日本浄土
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

最近手元に置いて、仕事が手につかないとき、
つまりしょっちゅう、ページをめくるのは
藤原新也『日本浄土』(東京書籍)。
私はもともと若い頃、藤原新也にすごく憧れていて、
ああいうふうにかっこよくなろうと思ったのだが、
なぜか180度反対の方角へ吹っ飛んでしまった。
最近また藤原新也がいいなと思い出しているが、
今は文章ではなく、写真がいい。
この本では日本のありふれた景色しか出てこない。
しかしそれが私が二年前の自転車旅で見た景色そのままなのだ。
私も同じものを見て、同じようにグッときたのに
写真に切り取ることは到底かなわなかった。
それを藤原新也がやってくれている。
ただしそれぞれの写真についているコピーみたいなものは
邪魔だ。
写真だけでいいのに。
次回は藤原新也の、日本のありふれた景色だけの写真集を見てみたい。
関連記事
-
-
ここ数年最大の問題作か?
キャサリン・ブーの『いつまでも美しく インド・ムンバイのスラムに生きる人々』(早川書房)を読
-
-
今年の目標、早くも破綻寸前
今年の目標は「できるだけ仕事をしない」。 もともと私はいろんなことを同時並行でできるタイプではない
-
-
祝!第3回 酒飲み書店員大賞受賞
私の敬愛するタマキングこと宮田珠己の『東南アジア四次元日記』(文春+文庫)が 第3回酒飲み書店員
-
-
シャングリ・ラは実在した!
探検部の後輩・角幡唯介の開高健ノンフィクション賞受賞作品 『空白の五マイル』(集英社から刊行予定)の
-
-
世界陰謀の真実はビニール傘にあるのか
某出版社で編集をしている探検部の後輩・杉山の紹介で、丸山ゴンザレスという異端作家と新宿の客家
- PREV :
- 面白いことは全てに優先する
- NEXT :
- 紳士の日記


