*

千葉のソマリランド人

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

千葉県東金に住むソマリランド関係者がいる、と前に書いた。
曖昧な言い方をしてしまったが、その人物、実は関係者どころか生粋のソマリランド人。
それどころかソマリランド建国の英雄のひとりである。
城西国際大学で経済学を教えるイブラヒム・メガーグ・サマター教授。
この先生、実は旧ソマリア共和国時代は、財務大臣、産業大臣などを歴任したが、
独裁政権に嫌気がさして決別、ゲリラ活動に身を投じた。
1991年にソマリランドが独立したとき、国会の議長にもなったが、
時の大統領と関係が悪化して、再び離脱。
その後、アメリカ経由で来日、もう10年になる。
今日メガーグ先生に会いに千葉へ行ったが、田んぼの緑がすごいこと。
森も緑で、そこらじゅう緑。もちろんラクダもいない。
頭の中はソマリランドの砂漠だったので、そのギャップに戸惑ってしまった。
まさか先生も、悲願である祖国の独立を果たしたあと、千葉の田んぼの中に住むようになるとは夢にも思わなかったろう。
全くもって波乱万丈の人生というしかない。

関連記事

no image

『メモリークエスト』やっと発売

見本ができてからあまりに長い時間がたったので すっかり実感を失ってしまっていたが、 今日(10日)

記事を読む

no image

手がもぞもぞ

ジュンク堂新宿店で上映会+サイン会。 ここで本を見たり買ったりする以外に自分が何かするというのは な

記事を読む

no image

奇跡のリンゴ

ブームが過ぎたベストセラーほど、読む気にならない本もない。 でも今は在庫一掃読書。 石川拓治『奇跡

記事を読む

no image

スリランカ人しかいない焼肉屋

探検部の後輩たち数人と渋谷のラブホ街の真ん中にある焼肉屋に行く。 裏情報誌「裏モノジャパン」の編集長

記事を読む

no image

おとなの週末

またしても「こんなときに」という話だが、講談社の月刊グルメ誌「おとなの週末」で 「移民の宴(うたげ

記事を読む

no image

3回目のボリショイ・サーカス

「本の雑誌」9月号の特集「エンタメ・ノンフ座談会」のゲラを校正する。 これがメチャクチャおもしろい。

記事を読む

no image

目指すはドリトル先生

読者の方からご指摘があったが、今回の『メモリークエスト』のカバーは 「ドリトル先生」をイメージした

記事を読む

no image

タンデム三輪車「トライデム」

拙著『異国トーキョー物語』の最終章に「盲目のスーダン人留学生・マフディ」という男が出てくる。 本名は

記事を読む

no image

太平洋もインド洋も波高し

 私の「ビルマ・アヘン王国潜入記」英語版"The Shore beyond Good and Evi

記事を読む

no image

豚に乗った少年

千葉の内澤邸へ愛豚を見に、杉江さんと一緒に行ってきた。 でかいという話は聞いていたが、迫力は想像以

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PREV :
なぜか妻が…
NEXT :
デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年9月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑