廣澤虎造とともにたどった浪曲の盛衰〜「江戸っ子だってねぇ 廣澤虎造一代」〜
公開日:
:
あれこれ思考してみる, つれづれ日記 [江戸っ子だってねぇ」, 廣澤虎造, 浪曲
浪曲イベント出演のため、浪曲にまつわる資料に目を通す。
事務所が調布でよかったなと思うのは、こういった芸能関係の書籍、音資料にあたろうと思い立って調布市の図書館に足を運ぶと、大抵のものがそろう点。
これは、市内に日活や角川大映の撮影所、その他、映画関連の施設があるからなのかもしれません。
先週末に読んだのは、「江戸っ子だってねぇ 浪曲師廣澤虎造一代」(吉川潮著・NHK出版)。
廣澤虎造といえば、戦前から戦後にかけ、浪曲が全盛期を迎えた時代の大名跡。
虎造亡き後の浪曲界はなかなかスターに恵まれず、現在に至っていますが、この本は浪曲がキラキラと光り輝いた時代を、彼の名調子とともに描いており、破竹の快進撃を続ける虎造の勢いにページをめくる手が止まりません。
よく練られた構成や、初心者にも分かりやすい浪曲の概要説明、実子への取材によって裏付けられた虎造の光と影など、読み手をひきつけるノンフィクションです。
大道芸にルーツをもっていたため、落語や講談からは、一段も二段も格下に見られていた浪曲が、しだいに人々から求められ、熱狂し、栄華を極めた後、テレビなどに押されて、表舞台から姿を消していく……。
同じくテレビに押され、辛酸を舐めた落語や映画が、21世紀になって息を吹き返していることを考えると、浪曲にも何らかの道があるんではなかろうか……と思っています。
PR
関連記事
-
-
なぜ人はビールを飲むのか?
いいメールが届いた。 シャレではない。 私の尊敬する先輩からだった。 生き方、あくなき好奇心
-
-
Wataru Kobayashi Profile English ver.
高校の同級生で、今、シカゴで映画監督をしている梶野純子さんの協力により、私のつたない英語バージョン
-
-
自分は今、人生の折り返し地点にいるのかもしれない。
今年に入って、お世話になった人が次々鬼籍へと入られていく。いずれも、子どもの頃から、または、大学時
-
-
iPhoneがないとスペック半分の男……
先日、人と話していて 「あっ、それなんだったっけ?」 「ちょっと待って、調べてみますよ…」
-
-
自費出版で楽譜集や曲集本をつくりたい人に必要な、5つのステップ。やはりネックは○○○だった。
このブログにアクセスしてくる検索ワードのなかに「楽譜」や「著作権処理」「自費出版」といったキーワード
-
-
300文字で電書デビューする方法〜要体力、カメラ・筆力少々〜
iPadやKindleの普及で、身の回りにも電子書籍、いわゆる電書が少しずつ浸透してきました。Ama
-
-
出版不況の中、デジタルオンデマンド印刷の普及で出版界はどう変わる?
このところ、本の雑誌社の杉江さんと「おとなの社会科見学」が続いている。 「おとなの」とついているが
-
-
やっときた“Amazon Echo” 到着から開封、設置まで。アカウント統合した人は要注意。
遅ればせながら、AmazonのEcho(エコー)が来たので、その様子を備忘録として。 最後の最
-
-
終戦インパクトー価値観の激変を越えて
アメリカで初の黒人大統領が誕生した。 どうしょうもない人たちがいる反面、ちゃんとした人たちも同じ

