*

フーテンのマハさん

公開日: : 最終更新日:2012/06/01 高野秀行の【非】日常模様

「小説すばる」の「海辺で読みたいブックガイド」という企画で、先日『楽園のカンヴァス』(新潮社)で山本周五郎賞を受賞した原田マハさんと対談をした。

ふつう、山周賞受賞直後の作家と対談なんかできない。私との対談が決まった直後にマハさんの受賞が決まったから可能だったことで、本当にラッキーだった。

マハさんは「フーテンのマハ」を自称し、なんと一年のうち半分弱を旅に費やして

いるという。そのほとんどは国内か欧米で美術館をめぐったり、小説のための取材を行っているそうで、「中央部」へはほとんど足を向けない私とはまるっきり守備範囲がちがうのだが、それでも「旅好き」「犬好き」「腰痛持ち」など共通項はたくさんあり、対談とその後の会食で、5時間ノンストップでおしゃべりをしてしまった。

 

その8割はマハさんが喋っていたのだが、話が異様に面白いので、どうしても聞いてしまう。特に、美術界の裏話はちらっと聞いただけでもすごい。『楽園のカンヴァス』と同レベルの作品を10冊以上書けるネタがあるんじゃないか。

誰の追随も許さない自分の専門を持っているというのは、本当に強い。あれもこれもと手を出して何もかも中途半端の自分としては、考えさせられるものがあった。

関連記事

no image

ペ・ヨンジュンが好きな理由=2位.肉体?

 早大探検部の後輩で、かつてワセダの同じアパートに住んでいた男と久しぶりに飲んだ。 彼はいまテレビの

記事を読む

no image

紳士の日記

「紳士の日記」を標榜するバンコク発の月刊風俗誌「G-Diary」の100号記念永久保存版が送られて

記事を読む

no image

サバイバルには向いてない

産経新聞用の書評でベン・シャーウッド『サバイバーズ・クラブ』(講談社インターナショナル)という本を

記事を読む

no image

インドのビザがとれる

インド謎の怪魚ウモッカ探しだが、いいアイデアは何も浮かばない。現地の漁師に聞いて、網を毎日覗くくらい

記事を読む

no image

サドゥはバカか

インドにはサドゥと呼ばれる「聖者」がいる。 ヨガをしたり、瞑想したり、 大麻を吸ったり、すっぽんぽ

記事を読む

no image

戯作者とGダイ

井上ひさし『京伝店の煙草入れ』(講談社文芸文庫)を読む。 (「煙草」は字がちがう。「煙」が火へんに

記事を読む

no image

手がもぞもぞ

ジュンク堂新宿店で上映会+サイン会。 ここで本を見たり買ったりする以外に自分が何かするというのは な

記事を読む

no image

半分以上、東京にもどる

昨日の朝、イサーン(東北地方)のウドンターニーから寝台列車でバンコクに到着した。 バンコクは一ヵ月

記事を読む

no image

大感謝デー

金曜日は『謎の独立国家ソマリランド』大感謝デー。 まずは本の雑誌社の杉江さんと一緒に多磨霊園へ

記事を読む

no image

野口英世は史上最強の日本人探検家!

高野秀行公式サイトへようこそ。  ここでは私の日常模様を書くことになってるのだが、私の日常は「飲む、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • アクセス数1位! https://t.co/Wwq5pwPi90 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 先日、対談させていただいた今井むつみ先生の『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(秋田嘉美氏と共著、中公新書)が爆発的に売れているらしい。どんな内容なのかは、こちらの対談「ことばは間違いの中から生まれる」をご覧あれ。https://t.c… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』。売り切れ店続出で長らくお待たせしておりましたが、ようやく重版出来分が店頭に並び始めました。あっという間に10万部超え、かつてないほどの反響です! ぜひお近くの書店で手に取ってみてください。 https:/… ReplyRetweetFavorite
    • RT : 7月号では、『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)が話題の高野秀行さんと『ムラブリ』(同上)が初の著書となる伊藤雄馬さんの対談「辺境で見つけた本物の言語力」を掲載。即座に機械が翻訳できる時代に、異国の言葉を身につける意義について語っ… ReplyRetweetFavorite
    • オールカラー、430ページ超えで本体価格3900円によくおさまったものだと思う。それにもびっくり。https://t.co/mz1oPVAFDB https://t.co/9Cm8CjNob8 ReplyRetweetFavorite
    • 文化背景の説明がこれまた充実している。イラク湿地帯で食される「ハルエット(現地ではフレートという発音が一般的)」という蒲の穂でつくったお菓子にしても、ソマリランドのラクダのジャーキー「ムクマド」にしても、私ですら知らなかった歴史や… https://t.co/QAHThgpWJX ReplyRetweetFavorite
    • 最近、献本でいただいた『地球グルメ図鑑 世界のあらゆる場所で食べる美味・珍味』(セシリー・ウォン、ディラン・スラス他著、日本ナショナルジオグラフィック)がすごい。オールカラーで写真やイラストも美しい。イラクやソマリランドで私が食べ… https://t.co/2PmtT29bLM ReplyRetweetFavorite
  • 2024年9月
    « 3月    
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30  
PAGE TOP ↑