商品マニュアルはなぜ分かりにくいのか?〜編集スキルの応用で解決!〜
このところ、楽譜出版物の編集が少なくなってきたかわりに、思いがけない方向へ進んでおります。
スタートガイド、いわゆる商品に付属する、使い方を簡単にまとめた冊子の制作です。
マニュアルがあるのにどうして? と思うのですが、大抵、デフォルトで付属するマニュアルは、作り手の思いが200%あふれていて、分かりづらいものです。
これにはいろいろ理由があるのと思うのですが、たぶん、マニュアルの制作にあたっては、商品の設計を担当された開発者の方も関わっていると思うので
「この機能も説明したいし、だったらあの機能も説明したい。あぁ、全部説明したい!!」
という願いがそのまま形になったためでは・・・と思います。
つまり、
- 説明したい情報すべてが詰まっている
- 情報の優先順位が明確でない
- 説明の順番が前後したり、別の項目に含まれていたりする
- 専門用語や、その会社、業界では「常識」な言葉がそのまま使われている
- 「商品に対してまったく知識のない人」の想定がない、もしくは甘い。
あたりがマニュアルのマニュアル然とした理由ではないかと思うのです。
ところが、自分もそうですが、『作り手の心、客知らず』という具合でして、どこに何が書いてあるか分からないマニュアルなど読まず、「買ったらすぐに使ってみたい!」というのが実際のところ。
しかし、それだと、大抵うまくいかないので、結局マニュアルを見ることになるんですね・・・。
そういったことのないよう、ユーザーが使ってみたい!と思っていそうなことを、分かりやすく、なおかつ最短距離でたどり着けるように説明するのが、このスタートガイドです。
この制作にあたっては、今までたくさん手がけてきた教則本やテキストの経験が生きました。
特に、「大事なことを抜き出し、分かりやすく説明する」のは、ふだんの編集方針と同じなので、限られた紙面で、文字、写真、図版をどう使うべきか、今までの経験をフル活用しました。
【物事を分かりやすく説明するポイント】
1)専門用語などの難しい言葉は、易しい言葉に置きかえるか、その都度説明する
2)似ているもの同士のグループにわけて、グループごとに説明する
3)大事なこととそうでないことを分け、大事なことから順番に説明する
4)説明の難しいものは、写真、イラスト、図、例え話などを積極的に使う
5)説明する内容が前後したり、グループをまたぐと混乱しやすいのでやめる
今のところ、すべての商品にこの5つのポイントを当てはめ、スタートガイドを作成しています。
スタートガイドに限らず、ふだんの生活で、人に何かを説明するときにも応用できるかもしれません。
そんなわけで、自社商品のマニュアルに不満のある社長さん、おられましたらぜひお問い合わせくださいませ。やや日本人離れした(国籍不明な)風貌の営業担当兼社長がお伺いいたします。
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