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名探偵クイズ

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


うっかりしていたのだが、5月に本の雑誌社から『作家の読書道3』が刊行されていた。
柳広司、阿部和重、道尾秀介、乙一、有川浩、宮田珠己などの作家たちが
自分の読書遍歴を語るというインタビュー集だ。
この中で私もとりあげてもらっていて、「中学から高校にかけては、子供向けの「世界の名探偵」みたいな本を読んで
読書の参考にしていた」というふうに答えている。
そう、その本で私はヴァン・ダインのフィロ・バンスや、クロフツのフレンチ警部、
チェスタトンのブラウン神父、エラリー・クイーンのドルリー・レーンなどを知り、
また『長いお別れ』『わらの女』『本陣殺人事件』などを読むようにもなった。
その本がなんという名前かまったく思い出せなかったのだが、友人の二村さんが「これじゃないんですか」と持ってきてくれた。
『名探偵クイズ』(秋田書店)
うぉ、まさにこれだ!
そうか、クイズがメインの本だったんだ。
懐かしくページをめくるも、なんせクイズが半分以上あるから
軽い気持ちでやってみた。
見た感じ、小学生向けである。
どんなかわいらしい問題があるのかと思いきや
なんと、「入門編」の最初の問題が解けなかった……!!
その後も「入門編」と「中級編」でいくつも難問に遭遇して頭を抱えた。
この本と出会って以来、いったい何十、何百の推理小説を読んできたかわからないが、
自分の推理能力は小学生から何一つ上がってないようだ。
楽しく騙されるのがミステリの醍醐味だと思いたい。
あ、『作家の読書道』もおもしろいからおすすめです。

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  1. negi より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6.5; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729; Creative AutoUpdate v1.10.10)
    ひゃー秋田書店の!懐かしい!
    『スパイ百科』とか、怪しい本を当時は怪しいとも思わずワクワク読んでいた覚えがあります!
    冷戦とか生々しかった時代ですねえ。。。
    『作家の読者道』読みましたー
    貴志祐介さんと高野さんが結構子供の時の読書傾向がかぶってるのが意外で面白かったです。

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    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
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