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マイブームじゃなかった…

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

依然としてマイ・ブームとして続いている「自閉症モノ」、
3冊目に読んだやはり泉流星の『僕の妻はエイリアン』(新潮社)。
泉さんの三部作の中ではこれがベストかもしれない。
少なくとも、エンタメノンフの傑作であるのは間違いない。
ぜひどこか書評でこの素晴らしい本を紹介しようと思ったが、
奥付を見て仰天。
2005年発行で9刷。
えらいベストセラーじゃないですか!
私の『怪獣記』なんか、しつこいようだけど、初版どまりでっせ。
逆に泉さんに私の本をどこか書評で紹介していただきたい。
多少は売れるかも。
さらに驚いたのは、自閉症の本は最近ものすごくたくさん出ていて、
みんなよく売れていること。
ニキ・リンコ『俺ルール』(花風社)も2005年発行で4刷。
ニキさんも何冊も本を出しており、この『俺ルール』も面白い。
どうして高機能自閉症の人は文章がこんなにうまいのか。
内容がぶっ飛んでいて文章がうまければ売れるよなー。
さらにさらに調べたら、スペクトラム出版という
自閉症関連本専門の出版社まである。
マイ・ブームと思い込んでいたら、全国的なブームだった。
でも、たいていの小説より面白いし、「物語とは何か」を考える上でも貴重なので
読書好きな人にもそうでない人にもお勧めしたい。

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Comment

  1. ドトウ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
     <エンタメノンフ>ファンとしては外せない「自閉症ジャンル」現る!というか、在ったんだ!!って感じですね。
    しかし、専門の出版社まであるとは驚きです。
    もう一つの驚きは「怪獣記」が初版止まりということ。・・・う〜ん不思議。
    きっと文庫化した途端大爆発ですよ。
    その時は私に印刷させてください。(笑)
                by <「本の雑誌」印刷担当>ドトウ

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    • あ、そうだったんですね。名監督の知られざる一面を描いているし、著者ご本人の青春記風でもあり、『嫌われた監督』を彷彿させました。落合夫人とサッチー夫人もよく似てるし(笑)いや、面白かったです。 https://t.co/66kmDl74FN ReplyRetweetFavorite
    • 先月から自分の単行本原稿が佳境に入り、読書が全くできなくなっていた。他人の文章が頭に入らない。なんだけど、今日一息ついたあとで、なぜか加藤弘士著『砂まみれの名将 野村克也の1140日』(新潮社)を一気読みしてしまった。あまりにも自分の仕事と関係がなかったのがよかったのかも。 ReplyRetweetFavorite
    • 単行本を一冊書くのはエベレスト登山にも似ている。頂上に近づけば近づくほど一歩進むのが辛くなる。でもようやく『イラク水滸伝』本文の最終稿を書き終えた。あとはエピローグと参考文献、写真のセレクト、地図の作成、ゲラ校正、専門家への確認……頂上までまだけっこうあるな…。 ReplyRetweetFavorite
    • 文庫1位が久生十蘭!そそられる!! https://t.co/OWK4Bvakwo ReplyRetweetFavorite
    • RT : 本当に良かった。 傍聴していた知人によれば、「著しく正義に反する」という強い表現で無罪が言い渡たされたとのこと。つまり、リンさんの孤立出産での死産を罪に問うこと自体が正義に反するとの判断。 これを機に、日本に暮らす全ての女性の妊娠・出産・選択の… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 崩れたとき生きるすべがなくなる。はずれたものを生息する余地をとっておくこと。中心と周縁。クリエイティビティはいかにして生まれるのかについては、秩序にあわない変なものを見つけ、探しにいく勇気、変なものをみつける臭覚のことなど。理系文系の枠を超… ReplyRetweetFavorite
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