新計画?!「イラワジ河(ほぼ)全流下り」
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
昨日から今日にかけて、突然新しい探検計画が生まれた。
その名も「イラワジ河ほぼ全流航下紀行」という、スゴイのかスゴくないのか、よくわからないものだ。
メンバーは探検部の先輩、山田高司氏と私の2名。
山田さんは、先週末よりうちに泊っている。
彼は、東京農大の探検部出身、日本では関野吉晴に匹敵する探検家である。
大学時代から「世界の川を全部下る」という大目標を掲げ、実際に、南米のオリノコ河、アマゾン河、ラプラタ河、アフリカのニジェール河、コンゴ河、ザンベジ河、そして、長江の一部を下っている。
その間に、旅も続け、南米とアフリカの国はほとんど訪れている。
自然の知識にすぐれ、農業と林業にも詳しい。
ここ十年あまりは、アフリカのチャドやルワンダで、植林その他の環境改善のNGOを率いている。(山田さんがNGO好きなわけではないが、実力と人望の結果、なんでもたいへんな役を任されてしまうのだ)
死にかけたことも数え切れない。
パタゴニアでは解けた氷河に流され、危うく凍死か溺死しそうになり、身をもって地球の温暖化を体験。
アルゼンチン・チリの国境線でフラミンゴの写真を撮ろうとしたら、スパイと間違えられ、アルゼンチンの戦闘機から銃撃を受け、南米の治安維持の厳しさを身をもって体験。
コンゴ河では、木陰にボートを寄せて休んでいたら、スズメバチの大群に襲撃され、水に潜って逃げたが、全身を刺され、3日間生死の間をさまよい、身をもってハチの怖さを体験。
…と書き始めたら、キリがない。
しかし、冒険家にありがちなプライドの高さやアクの強さは皆無で、私が今まで会った中では最大の「人徳家」である。
私は山田さんが設立したNGO「ナイルの会」の唯一のメンバーとして、彼とともにアフリカを四ヶ月間、「視察旅行」をしたり、その後も事務局長兼雑用係を務めている。
山田さんは現在、郷里の四万十川流域で自然活動や地域の活性化などに従事しているが、昨年の夏からはスーダンのダルフール難民救援のため、難民が流入しているチャドへ行っていた。
「環境保全のヤマダ」の名前は世界にとどろいており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から、直接「手伝ってほしい」と依頼が来たそうだ。
そのわりには、いつも金がなく、今回もチャドから高知に帰る途中、東京では私の家に何泊かして旅費を浮かしている。
山田さんとは、そもそも、「近い将来、一緒にナイル河を全流下ろう」という約束でルワンダの環境NGOの手伝いを始めたのだが、残念ながら流域諸国の治安状況が悪く、実行に至っていない。
せっかく、スーダン内戦が20年ぶりに終結し、最大の障壁が取り除かれたのだが、今度はルワンダがまたヤバくなってしまった。
われわれのNGOの現地責任者も、フランスに逃亡してしまったくらいだ。
ルワンダがナイル河の源流なので、そこをはずしては計画は実行できない。
今回も、うちで酒を飲みながらそれを嘆いていたのだが、「それじゃ、いっそ、イラワジ(エーヤワディ)川下りを今年か来年の冬にやろうか」という話になった。
11月ごろから2,3ヶ月かけて、できるだけ上流から河口まで地元のボートを使って手漕ぎでのんびりと下る。
川下りは山田さんがプロ、私は通訳兼雑用である。
実際問題として、許可がとれるのか、また金が(特に許可と政府関係者に支払う費用)がどれくらいかかるのかわからず、きっと困難ではあるだろうが、私もヤンゴンに「太郎さん」という強力なコネクションがある。
ミャンマー辺境専門のツアー会社をやっている人で、よくこのブログにも過激なコメントを寄せている。
この人に頼めば、ミャンマーではあらゆることが可能になると言われている。
楽しいだろうなあ、イラワジ川全流(正確には「ほぼ全流」)紀行…。
ただ、私はインドでのゾウ旅行もやりたいし、順番としてどっちを先にしたらいいのか、それだけが悩みだ。(他に悩みはないのか…)
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Comment
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これいいっ!
いきましょう。
象より、実現率が高そう。
カバさえいなければ。
「太郎」さんもいることだし、ここはひとつ。
(と、また焚きつけてしまう・・・)
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「アルゼンチンの戦闘機から銃撃を受け」
これは凄い、凄すぎる!!
私の周りにも会社経営者でありながら密林で虎の密猟者から撃たれ
命からがら走って逃げた男が1名おりますが(この男は走りながらも自分を
撃った男に怒りを感じてたそうですが)戦闘機に撃たれた人はいないです。
多分、これからもいないと思います。
ソマリアで乗っていたヘリコが撃たれた客はいましたが・・・。
しかし、冒険家にありがちなプライドの高さやアクの強さは皆無で、私が今まで会った中では最大の「人徳家」である。
凄い人ですね。 あくの強さがないというのは本当に良いですね。高野さんが師事するのも分かります。
高野さんの周りはあくの強い人だらけだから・・・・・。
山田さんと言う人はいい人だな、私もこうなりたいなと思って読んでたら
何で「太郎」が出て来るんですか?
罰として高野さん、ヤンゴンに来たらスクワット30分(1,000回)ね、
うちの道場で。
「この人に頼めば、ミャンマーではあらゆることが可能になると
言われている。」
勘弁して下さい、ただのランド屋です、私は。
そりゃ予算があるお客さんなら多少の無理は聞きますけど。
これって、あれですか? TVとかで行くわけじゃないんですよね。
だったら可能性はあるかも。
出発点はあれですか、カカボラジの麓になるんですかね?
そうなると出発は11月かな?
高野さん、カヤック操れるんですか?
Makha(メカ)川をカヤックで下るのは世界チャンプクラスの人が昨年だか一昨年だか、挑戦してもう二度としないと言ってたとか。
バモーから先で川イルカを見つけて遊ぶのも面白そうですね。
悩みがない?
高野先生、本を書くという言う意識が足りないんじゃないの!!!
何て某出版社の担当者にようになってしまいました(笑)
しょうがないから取りあえずこっちで日程を建てて後で送りますね。
太郎
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つい、筆が滑ってしまいました。
銃撃されてはいません。警告の威嚇射撃を受けただけです。
二村さんの方が上ですよ。
あと、これはTVじゃないです。個人です。
一般の民間人といってもいいでしょう。
得意の極真鉄拳で、難しい局面は打開してください。
よろしくお願いします!
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えー、個人名を明記した誹謗中傷等は本ブログでは
禁止されております(笑)。
実名↑は削除あるいは匿名でお願いいたします。
とはいえ、山田先輩、凄い人ですね。
尊敬いたします。
さて、高野さん、太郎氏のことですから、おそらく日程は非常に迅速に到着することが予想されます。「あ、いいですね」と言った瞬間から、もう逃れられなくなることでしょう(笑)おまけにマネージメントが煽っていますし、こりゃ決定ですな。いいなー
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エーヤワディー河を下るクルージング?!まあ、ステキ!オリエント急行社でもマンダレーからバガンまで3泊4日の豪華クルージング・ツアーをやっているとヴァンサンカン誌で読みましたが・・・・・最近バガンに行った義姉はエーヤワディー河を渡るため借りた小船と上記のクルージング船のサイズの違いにびっくり。
ともかく、全行程何泊かかるのかわかりませんが山田&高野版クルージングははるかにエキサイティング。人生の真実が見えてきそう。実現、期待しています!
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山田氏は著作を出されていないのですか?
河下り冒険記、ありましたらぜひ読んでみたいのですが・・・
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残念ながら、彼は筆不精な人で、まとまった旅行記は一つも書いたことがありません。
ぼくが山田さんだったら、いったい何冊本が書けるか見当もつかないような体験をしてるんですけどねえ。
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でしたら山田氏の体験をもとに、高野先生が書かれてはいかがですか?
山田氏の経験値と高野氏の筆力があれば、鬼に金棒だと思います。
ちなみに印税は山田氏4、高野氏4、
小生に2・5くらいの比率でいいと思います。