2013年小説ベストワン決定
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高野秀行の【非】日常模様
風邪は治ったものの今度は咳がひどく、声もがらがら。
とくに夜になると咳が止まらず苦しい。
朝起きてもぐったり疲れている。
そんなわけで連休中はうちにこもって本を読んでいた。
すごかったのは乙川優三郎『脊梁山脈』(新潮社)である。
冒頭数行読んだだけで「ものがちがう」と思った。
杉江さんも言っていたが、昭和の文士かという文章だ。
登場人物の会話も、あまりに整っていて昔の映画(例えば小津安二郎とか)の台詞のようだが、
そこに強烈なリアリティがある。
自分も戦後まもない頃、汽車で復員しているような錯覚におちいる。
この小説については多くの人が書くだろうから私がとやかく言う必要はない。
ただ、こんな小説を読んでしまうと他の小説がまったく読めなくなる。
自動的に2013年小説ベストワン決定である。
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