「編集スキルを応用した」大掃除のコツはこれだ!(長文)
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あれこれ思考してみる 大掃除, 小沢昭一, 捨てる, 編集
いよいよ2012年も大詰めです。
TwitterやFacebookでは、仕事納めの済んだ人もちらほら。
仕事がすんだら家の用事……、ということで、大掃除に追われている人もいるかもしれません(年賀状もかな)。
ホコリをぬぐったり、窓を拭いたり、ぞうきん掛けをしたりと、大掃除でやることはいろいろあります。
しかし、これらはまだ序の口。
何といっても最大の山場は「モノを捨てる」ことではないでしょうか。
しばらく前に『断捨離』という本がベストセラーになりましたが、裏を返せば、世の中にはそれだけ「捨てられない人」があふれているということの証明です。
日本が世界に誇る(?)「MOTTAINAI」精神や、モノのなかった時代に育ったことのトラウマなど、個人差はあるものの「捨てる」ことに抵抗を感じる人は少なくありません。
が、しかし
我らが日本には、「俳句」や「枯山水」など、捨てに捨てまくってできた文化もあるのです。
そこで、今回は、故小沢昭一先生への追悼の意を込め、小沢昭一の小沢昭一的こころ風に『大掃除の難敵である「捨てる」についての考察だぁ〜』(合掌)
☆ ☆ ☆(三味線演奏中・・・)☆ ☆ ☆
年の瀬になり、街中がクリスマス一色かと思えば、翌日にはスーパーの特売コーナーがケーキから鏡餅に変わるというのが、日本の正しい師走の姿なんですが、宮坂家もご多分にもれずクリスマスから正月へと順調に向かっております。
奥方「あなた、何ゴロゴロしてるの。はやくツリーを片付けてちょうだい」
昨晩は、会社の仕事納めでしっかり飲み過ぎてしまった宮坂お父さん。
部長につきあって3軒目はしご。終電逃してタクシー帰りは、お財布にも二日酔いにもつらいんであります。
午前中くらい寝かせてくれよと、のど元まででかかりましたが、そこはぐっと飲み込んで立ち上がります。
宮坂さん「んー、これはどこへ片付ければいいんだ?」
奥方「2階の物入れよ! 今日は大掃除なんだから、2階の部屋のあなたの荷物もきれいに片付けてください!」(ピシャッ)
ツリーを抱え階段を登る宮坂お父さん。
ふと枝に目をやると、星やトナカイの飾りに混じって、紙がぶら下がっております。
宮坂さん「おいおい、七夕じゃないんだぞ、七夕じゃ。クリスマスツリーに短冊つけてどうすんだ、おい」
そう言いながら、短冊へ目をやると、『サンタさん、パパにかみのけをプレゼントしてください』なんて書いてあります。
このところすっかりさみしくなった頭頂部を心配した娘が飾ったんでありますが、こうして文字に書かれると、グサッとくる宮坂お父さんであります。
そそくさとツリーを物入れにしまい、さっそく自分の荷物を片付けることにしましたよ。
ふだん、家の中は奥方の支配下に置かれておりますが、この2階のスペースだけは宮坂お父さんの自由にできる場所なんであります。
とはいっても、たたみ一畳もあるかないかのネコの額みたいなもんですが、それでもここだけは譲るまいと、奥方の小言にも耐え忍んで宮坂お父さん、散らかし放題、もとい、荷物を置いております。
宮坂さん「さて、何から片付けようか。うん、この雑誌は大事なことが書いてあったからとっておこう。この本も今は絶版だっていうしな」
そういって、しまおうと思った本棚には、すでに本があふれんばかりに並んでおります。
宮坂さん「このカバンはちょっと破れてるが、まだ使えるし、このネクタイは柄がイマイチだけれど、れいこママからもらったもんだしな・・・」
1つ1つ物を手にしては、思い出にふけり、もとあった場所へ戻すということを繰り返しておりましたら、あっという間に日が暮れてしまいましたよ。
我に返って顔を上げた宮坂さんの前には、目を三角にした奥方が仁王立ちしていたんだそうです。。。
☆ ☆ ☆(ファゴット演奏中・・・)☆ ☆ ☆
【本家はこちら・・・】
といった具合で、宮坂お父さんに限らず、モノにまつわる記憶や、思い出などから、物の整理をする際に、「捨てる」ことを躊躇してしまう人は多いのではないでしょうか。
中でも、「まだ使える」という思いは、モノを大切にするという点からしても、「捨てる」というハードルを相当高くする要因だと思います。
ところが、ふだん編集仕事で使っているスキルを応用することで、誰でもすんなり「捨てる」ことができるようになります。
【編集スキルを応用した『捨てる』コツ】
1)スペースに制限を設ける
これは、モノの置き場、置く場所に限界を決めるということです。
例えば、本だったら、本棚に収まるまでの本しか置かない > あふれる分は「捨てる」。
例えば、服だったら、タンスやクローゼットに収まる分しか置かない > あふれる分は「捨てる」。
ということです。
紙の印刷物であれば紙面やページ数、テレビやDVDなどであれば尺(作品の時間)など、編集によって制作するものには、何らかの「制限」があります。
印刷物も映像も、作品が生まれるまでに取材によって膨大な素材が蓄積されています。それらがすべて貴重で、すばらしいものであったとしても、全部を盛り込むことはできません。ですから、編集者は印刷物にしろ、映像にしろ、泣く泣く素材を捨てていきます。一見非常にもったいないことをしているように思えますが、実はこれによって、冗長な部分がブラッシュアップされ、結果として非常によいものになる場合がほとんどです。もちろん、作品によって適したページ数や、時間はあるので、ある程度、制限の枠が広がることがありますが、仮に、ページ数も時間も増やし放題という作品があったとしたら、間違いなく見ている側が飽きてきます。
これは、家に置きかえるなら、本棚やタンスを買うことで、置く場所の限界は増えるけれども、その分、家のスペース(言いかえれば、別のモノを置くスペース)が圧迫され、結果的に居住空間が影響を受けます。
もちろん、家の広さは人それぞれですし、モノの圧迫感に対する許容度も違うので一概にはいえませんが、いずれにしても、「これ以上は置かない」という限界を決めることからスタートするのがいいと思います。
2)最後に使ったのはいつか?思い出してみる
「まだ使える」という気持ちが沸き起こってきた時に、ふと思い出すといいのがコレです。
例えば、「デザインが時代後れ」とか「ちょっと傷がある」といった理由で、ふだんは使わないけれど、いつか使うと思っているモノ。これらがもし1年以上使われていなければ、間違いなく、次の1年も使われることはないでしょう。
取材などで集めてきた素材をいつまでとっておくのかというのは、編集者にとっても悩ましい問題です。
次に似たような企画があった時に使うかもしれない。そう思っていても、月日の経過によって、技術や情報、関係者など、もろもろが変化していて、結局新しく取材したものを使うということが少なくありません。もちろん、情報の旬などで、立て続けに同じ題材が使われることはありますが、そういう時は頻繁に使っていますので、問題ありません。
いつか使うかも……というのは、大義名分として正しいようでいて、実はその分、全く使わないものを「死蔵させている」という点で要考です。つまり、それがなければ、別のいいものを置くことができたかもしれない、いわゆる機会損失にもなっているからです。
3)予算に見あうかどうか考える
2)で「まだ使える」ととって置いた場合、さらに突っこんで見て欲しいひと言です。
捨てずにとっておくことで、その分のスペースが使えないことや、「ここが片づけばいいのに」と思っている気持ちなどと天秤にかけ、現実と自分の気持ちとをすり合わせます。
例えば、出版物では取材費をかけてどれだけ売り上げに結びつくのか、予算と売上との兼ね合いで企画の可否が決まります。逆に、先に予算ありきで制作にあたることもあります。いくらいいものだと思っていても、売上や広告などがそれに見あわなければ、制作できません。
ですから、「これは貴重なものだから」とモノをとっておきたいという人は、自分の中で天秤にかけて見あうと思えば、居住スペースとの両立を図るために、レンタルコンテナなどを借りるという手もあるわけです。
さて、実は私自身、それほど片付けが得意なわけではありませんでしたが、上記を応用して、ある程度、モノを捨てることができるようになりました。
それでもやっぱり「捨てる」ということには罪悪感が・・・という人にオススメしたい、とっておきのコツをもうひとつ。
それは、
4)引き取り手を探して罪悪感から解放される
リサイクルショップに持っていったり、知人にあげたり、バザーやヤフオクに出品するなどして、モノに第2の人生を与えることで、捨てることへの罪悪感から解放されるという手です。
ということで、今年こそはモノの整理を・・・を思っている方は、参考にしてみてください。
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Comment
お久しぶりです!
只今、年末大掃除の真っ只中です!
私の場合三人部屋なので、強制的に自分の空間は限られているのですが、どうしても楽譜と台本だけは捨てる決心がつきません(T T)
もう絶対使わないだろう物ナンバー1だろうことは、十分にわかっているのですが、この二つは紙の聖域なんですよね・・・。
というわけで、この二つをおいてから、周りのものを捨てるということを繰り替えしているのですが、そろそろ限界が・・・。やっぱり捨てるって難しいですね><
でも、参考になりました!!
サマンサさん、どうもありがとう。
楽譜はたしかにねー。
まあ、専用のBOXを用意して、それ以上増えそうだったら、あふれる分、何かを捨てるっていうのはどうでしょうー。