私の目は節穴
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
前からうすうす気づいていたことだが、この度私の目が節穴だということが判明した。
なぜなら茂木大輔『オーケストラ楽器別人間学』 (新潮文庫)なる本を知らなかったからだ。
単行本が15年前に出版され、文庫化されたのも9年前で、手元にある本で17刷。
大ロングセラーである。
これだけ本屋に通いながら、まったく気づかず、つい先週、紀伊國屋新宿本店の文庫売り場で
「あ、なんか面白そうな本がある!」と買ったのだった。
間抜けにもほどがある。
しかも内容が超おもしろい。
楽器別に人間のタイプを強引に説明している。
もしかすると昔流行っていた動物占いにヒントを得たのかもしれないが、
それとは比べものにならないほど文章が冴えている。
とくに笑ったのは有名人に楽器をやらせたら何になるかという章。
和田アキ子とか小泉今日子、小泉純一郎などの有名人が並ぶ中に
デューク東郷、山岡士朗、星飛雄馬、戦国武将など架空の人物も登場。
中でも浦島太郎の性格を分析して「トロンボーン奏者に間違いない」と結論づけるのは見事すぎる。
(ちなみにここでの性格分析によれば、浦島太郎は私のかつての盟友キタにかぎりなく近い)
茂木さん風に言えば、私自身の楽器奏者遍歴はこうなる……
「幼少からクラリネットを吹いていたが、この楽器奏者特有のマジメさや練習熱心さに嫌気がさし、高校あたりで他の楽器に転向を希望。
たまたま空いていたファゴットを吹き始めたらその浮世離れした味わいに惹かれ、
見事にハマる。
今では、ソロ・ファゴット奏者として世界中で活動、「あの楽器でソロのコンサートが成立するのか」と音楽業界を驚かせている。(でも収入は低い)」
今更だが、私と同様、目が節穴で本書を未読の人、ぜひ立ち読みしてください。
関連記事
-
-
ソマリ人の好きな意外な食べ物
みなさん、新年明けましておめでとうございます。 とはいうものの、私自身は正月を迎えた気がしない
-
-
ラジカル加藤、現る!
「ワセダ三畳青春記」にちょっと書いたが、探検部の二つ上の先輩で 「ラジカル加藤」という人がいた。 仮
-
-
「クロ高」英語版届く!
私が熱狂的な「クロ高」ファンだということは意外に知られていない。 クロ高とは、少年マガジンで連載し
-
-
「野々村荘」にほんとに復帰
ワセダの「野々村荘」(仮名です、念のため)の部屋が空き、 ちゃぶ台をもって初めて行ってみた。 アパー
-
-
善し悪しはわからないけれど。
先週の日曜日、コソボより帰国した。 今回の旅はひじょうに忙しかった。 移動につぐ移動、その合
-
-
エンタメ・ノンフの秋!
「ダ・カーポ」の増刊「早稲田大学特集」の取材を受ける。 ワセダを出てへんなことをやっている人間のコー
-
-
国籍はスットコランド
同志・宮田珠己の新刊『スットコランド日記』(本の雑誌)が届いた。 表紙写真は宮田さん本人が撮ったス
- PREV :
- 酒浸りなのかと言われても…
- NEXT :
- 娘を溺愛する父親と言われた
Comment
AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; WOW64; Trident/4.0; YTB730; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; InfoPath.1; .NET4.0C)
茂木さんはファゴットではなくオーボエ奏者だったと思いますが・・?? ちがったらごめんなさい。
AGENT: Mozilla/5.0 (Macintosh; U; Intel Mac OS X 10_5_8; ja-jp) AppleWebKit/533.21.1 (KHTML, like Gecko) Version/5.0.5 Safari/533.21.1
音楽屋のあいだでは、この手の話は昔から常識といっていいほどかわされています。実際、(動物占いとはまったく違う次元で)その楽器を自分の永くつきあう楽器として選ぶにあたって、その人の性格は大きく反映されるもので、当然といえば当然の原理なのかと思います。
AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.0; WOW64) AppleWebKit/534.30 (KHTML, like Gecko) Chrome/12.0.742.100 Safari/534.30
>純さん、
へえ、そうだったんですか。
邦楽器にもあるんですか?
尺八と三味線、琴でちがうとか。でも種類が少なすぎますか。