*

ナイロビのカリフォルニアにて

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

結局、ナイロビ市内は昼前なら歩いても、気をつけさえすれば、
問題ないとわかった。
酒もちゃんと飲んでいる。
残念なのは、昔私が行きつけにしていた伝説のどん底酒場「グリーン・バー」が
ほんの数ヶ月前に閉店してしまったこと。
ナイロビ在住の旧友、早川千晶さんによれば、
大昔ここに歌手の河島英伍が来て、歌を唄ったという
話があるという。
今、早川さんはその真実を調べていて、
ちょっと聞いただけでも、すごく面白かった。
早く本にしてほしい。
あと、ここでのもう一人の女性の友人は、
マサイ族の第二夫人となったと聞き、仰天。
しかも、その話は日本のテレビで何度も放送され、
マサイ族のダンナも所ジョージの番組にでたりして、
超有名とのこと。
「高野さん、よっぽど浮世離れした生活してんのね」
と言われてしまった。
うう、納得いかん。
さて、ツイッターでは書いているが、
今、イスリというナイロビのソマリ人エリアに
滞在している。
人口の80パーセントはソマリ人だから、
ほとんどソマリランドにいるみたいだ。
もう3日いるが、まだ自分以外の非アフリカ人は、
インド人、アラブ人を含めて一人も見ていない。
大都会でこういう経験は珍しい。
で、なぜか、私のホテルがある地区は、
「カリフォルニア」と呼ばれている。
これだけ本家とかけ離れた場所はないと思うが。
ここは世界のソマリ人の中心地だけでなく、
東アフリカ最大のビジネスセンターの一つだと、
友人のソマリ人は胸を張る。
気持ちよくなる葉っぱも入手し放題なのだが、
そのソマリの友人が信じられないくらいマジメなやつで、
「そんなものはカネと時間の無駄で、身体にもよくない」
なんて言うから、またしても、こっそり買いにいかねばならず、
何をやってるんだか、である。
明日からソマリア国境近くの難民キャンプに
行こうと画策しているが、
うまく行くことやら。

関連記事

no image

「クロ高」英語版届く!

私が熱狂的な「クロ高」ファンだということは意外に知られていない。 クロ高とは、少年マガジンで連載し

記事を読む

no image

帰国しました

昨夜遅くに帰国した。 東京は寒いが、きりっと晴れて気持ちがいい。 ユーフラテス河は、ここで書いたかど

記事を読む

no image

間違う力の巨人、インドにデビュー!!

人は私に「間違う力」があるという。 いや、そんなことはない。 というか、私のやってることなど間違い

記事を読む

no image

『異国トーキョー漂流記』新装版

『異国トーキョー漂流記』(集英社文庫)が今年のナツイチ(集英社文庫の夏の百冊)に 入るにあたり、カ

記事を読む

no image

深谷陽というアジア風天才漫画家

日本にいる時間が残り少なくなってきたので、 駆け足で紹介。 先日行われたmixiのイベントに、純粋

記事を読む

no image

今日から「預言」はやめる

 高島俊男先生の『お言葉ですが… 第11巻』を読んでいて、驚いた。  「預言が『神の言葉を預かる』と

記事を読む

no image

東電に勇気と可能性をもらった

昨日、友人のワタル社長に驚くべき話を聞いた。 東電は今、人手が足りないのか、会社自体が混沌としている

記事を読む

no image

こんなことをやってる場合か

重要事が押し迫るほど、人は余計なことをやりたがる。 明日の出発に備え、歯磨き粉と爪きりと電池を買い

記事を読む

no image

トルコで最も知られたジャナワール写真(画像)日本初公開

私たちがワン湖で撮影した謎の物体の解析をしようとあちこちに依頼しているが、なかなか専門家の方々が

記事を読む

3月〜4月の講座とトークイベント

3月から4月にかけて、私が出演するイベントのご案内です。 3月23日(月)19:30〜 ジ

記事を読む

Comment

  1. Fumikura より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 P04A(c100;TB;W24H15)
    永松真紀さんでしょうか? テレビのみならず、「私の夫はマサイ戦士」という本を5年ほど前にお出しになり、結構話題になりましたよ!

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年11月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
PAGE TOP ↑