺境のロケを終え、今日の昼
-
-
海賊国家プントランド
今回の旅の目的は謎の独立国家ソマリランドの実情を探ることだが、 そこにいると同じ意見しか聞けない。
-
-
いよいよ『困ってるひと』
私がプロデュースする第1弾、大野更紗『困ってるひと(ポプラ社)の見本ができた。 カバーイラストはウェ
-
-
イギリスにもタマキングがいた!
書くのがだいぶ遅くなったが、今年最初に読んだ本は早くも今年最高の本になる可能性がある。 ダグラス・
- PREV :
- 笑えるノンフィクション・旅行記を教えてほしい
- NEXT :
- アラスカへ逃げたい