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次にブレイクする作家

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様


 今月8日発売の「本の雑誌」(7月号)に、久しぶりに私の名前が出た。
 「次にブレイクする作家はこれだ!!」という特集で、私も末端のほうに名を連ねていた。
 実をいえば、私は十年以上も前から、「もうすぐメジャーになる」とか「ビッグになるのは時間の問題」とか周囲の人々に言われてきた。
「ブレイク前夜」と言われてからも早三年くらい経過している。
 私の夜は誠に長い。
 てなわけで、今さら「次にブレイクする」と言われても新鮮味は皆無なのだが、出版界に影響力大である「本の雑誌」にまでそう書かれると、これはもう、「永遠のブレイク前夜」にお墨付きがついたような、力強い諦念を感じる。
 同誌では、編集後記とも言うべきコーナーでも、「高野秀行氏の本にハマっています」と記されていた。杉江さんという編集者の方らしいが、一週間で私の本を全部「読み干した」とか。
 しかし、だいじょうぶ。
 今こそ一時的に若干の盛り上がりを見せてはいるが、また潮が引くように、売上げは下がっていくはずだ。もう十年も同じ調子なのだから、これは天体の運行にも似た安定感がある。
 本人が言っているのだから間違いない。
 周囲の無責任な期待に惑わされず、「世界的に売れない作家」へ向かって地道に歩むのみである。
 そうでないと、マレーシアの話が続かないし。
(つづく)

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Comment

  1. りーだー より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)
    おかえりなさいませ。
    なんだか笑っちゃいました。
    『世界的に売れない作家』……ですか。
    高野的ポジティブマインドなんでしょうかね(笑

  2. 杉江@本の雑誌 より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.21; Mac_PowerPC)
    初めまして、本の雑誌社の杉江です。
    「本の雑誌」をお読みいただけたようで、
    ありがとうございました。
    「世界的に売れない作家」&
    「永遠のプレイク前夜」なんて自虐的な…。(笑)
    しっかり売れるよう応援していきますので
    次作楽しみにお待ちしております。

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    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
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