大久保小学校に未来をみた
公開日:
:
最終更新日:2012/05/28
高野秀行の【非】日常模様
今週も忙しいような、ぼんやりしていたような、なんとも言えない気分のまま過ぎた。
印象に残ったのは、大久保小学校の見学。
片親か両親が外国人という生徒が全校の85%をしめるという、超・国際派学校と聞き、
行ってみたら、国際云々の問題を超えていた。
日本の初等教育のモデル校になっているらしいが、レベルの高さに驚いてしまった。
これをモデルとするということは、文科省の方針も確実によい方向に行っていると思う。
ちなみに、キーワードは「探求」であり、先生が与えた課題をやったりあらかじめ用意された答えを見つけるのでなく、自分で問題意識をもってテーマを見つけ、先生も知らない結果を求めていくことが、言語習得や判断力の発達にひじょうに重要なんだそうだ。
探求の一環として「探検」という言葉も頻繁に使われていた。
ひじょうに好ましい傾向である。
きっとこの子供たちが大きくなる十年後には、アヘン中毒になったり、インドに入国禁止になったりする若者が激増しているにちがいない。
ま、つまらない冗談はさておいても、日本はまだまだ捨てたもんじゃない。
学校や役所は昔とは明らかにちがってきている。
今、日本では過去十年、二十年の負の遺産が噴出しているが、この間にも今後十年、二十年で花咲く
財産が積み重ねられていることを確信し、明るい気持ちになった。
☆ ☆ ☆
「本の雑誌」3月号が届く。
「冒険本・探検本特集」である。
私と角幡唯介の対談はさておき、すごい原稿が連発していて、度肝を抜かれた。
くわしくは次回にするが、これは絶対に今のうちに買って読んだほうがいい。
単行本にも収録されないだろうしね。
関連記事
-
「倒壊する巨塔」は訳が素晴らしい!
ローレンス・ライト著、平賀秀明訳『倒壊する巨塔』(白水社)を読んだ。 素晴らしい本だった。 「イス
-
日本の中世人と現代ソマリ人の共通点と相違点
『謎の独立国家ソマリランド』の感想を述べたツイートに、清水克行『喧嘩両成敗の誕生』(講談社選書メチエ
-
未確認思考物隊の新テーマ
保江邦夫『武道VS物理学』(講談社α新書)はあまりに凄い本だった。 癌を患ったひょろひょろの世界的
-
タイの懐メロを熱唱してしまう
こちらに来て初めて飲み会に行った。 「アジアの雑誌」編集長の夢野狂作夫妻、同誌で辺境レポー
-
ミャンマーでまた政変?!
さあ、「ビルマロード」へ行くぞ!と気合を入れ、さらに今年末には「イラワジ河ほぼ全流下りをやるぞ!」
-
また「テレビみたい」と言われるんだろう
日曜日の朝刊のテレビ欄で知ったのだが、 「ウルルン」の後番組として「地球感動配達人」とかいう番組がは
-
そんなときはワッツラヴ
昨日は愚痴めいたことを書いてしまった。 すこし反省している。 ま、気分が落ち込んだときはワッツラヴ
-
本物のダービーをつくる方法
イビチャ・オシム『考えよ!』(角川ONEテーマ21)を読む。 例によっていろいろな提言に満ちている
- PREV :
- 踊るダルビッシュの謎
- NEXT :
- ヤノマミ読書VSサバイバル登山家