相手の返事をどれだけ待てますか?デジタル時代にぐんぐん短くなる“待てる時間”
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最終更新日:2013/06/16
あれこれ思考してみる, つれづれ日記 Facebook, Twitter, コミュニケーション, メール, レスポンス, 天璋院, 情報伝達, 手紙, 歴史秘話ヒストリア
相手の返事や反応、いわゆるレスポンスに対する待ち時間は、インターネットの普及によって劇的に短くなりました。
ケータイやメールが広まりはじめた時も、相当短くなったと思いますが、今やFacebook、Twitterなど、投稿したら数秒でレスポンスが返ってくることも珍しくありません。
わずか数秒で相手に届くという点では、ケータイ電話もメールも同様です。しかし「会話でやりとりする」ツールであるケータイは、こちらも相手も会話できる状況でないと使えません。留守番電話もありますけれど、レスポンスという点では劣ります。
一方、文字を使ったメールは、場所や時間を選ばない分、電話よりも利がありますが、かつてはパソコンでないと使えなかったり、スパムメールの蔓延で、大事なメールまで迷惑フォルダに入ってしまうなど、問題もあります。
そういう意味では、ケータイでメールができるようになった1999年がひとつのターニングポイントかもしれません。@docomo.ne.jpや@ezweb.ne.jpといった、いわゆるキャリアメールのスタートです。ちなみに、この頃、SoftBankはまだケータイ事業に参入しておらず、当時あったJ−スカイは地域毎に@jp-X.ne.jpというアドレスを提供していました。J−スカイはこの後、ボーダーフォン、SoftBankへと変わっていきます。
さて、このキャリアメールも地震などの災害時にはアクセス集中から使い物にならないことや、パソコンからのメールを受信拒否している人もいたりして、コミュニケーションツールとしての不具合も目立ってきています。特にスマホが普及しはじめてからは、Gmailなどのフリーのメールアドレスや、独自ドメインのメールアドレスなど、今までパソコンを使ってやりとりしていたメールアドレスを使えるようになったことから、キャリアメール側でパソコンからのメールを受信拒否していると、連絡が取れないという事態にもなっています。
そもそも、世界的にはケータイから@のついたメールを送れるのは少数派で、多くは電話番号同士でテキストメッセージを送るSMSが主流です。
iPhoneやGalaxyを突破口にしたスマホの普及により、日本のガラケーが抱えるその当たりのもろもろが一気に噴出した形になりまして、Facebookのメッセージ機能や、TwitterのDM、LINEなど、キャリアや機種に依存せず、パソコン上でもやりとりできるサービスに人々の心が移っていったのは、ある意味、よく分かる話ではないかなと思います。
しかも、Facebookには「いいね!」が、Twitterには「@メンション」や「RT(リツイート)」などがあり、自分の投稿やコメント、ツイートが誰に見られて、誰が気に入り、その後どれくらい拡散していくのか、自分を源流にどんぶらこと流れる様子が目の当たりにできます。
認証欲求を満たすツールとしましては、これ以上ない機能とスピード感が備わっていると言えましょう。
さて、大抵の人が知っているインターネットまわりの話を、なんでつらつら書いたかといいますと、今週みたNHKの『歴史秘話ヒストリア』でハッとさせられたからなのです。
幕府崩壊!嵐の中の愛
~幕末ヒロイン 天璋院・篤姫の真実~
篤姫は、薩摩の島津家から第十三代将軍、徳川家定に嫁いだ正室。
2008年にNHKの大河ドラマになっていたので、概要を覚えている人も多いと思います。
篤姫は、家定亡き後、天璋院(てんしょういん)として仏門に入り、徳川幕府の崩壊と文明開化の新時代を見届け、明治16年に亡くなっています。
この篤姫こと天璋院が、幕末の奇跡とも言うべき、江戸の無血開城に一役買っているのですが、ここでのコミュニケーションツールは「手紙」でした。それも、江戸総攻撃を指揮し、西から行軍を続ける西郷隆盛へむけ、江戸から使いの者が走り、それを手渡ししたのです。。。
西郷の手に親書が渡たったのは駿府、今の静岡あたりといい、使いが江戸を発って数日以上が経っていました。なんというアナログ(当然ですが)。
この伝達手段を考えるに、まず、きちんと手紙が相手に届くかどうかも不確かですし、もしきちんと届いたとしても、その場で返答もしくは返事をしたため返す確証もありません。
ヒストリアでは、手紙を受け取った西郷が天璋院の苦悩を知り、泣き崩れて江戸総攻撃を中止したとされていますが、そのレスポンスを天璋院が得ることができたのかどうか、それは親書を送ってからどれくらい経ってのことなのかも不明です。
時代が違うと言ってしまえばそれまで。
その当時は、自分で会って話すか、手紙を人に託すことしか、意志を伝える手段がありませんし、天璋院のようなクラスの人たちは、簡単に遠出をするわけにも行きませんから、手紙が唯一の伝達手段だったのです。
レスポンスに1週間、1か月、時には数か月ということもあったでしょう。
さて、翻って現代。
デジタルとインターネットによって、レスポンスの遅い&確認できないアナログな通信手段はことごとく駆逐されてきています。

今や伝統のように言われている「年賀状」も、もとは元旦に直接相手の家に伺って新年の挨拶をしていたものを簡略化したもの。そもそも、郵便事業が始まったのも明治に入ってからなので、どんなに遡っても160年ほどの歴史。メールなどのツールに取って代わられるのも仕方がないといえば、仕方がないと思う。
それに伴い、レスポンスに対しての待てる許容時間も短くなっているのは間違いありません。
それも、使っているコミュニケーションツールによって隔たりがあるはずです。
Facebook、Twitterなど、ほぼリアルタイムな情報コミュニケーションを日常的に行っている人と、「おれはケータイ持たないよ」という人の間に存在する、くらくら目眩がするほどの意識のギャップ。
識字率や簡単な計算能力など、日本の人々のレベルは、国際的にみれば比較的均質だとされていますが、この先、個々の情報伝達に対する考え方や、ツールを使いこなす能力には大きな差が開いていくのではないかな・・・とボンヤリ思ったりします。
このブログのイラストは「かわいいフリー素材集 いらすとや」さんからお借りしました。
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