*

攘夷気分

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


中国漁船事件が勃発、ほんとに中国っていうのはとんでもないし、日本政府の弱腰には怒り心頭だ!
私を含めて今そう思ってる人は多いはず。
こんなときこそ、「攘夷」の気分を実感する絶好の機会だ。
それで、評判のよい新旧の幕末小説を選んで読んだのに、三冊とも四分の一もいかずに挫折してしまった。
幕末は登場人物が多すぎ、事情もひじょうに複雑なので、
どの小説も説明ばかりで話がてんで進まない。
幕末小説で何か面白いものはあるんだろうか。
欲求不満が高じて、先日お会いした福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)を再読。
心が洗われるようであった。
幕末がダメなら、日露戦争のポーツマス条約の話や太平洋戦争開戦の話などが
「攘夷モノ」として今読むのにふさわしいかもしれない。
当時の大衆とマスコミは、今の私たちと同じ気持ちだったと思うのだが。

関連記事

no image

帰国、暑い、その他

タイより帰国した。 みなさんから聞いていたとおり、暑い。 チェンマイはもちろん、バンコクも比較になら

記事を読む

no image

乃木坂☆ナイツで金メダリストと

今日も、というか今日こそ、アブディンと「トライデム」の練習。 今週末に、ちょっと遠乗りをする予定に

記事を読む

no image

「移民の宴」ソマリ篇?

長生きはするものである。 かつてレトルトカレーを「めんどくさい」という理由で温めずに食っていた

記事を読む

no image

ゾウ本、着々と

本の雑誌社の杉江さんと打ち合わせ。 ゾウ本(「辺境の旅はゾウにかぎる」)の製作が着々と進んでいる。

記事を読む

no image

ワセダ復帰へ

前回、「野々村荘は人気物件で、空き部屋はまったくない」と書いたのに、 その翌日、大家のおばちゃんから

記事を読む

no image

部長命令、下る!!

エンタメノンフ文芸部の活動内容をひた隠しにしてきたが、 一昨日更新のタマキング「スットコランド日記」

記事を読む

no image

角幡唯介はノンフィクション界の村上龍

昨日は東北から帰った直後だったせいか、いつになく「正論」を述べてしまった。 現地に一週間ほど行って「

記事を読む

no image

ミャンマーの伝奇小説「マヌサーリー」

 ジャズとプロレスを小学生のときから愛す義姉・高橋ゆりが(とついに名前が出てしまったが)日本語に訳

記事を読む

no image

福島県の今

3日、福島県へ。 原発から30キロの最前線、田村市のムーミン谷(仮名)を訪問。何の緊張感もなく、ふつ

記事を読む

no image

ハサミ男、驚愕のラスト

前々から気にはなっていたが、読んでいなかった殊能将之『ハサミ男』(講談社文庫)を読んだ。

記事を読む

Comment

  1. コシチェイ より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 N05A(c100;TB;W24H16)
    確かに…(/_\;) 
    普段は平和主義なボクも「この野郎!」って感じでしたよ。でも、ここで怒りに身を任せると後で後悔するかも知れないので、何かしら笑い処を見つけてみよう、と思います。

  2. NEGI より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; InfoPath.1; InfoPath.2; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    幕末小説! 佐々木譲さんの『武揚伝』(中公文庫)が文句なしに面白いです。

  3. コシチェイ より:

    AGENT: DoCoMo/2.0 N05A(c100;TB;W24H16)
    またおじゃまします。
    司馬遼太郎の「竜馬がゆく」をお薦めします。複雑でややこしい幕末を、視点をわざと狭めて坂本竜馬だけにスポットを当てることで、分かりやすくしているので。ざっくりと幕末を知るにはちょうど良いのでは…あと、みなもと太郎先生のマンガ「風雲児たち」とか。半端なく長いけど。

  4. 一読者 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    高野先生が日本のために腹を立てるのがちょっと意外な気もしたんですが、考えてみれば大国の横暴に苦しむゲリラを応援してきたんだから当然ですよね。
    竜馬は司馬先生の脚色が多くて、実際の業績はたいしたことないんじゃないかと思うんだけど、日本中旅して重要人物には片っ端から会っていて、彼の人生が幕末ドラマの一典型なんだろうと思います。キャラクターも明るくていいし。
    会津士魂なんか読むと、全く逆の立場からの幕末描写なんですけどね・・。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年11月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
PAGE TOP ↑