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聖なき巡礼

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

大谷幸三という、インドを長く研究し、ブータンやチベットにも造詣が深いライターの方にお会いして話をうかがう機会に恵まれた。
40年にわたるインド滞在&旅でいちばん驚いたことはヒジュラだという。
ヒジュラとは男でも女でもない第三の性とでも言うべき存在で、「半陰陽」などと日本では呼ばれる。
婚礼のとき、歌をうたったり踊りをおどったり楽器を奏でたりして祝儀をもらうという職能集団でもあるらしい。
そういえば、ミャンマーでもきいたことがある。ただミャンマーでは「おかま」という認識だったように思うが。
大谷さんは若い頃、このヒジュラの謎にとりつかれ、半年も一緒に生活したり、
インド全国のヒジュラ4千人に会って話をきいたり、うち数百人は
サリーをたくしあげて、性器の写真を撮らせてもらったというから、たまげてしまった。
そのルポ『性なき巡礼 インドの半陰陽社会を探る』(ちくま文庫)は月刊プレイボーイ主催のノンフィクション賞を受賞し、
今は絶版になっているがアマゾンなどで中古品を購入できる。
さっそく帰宅してから注文した。

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  1. ファン より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US) AppleWebKit/533.4 (KHTML, like Gecko) Chrome/5.0.375.127 Safari/533.4
     ヒジュラは「歓喜の街 カルカッタ」 ドミニク・ラピエール著 では、性転換手術を受けた元男性達で、一つのカーストを構成すると出ていました。
     半陰陽という先天性の奇形にしろ、元男性にしろ、そういう人達にあからさまな役割を与えて社会に組み込んでいくとは、ものすごい文化ですよねー。
     インドには興味が尽きません。

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    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
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