*

知られざる名作がまた一つ

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


桜栄寿三『蝸牛の鳴く山』(藤森書店)を読む。
先日お会いした作家の古処誠二さんが「すごくいい本です」と推薦していた本。
戦争関係の書籍を読み漁っている古処さんが勧めるだけあって、
すばらしく素敵な本だった。
太平洋戦争直前の6年間を台湾「原住民」のもとで暮らした
若き警察官の回想録であるが、
半分以上は自分に思いを寄せた(あるいは押しかけ女房になろうとした)娘たちの話で
これがすっとぼけてひょうひょうとした、なんともいえない味わいだ。
読んでいて、羨ましいのに、嬉しくなる。
30年近く前に刊行だから当然今は絶版である。
こういう隠れた「名作」を文庫化してくれるところはないものか。

関連記事

no image

旅いろいろ

私が最近寄稿した雑誌が2冊、ほぼ同時に送られてきた。 どちらも旅の本で、一冊は「バックパッカーズ読本

記事を読む

no image

「大人の遠足」速報

みなさん、お久しぶりです。 私は、アルジェリア領のサハラ砂漠で行われた「サハラ・マラソン」42.19

記事を読む

no image

今さらだが…

角田光代『八日目の蝉』(中央公論新社)を読む。 今まで読んだ角田作品の中で(そんなにたくさん読んでな

記事を読む

熱気ムンムンの概説書

最近、どうにもオーバーキャパシティで、ブログに手が回らない状態が続いている。 一つの原因は対談本を

記事を読む

no image

雲南のツヨカワ花嫁

カゼをひいていたが、雪が降り始めたのでついプールに行ってしまう。 案の定、泳いでいる人はほとんどいな

記事を読む

no image

南米の超古代文明!?

日本唯一、世界でも二人しかいない「カーニバル評論家」で、 『カーニバルの誘惑−−ラテンアメリカ祝祭

記事を読む

no image

「イエティは現実だ」

長らく待っていたブータン行きがやっと決定した。 来週の14日(水)に出発となった。 期間は約一ヵ月半

記事を読む

no image

啓文堂の罠

 京王線沿線に住んでいるため、同線沿いに展開している啓文堂に入る機会が多く、 同時に啓文堂各店(あ

記事を読む

no image

最終的にはパッション

宮田部長の『だいたい四国八十八カ所』(本の雑誌社)が重版になったそうだ。 このすさまじい出版不況下

記事を読む

no image

別ジャンルで2つ上がる

「本の雑誌」2008年1月号が届いた。 2007年度ベスト10に『怪獣記』が6位にランクイン。 昨

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇のお知らせ

高野さんより、「デビュー35周年記念・自主サバティカル休暇」のお知らせ

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

→もっと見る

  • 2025年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
PAGE TOP ↑