1発で決めようと思うな!〜文章も写真もプロの作品のウラには大量のボツがある!
これは、子どものころ、自分も思っていたことなので、ぜひ書いておきたいと思います。
今のようにインターネットでいろんな情報を調べることができなかった時代、プロのテクニックはもちろん、プロが普段どうやって作品をつくっているのか、知る方法はほとんどありませんでした。
ですが、本屋さんや学校の図書館に行けば、プロの作家が書いた本が置いてあり、雑誌を開けばプロの写真家が撮ったきれいな写真が掲載されていました。
子ども心に、おもしろい本を読めばワクワクしますし、美しい写真や大胆な構図の写真を見ると、素直に感動します。そして、「やっぱりプロはすげーなー!」と思うわけですが、子どもなのでそれらの作品がどういう過程を経て生まれたのかまでは思いがいたりません。
なにせ、自分は子どもだし、相手はプロ。
「きっと、プロは自分たちとは違うすごい能力があって、簡単にできてしまうに違いない」
なんて、単純に思っていたりするわけです。
すると、どうなるか・・・。
「1発で完成させるのが目指すべき世界」と思うようになります。。。
本や雑誌などの完成作品しか目にしていないので、プロになると1発でこんな作品がつくれると思ってしまうのです。
ぶっつけで「本番」に臨むのは、素振りもせずに打席に立つようなもの……
例えば、作文の宿題なら、いきなり本番の原稿用紙に書き始めます。
絵を描く課題があれば、構想を練ることなく、ぶっつけ本番で画用紙に下絵を描き始めます。
途中でうまくいかなくなったり、失敗したら、最初からやり直せばいいのですが、本人は「1発で決める!」と思っているので、よほどのことがない限り、そのまま最後まで仕上げようとします。当然、仕上がりの完成度はそれなりです。。。
では、当のプロはどうしているのか。
タイトルの通りです。完成作品のウラには膨大なボツ作品があり、厳選したものだけがオモテに出てきているのです。
プロの物書きは、練って&書いて&そぎ落とす
作家にしろ、ライターにしろ、プロで文章を書いている人たちは、書こうと思うネタに対して、いろいろなアイデアを浮かべ、書いては消し、消しては書き、場合によっては順番をゴソッと入れ替えたり、せっかく書いたのに半分以上捨てたりしながら、完成形に仕上げます。
今はパソコンで原稿を書くことができるので、文章のカットや入れ替え、文字数の調整などは簡単にできますが、昔の物書きの人たちは手書きですから大変でした。いろいろと文章や流れを練り込んでから書き始めたとしても、やはり途中で文章を入れ替えたり、表現を変えたりすることもあります。ですから、文豪たちの原稿用紙を見てみると、本人や編集者が入れた赤字の指示書きがどっさり入っているケースがほとんどです。
その赤字をもとに活字で組んだものが作品というわけです。
文豪といわれた作文のプロフェッショナルですら、そうやって文章を綴っているのですから、小中学生の作文なら、予備の原稿用紙で何度も何度も練ってから、本番の原稿用紙に清書するくらいでいいはずです。
プロのカメラマンも、たくさんシャッターを切っている
写真家も同様に、1枚のベストショットのために、膨大なボツショットがあります。たった1カットを撮るために、たくさんのシャッターを切り、いろいろと構図を変え、そのなかから「一番いい!」と思うものを選んでいるのです。
最近は写真もデジタルになり、フィルムのときのように、たくさん撮影してもほとんどコストがかからなくなってきましたし、スマートフォンの進化で誰でも手軽に写真が撮れるようになりました。それでも、記念撮影や集合写真を撮るときに1枚だけしか撮らないひとが少なくありません。
プロですら、複数のシャッターを切っています。皆さんもぜひバシバシ切りましょう。カメラが苦手な人でも、たくさんシャッターを切っていれば、そのなかにいいものが1枚はあるはず。「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」とはよくいったものです。
一発で決めようと思わず、何度もやり直して完成させるのが結局、近道である
文章にしろ写真にしろ、たくさんの数をこなし、そこから厳選することでいいものが生まれます。
そして、たくさん数をこなすことで、結果的に上達します。これは1000本ノックとか、デッサンとか、ほかのものとも共通する普遍的な考えだと思います。
ということで、もしお子さんが、作文で一発勝負をかけているシーンを見かけましたら、プロの世界のお話を引き合いに出し、ぜひ「下書きをまとめてから、本番の原稿用紙に書き始める」ことをおすすめしていただければ幸いです。
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