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新年あけましておめでとうございます

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

昨年の出版界は、一般社会に輪をかけた未曾有の大不況だったようである。
その影響は直接間接に私のところへも来た。
具体的には「本が売れない」と「雑誌や新聞も売れない」ということだ。
本を書き始めて21年、やっと異端の高野本も業界で認知されかけてきたところで
業界自体が沈没しはじめているという悲惨さだが、
まあ、そんなに悲観してもしかたがない。
というか、案外悪いことでもないのかもしれない。
例えば景気がいいときだったら
仕事の依頼がどかどか来て、多少気の抜けた原稿を書いても許されたかもしれない。
経費はどーんと出るがくだらない企画に乗せられていたかもしれない。
そんなことをしていると仕事の質は確実に落ちる。
幸いなことに、昔からずっと今まで、私は常に「ブレイクしそうでしない」という胸突き八丁の状態で悪戦苦闘しており、全然手を抜く余裕など持たない。
怠け者の自分としたら、このくらいがちょうどいいとも言える。
そんなわけで今年も、特にがんばりはしないが、
永遠の胸突き八丁をなんとかかんとか凌ぎながら
質の高い本をみなさんにお届けするしかないと思う。
3月には『間違う力』(メディアファクトリー)
6月ごろには『腰痛探検家』(集英社文庫)
秋くらいには『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)を刊行する予定だ。
『怪獣記』も文庫化されるかもしれない。
あ、そうそう、ソマリランドの本も頑張って書かねば。
今年もよろしくお願いします。

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Comment

  1. TK より:

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    あけましておめでとうございます。
    「アスクル」読みました。野々山さんにおぶわれた人が人酔いしたというところは思わず声をあげて笑ってしまいました。それを見ていた高校生の娘が今読んでいます。学校にも持って行っているみたいです。
    今年もたくさん笑わせてください。

  2. しん より:

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    明けましておめでとうございます。
    高野さんには胸突き八丁の状態よく似合ってますよ〜。
    永遠に頂上に登ることなく(笑)、今年も健康に気をつけて
    執筆活動してください!
    の〜んびり、高野さんの本が出版されることを待ってます。

  3. tam-tam より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    あけましておめでとうございます。
    ソマリランドの本が出版されることを期待しています。もちろん、買います!
    (通常は図書館で借用派ですが)。

  4. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    あけましておめでとうございます。
    新年も楽しませていただけることを、大いに期待しています。
    頑張ってください。
    年末に故郷に帰るツレの鞄に<怪しいシンドバッド>の文庫本をコッソリ入れておきました。
    帰ってくる頃には、スッカリ高野さんに夢中になっておりました。今は長編の本を漁っています。
    洗脳成功です。はい。

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