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流行る店と流行らない店を分ける、飲食店の意外な条件とは?

どういうわけか「立地はいいのに、どんなお店ができてもすぐに潰れてしまう」という場所があります。

「あれ、ここにあったカレー屋、いつの間にかラーメン屋に変わってる。そういえば、ここすぐにお店が変わるなぁ・・・」

という感じの場所。

家賃が高すぎる。使いづらい。オーナーが偏屈・・・など、理由はいろいろ考えられますが、ほとんどの場合は「人が入らない」からだと思います。

不思議なのは、そのお店の回りは何年も変わらずに続けていたり、流行っていたりすることです。

同じ並びにあるのに、なぜか流行る店と、そうでない店がある

同じ並びにあるのに、なぜか流行る店と、そうでない店がある

 

大きな看板で目立っているのに、どうして人が入らないのか?

私には霊感も超能力もありませんが、子どものころから、なぜか「ここの場所はよさそう」「ここは多分ダメ」ということを何となく感じることができました。

理屈や分析ではなく、ただ感じるだけ。その場所がなーんとなくそんな雰囲気を漂わせているのです。

一番最初にそれを感じたのは、小学校低学年ころ。

隣の市の市街地に入る手前にあったラーメン屋でした。

そこはちょうど市街地を避けるために作られたバイパスと、市街地に入る旧道との分かれ目になっていて、駐車場はちゃんとあるし、これでもかと目に飛び込む看板もあって、だれがどうみても「あそこにラーメン屋がある!」と分かる風情です。しかし、その広い駐車場には、従業員のものとおぼしき車があるだけで、お客さんの車が停まっていることはほとんどありませんでした。程なくしてそのラーメン屋さんはつぶれ、その後にできたお店もできては潰れ、潰れてはでき、といった感じでした。

後にあちこちへ旅をするようになり、その理由が分かってきました。他にも似たような事例を目にしたからです。

 

以前、このブログでも何度か書いたのですが、私は小学校1年生から父親や弟と一緒に、毎年少しずつ歩いて日本横断&日本縦断をしてきました。

その内容や苦労はともかく、車や鉄道などの交通手段と比べ、歩いて旅をすることの決定的な違いは移動の速度です。

 

同じ道でも、速度が違えば別の景色が見えている

例えば、時速60キロの自動車なら1キロを1分で移動できます。新幹線なら10秒程度(!)。ところが人は1時間に3〜4キロしか歩けませんから、同じ景色であっても、見ている時間、密度が違います。しかも歩きながら本を読んだり、ゲームをするわけにもいきませんから、できることは、景色を見るか、お昼は何にしようかと食べ物のことを考えるか、あれこれ考えごとをするくらいしかありません。

一見退屈な環境と思いきや、実は街や道に目を向けると、いろんな情報をつかむことができると気づいたのは大学に入ってからでしょうか。特に、五街道(東海道、中山道、甲州街道、日光街道、奥州街道)と呼ばれる歴史ある街道は、江戸時代の参勤交代を筆頭に、庶民の間で大流行した伊勢詣でなど、人々が累々と徒歩で往来していた記録と記憶が色濃く残っているのです。

路面店は車の止めやすさ、入りやすさが集客に影響する

路面店は車の止めやすさ、入りやすさが集客に影響する

ちょっと話が脱線しましたが、先ほどのラーメン屋さんは、道路の「追分(おいわけ)」と呼ばれる場所にありました。

道がそこから二手に分かれるような場所です。

車だと、ほとんどの人は、そのままどちらかの道に曲がって素通りするんです。なぜかわかりませんが、スピードが速いがゆえに、目的地に近づいている気分も高まるし、分岐点や信号など注意しないといけない情報もたくさんあるので、止まって休憩するか…という気持ちにはなりにくい。

 

ところが、歩いていると、見えている景色がまったく違います。

何せ、遠くからずーーーーっと、追分の位置や様子、場合によってはお店まで見えたりしますから。。。

当然、「あそこまで行ったら休もう」という気持ちになるわけですよ。

移動の速度が遅いがゆえに、追分のような境目の場所で一区切りつけたくなる。もっといえば、「ちょっと休みたいな」という場所にお店があれば、何もしなくても人は勝手に入ってくるというわけです。

 

昔の一等地が今の一等地とは限らない

高度成長期時代に日本中で作られた道路は、自動車が快適に走れるよう、バイパスによって市街地を迂回するルートに変わりました。もともとの道は旧道となり、昔のたたずまいがそのままそっくり保存されていたりします。

車の都合で作られているバイパスは遠回りであることがほとんどですが、旧道はもともと歩く人たちのための道をベースにしていますから、距離も短く、集落を通ることから、食事や宿泊など、休憩場所もあります。しかも、そろそろ休憩したいなぁというところに、湧き水の飲み場があったり、神社があったりと、人が腰を落ち着けるようなスペースがさりげなく残っているのです。ふと脇に目を向ければ、道祖神や名も無きお地蔵さん、行き倒れた馬を弔った馬頭観音などの石碑が苔むしています。

バイパスによって、かつての市街地が寂れ、新たにバイパス沿いに店舗や集落が栄えるのは、移動手段が徒歩から車へと変わったことの証でもあります。しかし、手段が変わっても、恐らく変わらないのが、人の行動です。

冒頭で触れた、流行る場所とそうでない場所、その決定的な違いは、人の動きが「止まりやすいかどうか」「滞りやすいかどうか」ということです。

 

人と車とでは、「ちょっと一息」のタイミングが違う

車の場合は、車を止めやすいかどうかなので、駐車場があればいいと思いがちですが、店の手前で「速度を落としやすいかどうか」も重要です。どんなに大きく、高い位置に看板をつけていても、車の速度が自然と上がりがちな場所にあれば、素通りするお客さんが多くなってしまいます。

 

つまり、流行っている場所には、「人が無意識に止まってしまう何らかの要因」があるのです。これはちょうど、高速道路の渋滞ポイントがいつも決まっているのと似ています。渋滞の名所の一つ、中央道の元八王子バス停付近は、少しだけ上り坂になって速度が落ちるために渋滞が発生するそうですが、走っている運転手には見た目が上り坂に見えないことから、意識してアクセルを踏まないと必ず減速します。

街や道でも、同様に気づかないうちに流れが滞って人が溜まっていく場所と、流れがよくて止まりにくい場所があるのです。

さっきの追分でいえば、徒歩しか移動手段のなかったころには、歩き疲れてひと休憩というのはもちろんのこと、見送りのや出迎えの人たちが道の分かれ目まで出てくるというニーズもありました。道の分岐点はそういう人たちにとって、絶好の休憩場所であり、人と人とが名残を惜しんでとどまり、再開を喜びたたずむ一等地でした。

 

ところが、人から車へと移動手段が代わり、追分は休憩をする場所ではなく、むしろここからスピードアップして快適に走るぞ!的な、まるっきり停まりにくい場所になりました。

歩いて旅をしている間、日本中の各地で、つぶれたドライブインを目にしました。それは峠のてっぺんだったり、街道の分岐点だったり、かつて歩き疲れた旅人達が、「自然と足を止めたくなる場所」にあったものばかりです。

 

歩きなら「ふらっと寄りやすい」、車なら「車が止めやすい」がキーになる

というわけで、駅ナカが流行るのは当然といえば当然なわけですが、その中でも人のあふれている場所とそうでない場所があり、よくよく見てみると、人が「滞りやすい何か」「人が停まりにくい何か」があります。

 

それが店の前のベンチ1つであったり、看板であったり、ちょっとした広場であったり・・・。

以前は、その何かは不変で、努力ではどうにもならないものと思っていましたが、前述の場所が「美味しいラーメン屋」として人気を集めていると聞き、何が「滞る」原因になっているのか、とても気になっています。

 

【2018年1月21日 追記】

久しぶりに田舎に帰って見てみると、そのラーメン屋さんもつぶれていました。。。
聞いたら、ブログを書いたあと、別のお店になって、また潰れていたようです。

飲食店は、賃料に対して、「客単価×客数ー原価」である程度の収益見通しがたつので、そこがずれていたという可能性もあるかもしれませんが……。

あとは、国道と平行して走るもう一つのバイパスが開通し、車の流れがそちらに奪われたという要因もあるかもしれません。
この記事を書いたあと、知人が飲食店を始めたことを知ったので、都内のリアルな飲食店の状況についても詳しく聞いてみたいと思います。

 

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Comment

  1. アジケト より:

    渡さん 最後の疑問の考察もよろしく。気になる~(笑)。

    • 小林 渡 より:

      アジケトさん、ありがとうございますー。今度ラーメンの味も含めて考察したいと思います(笑)。
      新たなバイパスができたことで流れが変わったのではないかと推察しています。

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