悪いのは飛蝗か
公開日:
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最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様

「本の雑誌」9月号を読む。
特集は翻訳ミステリ。
私は全く知らなかったが、飯田橋に「ブックスサカイ深夜プラス1というミステリ専門の書店があったらしい。
「へえ、そんな店は是非行ってみたい!」と思ったら、閉店するというニュースだった。
残念だ。
理由は翻訳ミステリが壊滅状態にあることだという。
浅沼店長によれば、「このミス」(このミステリがすごい)の1位が
2001年から2003年までマニアックだったのが原因だという。
『神は銃弾』『飛蝗(ばった)の農場』『ポップ1280』の三作が一位だった時代を
浅沼さんは「暗黒の三年間」とまで言っている。
うーん、私は『神は銃弾』を読み、こりゃ傑作だ!と感動したけどなあ。
全然ミステリマニアじゃないけど。
とりわけ、『飛蝗の農場』がよくなかったと、何度も繰り返す浅沼店長。
でもたった一作でジャンル全体がそんなに落ち込むだろうか。
みんな、飛蝗が悪いのか。
ここまで言われると無性に飛蝗を読みたくなる。
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Comment
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高野さんの読者にはミステリ好きが少ないのでしょうか、コメントないので
書きました。ミステリが売れないのって、単純に、 「ムダに部厚い」からで
ないでしょうか?
昔の文庫本のエンタメって350ページ・500枚くらいでしたよ。
今はその倍は当たり前でしょう。時間がなく電車で読むくらいの時代に、
ムダに部厚い本を読まされるのは苦痛です。
映画化された作品を観たり、そのダイジェストである、シナリオからの
ノベライズを読む方が楽と考えてもおかしくない気します。
高野さんの本みたいに、現実を時間かけて書いた本と、作り事のフィクションでは読み手の熱意も違う気しますが。
私は元はミステリファンですが、とうにやめました。