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ギラギラと輝く船戸ワールドの原点

公開日: : 最終更新日:2014/08/27 高野秀行の【非】日常模様

2014.08.15yamaneko
知り合いである大学の先生が仕事の忙しさを「まるで障害物競走のよう」とたとえていたが、
私もまさにそのとおり。
しかも走っている部分がいくらもなく、障害物をぴょんぴょん跳んでばかり、ときにはひっかかって転倒している。

さて、言い忘れていたが、船戸与一の出世作にして名作『山猫の夏』が小学館文庫から再文庫化(もしかしたら再々文庫化?)され、私が解説をおおせつかった。

20年ぶりに読んだ本書は、冒頭からびっくりするほどの熱量で、ブラジルの焼け付くような大地に
身も心もひきずりこまれてような気がした。
ギラギラと輝く船戸ワールドの原点といってもいい。
こんな文章を書ける若い作家はいないだろうし、今後も出てこないのではないか。

ぜひ渾身の船戸ワールドを堪能し、そのあとで私の解説を食後酒として(?)味わっていただければと思います。

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Comment

  1. mya より:

    記事と関係ないコメントを失礼致します。
    読んでいるブログで高野さんの本が一斉にレビューされていて、なかなか面白かったです。
    http://arabic.kharuuf.net/archives/1532
    最近高野さんのことを知ったらしいですが、凄い勢いで全制覇しようとしています。
    このブログの人も結構変な人です。

  2. 案山子 より:

    高野さんありがとうございます。
    私はずーっと船戸与一先生のファンできた者ですが、不思議だったんてすね。
    あんだけ血飛沫と、情念が弾け飛ぶ世界を描きながら、あの方の書く小説がいつも透明感を漂わせていることに。高野さんの柳生一族を読んで、先生の大人ぶりは解ったが、ますます混乱しました。
    この度、徹夜で一気の再読後に、山猫の後書きを読んで、納得しました。凄くリアルに。
    になみに大したこっちゃねえ…懐かしい。
    昔、不夜城の馳さんがバーテンするバーで、早稲田の学生が船戸先生の作品を盗作だと言ったことあります。
    書いた短篇が、豊浦志郎のルポの盗作だと。
    奥で飲んでいた先生が、相手にしのいで、「大したことじょねえさ」と。
    ファンの私は問題の本と短篇を調べ、尊敬してた先生が盗作したと幻滅しました。
    後で調べたら、豊浦氏は先生のペンネームの一つでした。
    ガキを、の言うことにいちいち動じる気がなかったのでしょうが、
    高野さん含め、モノを作る方は、自己顕示欲強いと思うのです。
    若造に盗作などと言われたら怒るでしょう?
    あの晩を思いだしました。でも、ひょっとしたら照れていたのかな?とも思います。
    山猫は船戸先生自身の投影な気がしました。
    明るいニヒリストとして。

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