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an anとミャンマー

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


お待ちかね、「an an」に登場した。
しかも「永久保存版」と記されている。
美人レシピ142だそうだ。
もちろん私のインタビュー記事は後ろの目立たない読書欄に
ひっそりと載っている。
     ☆       ☆         ☆
「サンデー毎日」では逆に私が書評を書いた。
ケリー・テイラー=ルイス著『シャクルトンに消された男たち』(文藝春秋)。
こちらも後ろの目立たない読書欄にひっそりと載っているのはいいが、
一ヵ所、ひどい校正ミスを発見してしまった。
 私は彼らの探検行が誰に「消された」のか?
なんて文が肝心のところにあるのだ。意味不明じゃないか。
これは「私は彼らの探検行が誰に消されたかわかった」と最初に書いたのを
あとの文字数合わせで「彼らの探検行きは誰に消されたのか?」に変更した。
そのとき、上書きの過程で、元の文章が不完全に残ってしまったのだ。
まったく情けない。読者のみなさん、すみません…。
     ☆        ☆         ☆
ミャンマーの動乱とも騒動ともなんとも名づけがたい一件は収束したまま変化がない。
日本政府は「民主化や市場経済化を促進する人材作りのためのセンター」への援助を凍結するとかいう意味不明で中途半端な経済制裁より、長井健司殺害事件に集中してほしい。
彼の撮影したビデオ映像の返却はもちろんだが、
警察庁は刑法の国外犯規定に基づいて捜査手続きを進めるというので
ぜひそれで殺人犯の特定と犯人引渡しまでやってほしい。
北朝鮮の拉致問題と同じくらい執念深くやってほしい。
ミャンマーの反政府活動をしている人たちと付き合っていて知ったことだが、
彼らがいちばん恐れているのは「国際社会から忘れられる」ということなのだ。
逆にいえば、ミャンマー政府にとって、いちばん望むことは
「国際社会が反政府的な事件を忘れてくれる」ということである。
それをさせないために、日本政府は効き目のない制裁などどうでもいいから、
具体的に長井さん殺害犯を追及すべきだ。
きっとミャンマー政府は応じないだろうが、日本側はいつまでも追及する。
交渉が暗礁にのりあげても「交渉が暗礁に乗り上げていること」をしつこく訴える。
ASEANの議題に出し、国連で取り上げる。
そうすればミャンマー政府も国際社会も、忘れたくても忘れられなくなる。
国家としての日本がやるべきは、そういうことだと思う。
長井さんの死を無駄にしないというのも、そういうことだと思う。

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Comment

  1. ゆりこ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; Alexa Toolbar)
    高野さんの本、ワセダの本から読み始め、さかのぼってムベンベの本、ちょうど先月読んだところでした。
    あの長井さんだったのですね。。。
    ミャンマー軍による長井さん殺害に抗議する会
    http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/
    というのが結成されたようですね。
    これから署名しようと思います。

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