*

やっぱり全然ダメ…

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

前回のつづきである。
でも、自分がそんな間違いをするのがやっぱり不思議で、
帰宅するなり、念のため、五味康祐の『秘剣〜』を手にとり、確かめてみる。
すると、驚いたことに、そこにもちゃんと「上泉武蔵守」と書かれてるじゃないか!
時代小説の大家がこんな重要人物の名前を誤るはずがない。
調べてみたら、やっぱり正しかった。
上泉信綱は初め”伊勢守”だったが、その後官位が変わり、”武蔵守”になったらしい。
いやあ、知らなかった。
剣豪として常に官位がつけられて呼ばれる人は上泉信綱くらいで、
しかもいつも「上泉伊勢守」と書かれているから、てっきりそれだけだと思っていた。
しっかし、『秘剣〜』を読んだとき、そしてそのあと原稿を書くために引用したとき、
ふつう「あれ?」と思うはずだ。
どうして気づかないのか。
やっぱりどうかしてる。
間違いじゃなくてホッとはしたが…
一つ、上泉信綱に二通りの呼称があるのを知らなかったこと、
二つ、『秘剣〜』の読書中と引用中、それに全く気づかなかったこと、
三つ、確かめる前にあわてて落ち込んでしまったこと。
いずれをとっても、プロとして全然ダメなのであった…。

関連記事

no image

危険の意味

『アフリカにょろり旅』(講談社文庫)の著者、青山潤氏(東大特命準教授)と対談。 一年のうち3,4ヶ月

記事を読む

no image

昔の縁

仕事というより雑事に追われて ブログを書く時間もなかなかとれない日々が続いている。 昨日は稲城市で上

記事を読む

no image

今明かされる「野々村荘秘話」

  新国劇の島田正吾が亡くなった。  「新国劇」など、私には何の関わりもないと思うだろうが、多少の縁

記事を読む

no image

尼僧が行く!

誰か人を別の人に紹介するのがとても好きである。 昔から、自分には彼女がいないのに、友人に女の子を紹

記事を読む

no image

相模原の秘境

取材で相模原の郊外へ行く。 畑の中にポツンとあるちっぽけな施設に、すごい人物がいた! ほんとうに凄い

記事を読む

no image

グレート関野6歳説

 探検部の大先輩であるグレートジャーニーの関野吉晴略して「グレート関野」に会い、都内某所にある秘密ス

記事を読む

no image

大野更紗ができるまで

火曜日、『困ってるひと』が発売されて初めて大野更紗さん宅を訪れた。 思えば、彼女から「何か書きたい

記事を読む

no image

霊感はない、ただ見えるだけ

工藤美代子『もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら』(幽ブックス)という本をもらっていたこ

記事を読む

no image

釣りに失敗する

本の雑誌の杉江さんに新宿で会ったので、昨日思いついたばかりの「儲け話」をもちかけてみた。 すると、彼

記事を読む

no image

やっぱり見つからない…

月刊『SWITCH』の読書欄で『怪獣記』の著者インタビューを受ける。 行きつけの書店で「旅」に関する

記事を読む

Comment

  1. KOW(つ∀`) より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    んあ〜
    うちも、某KOEIの立身出世ゲーム攻略本の
    原稿書いたことがあるのですが
    そこまでリサーチはしてなかったですねぇ。
    書評仕事はしたことないけれど(mixiのレビューとかはしますが)
    大変ですね。

  2. pろすちつちおn より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.1.4322)
    大丈夫でr巣よ
    片野さんはプロ地うより巨大なアマチュアセルからw

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年3月
    « 3月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
PAGE TOP ↑