*

エンタメ言語学者・黒田龍之助がおもしろい!

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

ときどき一緒に飲む編集者のAさんに「黒田龍之助の本は面白いですよ」と勧められた。
以前、NHKロシア語講座の講師を務め、明治大学などで教えていたロシア語と言語学の先生だが、今はテキストやエッセイなどを書くフリーの学者兼文筆家らしい。
私は言語オタクだが、オタクにありがちなように、ちゃんとした学問的基盤はまったくない。
言語学は興味は当然持っているが、なにしろ言語学者の使う用語が難解なので
近づきがたかった。
言語学にかぎらない話だと思うが、学問のことばは一般人には理解がむずかしい。
それはすべて、ひじょうに癖の強い「方言」で書かれているからだ。
言語学を学ぶためには新しい言語を一から覚えるくらいの気構えが必要で、
それをやるくらいなら、ふつうの言語を一つ覚えたほうがいいとつい思ってしまうのだ。
だが、黒田龍之助の「はじめての言語学」(講談社現代新書)
一般の人が使う日本語で書かれ、しかも一人の言語学者の「実感」と「本音」が語られている。
すごくわかりやすくて、ためになる。
しかもときどき笑える。
「地味な言語学」と「にぎやかな言語学」って何だ?
エンタメなのである。
ただ、本書を読んでもやはりよくわからないのが「生成文法」だ。
生成文法理論を否定するといわれるピダハンの言語について、
黒田さんに訊いてみたくてしかたがない。
あと、ひじょうに特殊な文法構造を有するソマリ語についても訊いてみたい。
まあ、しばらくは黒田本に嵌ることになりそうだ。
      ☆        ☆         ☆
web本の雑誌で連載中の「謎の独立国家ソマリランド」更新しました!
第4回は「動物だらけの遊牧都市」です。

関連記事

no image

Low Positionの秀作3本

ドキュメンタリーの秀作を3本観た。 どれもLow Positionという制作グループのメンバーの手に

記事を読む

no image

ケープタウンはよいところ

ケープタウンに滞在中。 ここはヨハネスブルグに比べると、空気もきれいだし 治安もいい。 といっても、

記事を読む

帰国しました

昨日(3日)の午後、無事に帰国した。 二ヶ月ぶりの日本の印象は、「こぢんまりしている」。 成

記事を読む

no image

「未来国家ブータン」本日発売

都内の一部ではすでに発売しているらしいが、正式には本日が「未来国家ブータン」(集英社)の発売日であ

記事を読む

no image

一時帰国

イスタンブールから飛行機内と空港で二泊三日し、 やっと東京に着いた。 いろんな意味で長く感じられた旅

記事を読む

no image

万歳!文芸の東スポ

おととい届いた「本の雑誌」今月号の特集は 「読んでない本大会」。 メインは書評家三人が自分の詠んで

記事を読む

no image

ゲバラと私はどこで道を違えたのか?

 映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見た。  若き日のチェ・ゲバラが友人と一緒に南米を旅する話

記事を読む

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極めて独特な倫理観や世界観をお話

記事を読む

no image

大槻ケンヂと一緒にオカルト番組?

 今度の1月から3月まで、オーケンこと大槻ケンヂ氏と私が二人で 深夜番組をやることになった。  もう

記事を読む

no image

どこまで行くのか、韓国

またしても竹島問題で関係が急速に悪化している日本と韓国だが、 私の本はゴンゴン出版されつづけている。

記事を読む

Comment

  1. 冨永愛「塩谷を人として許せない」「2人同時に結婚の話をした。ショックだった。でも、今は大丈夫。あたしは鉄の女」

    1 :禿の月

  2. 冨永愛「塩谷を人として許せない」「2人同時に結婚の話をした。ショックだった。」 part1

    1 :禿の月φ ★ 2012/04/27(金) 14:18:39.18 ID:???P 俳優塩谷瞬との熱愛が報じられ、認めた後にすぐに否定したモデルの冨永愛が27日、フジテレビ系の情報番組「知りたがり!」に出演した。 この問題で冨永が口を開くのは初めて。冨永は塩谷について「彼がしたことは…

  3. タマ より:

    AGENT: Opera/9.80 (Android 2.2; Linux; Opera Mobi/ADR-1204201824; U; ja) Presto/2.10.254 Version/12.00
    こんにちは。高野さんの大ファンです。ソマリランドいつも楽しみにしてます。本当に面白いです。!!
    ブログと話題がずれますが、高野さんの外国語勉強法について質問させてください。
    私は教材が豊富な英語と、タイ語が少し出来る程度なんですが、それでもコンプレックスを常に感じてます。
    日本語の教科書とかほとんどない言葉を、高野さんはどうやって話せるようになるんですか?
    ムベンベや異国トーキョー漂流記でも出ていますが、ネイティブの人を捕まえて想定問答集を作ってひたすら例文暗記をするんでしょうか?
    友人も今度仕事[援助関係]でアフガンに行くことになりダリ語?をどうすべきか悩んでいました。
    [辺境冒険作家の外国語の覚え方]、みたいな本を高野さんがお書きになったら僕は必ず買います!それに英語で困ってる多くの日本人も興味あるんじゃないかと思います。
    メモリークエストに、一番早くソマリ語で日常会話が出来る方法を探してください。と書こうと思いましたが、全くメモリークエストじゃないですね。笑

  4. タツ より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)
    私も英語をすこし話す程度ですが、ぜひおしえて頂きたいです。

  5. 高野秀行 より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.0; WOW64) AppleWebKit/535.19 (KHTML, like Gecko) Chrome/18.0.1025.162 Safari/535.19
    嫌みに思われるかもしれませんが、正直言って私も常に外国語には
    コンプレックスを抱いています。
    きっと英語がいまだに苦手なせいでしょうね。
    外国語学習の話はひじょうに長くなります。
    毎回やり方を変えてるし、言語によって覚え方は全然ちがいますしね。
    フランス語やソマリ語のように文法が複雑な言語、タイ語や中国語のように
    文法はシンプルだけど発音が難しい言語、
    アラビア語やヒンディー語、ビルマ語のように文字から覚えなければいけない言語などなど、みんなアプローチ方法を変えています。
    アフガンへ行く方へのアドバイスとしては、ダリ会話語云々より
    まずダリ語はアラビア文字で表記されるので、それが読み書きできるようにならないといけませんね。
    文字が読めれば、地名、人名がすぐわかり、地図や道路標識が読めて、辞書も引けるようになりますから。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年4月
    « 3月    
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
PAGE TOP ↑