*

イトコの息子と探検部の後輩

公開日: : 最終更新日:2012/05/28 高野秀行の【非】日常模様

盲目のスーダン人・アブディンの親しい友だちで
外語大のアラビア語学科在籍中にスーダンへ一年間留学したという変わり者がいる。
そして、その変わり者が私のイトコの息子Fだと最近判明した。
しかも、そのFが今年入社した会社の同じセクションに私の探検部の後輩Aがいた。
一読しただけでは把握できないかもしれない。
蜘蛛の巣のように偶然がからまった人間関係だ。
「世界はせまい」という陳腐な言葉を使うしかない。
というわけで、イトコの息子Fと後輩A、それに他の探検部の後輩たち2人と一緒に飲む。
残念ながら、アブディンはまだ試験中なので参加できず。
3人の探検部の後輩は私よりみんな10歳以上年下なので、顔もよく知らない。
ただ、現役時代にやっていたことはおもしろい。
チベットのヤルツァンポ川を一ヶ月も雪をかきわけながら「沢登り」をしていたという奴。
モンゴルの川からシベリアのバイカル湖までカヌーで漕いで行ったはいいが、あまりに蚊がすごくて、長袖長ズボンに軍手、顔にはネットをかけ、休憩時でもネットごしにお茶を飲んでいたという奴。
ギアナ高地探検に行った奴は、学生時代、実家のある埼玉からワセダに自転車で通っていて、大手証券会社に就職後も大手町に自転車で通おうとしたが、「通勤に自転車を使っちゃいけないって会社がいうんですよ」と口をとがらせていた。
通勤距離はちなみに往復50キロだという。
イトコの息子Fも、わざわざキャリアアップにつながらないスーダンなんかに留学しただけあって、似たようなメンタリティの持ち主。
「人がやらないことをやればいい」「面白ければなんでもいい」という、探検部ワールドに一瞬で馴染んでいた。
彼らは今、みな社会人だが、まだ若くて独り者だし、これから会社をやめて、探検に出かけそうな連中ばかり。
いやいや、私も連中に負けてられないな。

関連記事

no image

『異国トーキョー漂流記』新装版

『異国トーキョー漂流記』(集英社文庫)が今年のナツイチ(集英社文庫の夏の百冊)に 入るにあたり、カ

記事を読む

no image

サッカーファンになる予定

今月からサッカーファンになるべく日夜精進している。 読書もサッカー本。 今読んでいるのはイアン・ホ

記事を読む

no image

今明かされる「野々村荘秘話」

  新国劇の島田正吾が亡くなった。  「新国劇」など、私には何の関わりもないと思うだろうが、多少の縁

記事を読む

no image

マイブームじゃなかった…

依然としてマイ・ブームとして続いている「自閉症モノ」、 3冊目に読んだやはり泉流星の『僕の妻はエイリ

記事を読む

no image

だから「吸うな」「飲むな」

 金曜日、アメリカで日本の小説やノンフィクションを翻訳出版しているバーティカルという出版社に売り込

記事を読む

no image

豚に乗った少年

千葉の内澤邸へ愛豚を見に、杉江さんと一緒に行ってきた。 でかいという話は聞いていたが、迫力は想像以

記事を読む

no image

天地明察

冲方丁(うぶかた・とう)『天地明察』(角川書店)を読了。 いやあ、素晴らしい。 新しい日本独自の暦

記事を読む

no image

失われた聖書男を求めて

A.J.ジェイコブズの『聖書男 現代NYで-「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記』(阪急コミュ

記事を読む

no image

ブックストア談は凄い!

「異国トーキョー漂流記」を大売りだししているユニークな書店「ブックストア談・浜松町店」へ行き、御礼

記事を読む

no image

宮田珠己がソマリランドとソマリアに迫る!

またまたイベントのお知らせです。 『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)発売記念 高野秀

記事を読む

Comment

  1. シャムオン より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    ちょっとお聞きしたいのですが、
    90年頃、探検部の部員は何人くらいだったのでしょうか?
    また、ビルマのワ族に興味を持っていた部員はかなりいたのでしょうか?

  2. タカノ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    部員の数はよくわかりませんが、20〜30人くらいだったのではないでしょうか。
    ワ族に興味をもっていた部員はいなかったと思います。
    カチンやカレンのところに行っていた者はいましたが。

  3. シャムオン より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    有難うございます。
    もう少しお聞かせください。
    高野さんはシャン州のワ族の存在をいつ、何によって知ったのでしょうか?
    最近、ワ族にちょっと興味がありググッてみたら、ミスコンのワ族代表の女の子の画像(2枚)を見つけました。この子なら ”首狩られたいなー”
    見たことありますか? 雲南省の女の子ですけど。

  4. タカノ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    存在はカレンやカチンのところに行っていた後輩から聞いてました。
    1992年ごろでしょうか。
    「ワとだけは関わらないほうがいい」という言い方でしたけど。
    ミスコンについては、中国では少数民族もよく参加しているという話なので、
    まあ、ワの娘が出ていても不思議はないでしょう。

  5. シャムオン より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    イーレーさん(雲南省蒼源生まれ)の写真があるサイトです。
    http://www.recordchina.co.jp/group/g4883.html
    私はちょっとショックを受けたんですけど。

  6. シャムオン より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    ミスコンに関してはさほど大事ではないのだが、
    90〜92年頃、「早稲田の探検部の者ですけど、こんど中国からワ州に入る予定なんですけど、、、」と私の自宅に電話が、私は「中国側のワの事は分からない、、、、」
    あの時の電話の主が後に辺境作家に成ったのだろうか。

  7. タカノ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    それは不思議ですね。
    私がワ州に入ることになったのは95年のことです。それ以前には考えてみたこともありませんでした。
    それに、ワ州に入るということを友人以外の日本人に言ったり相談したりした記憶もありません。
    私でないことは間違いないですが、では、いったい誰だったのでしょう?
    それにしても、シャムオンさんはどういう方ですか?
    ワ州のことに通じてらっしゃるようですが…。

  8. シャムオン より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    図書館で「ビルマ・アヘン王国潜入記」を見つけ「ワか?懐かしいな」と思いプロローグを見てみた。
    ”中国から””探検部””95年””計画から数年の歳月が”こんなフレーズから「あれっ あの探検部の学生かな」と思い、ネットで検索して見ると、早稲田大学探検部出身でブログもある事を知った。
     そして、このブログで幾つかの質問をしてみました。
    私が確実に記憶している彼との電話の内容は以下:
    1.早稲田大学の探検部の学生 名前は?
    2.これから単独で中国からワ州に入る
    3.ワ族に関する情報を聞かれたが、”中国側の事は分からない タイ国境のUWSAなら少し”と答えた。彼はタイ国境の飛び地には関心が無かった。或いは知らなかったのか
    4.”誰から私の電話番号を聞いたのか”に対しD氏と答えた
    (D氏は私がバンコクで常宿としていたゲストハウスで2度程会ったことがあり、日本でも会った事がある。カレンのゲリラの写真を見せてもらった事がある。またそのゲストハウスは91年頃から早稲田の探検部の何人かも利用している)
    彼のワ州に入る目的については、はっきり憶えていないが”村での生活?”憶えているのは私がその目的に”はっ””えっ”と思った事だけ
    電話があった時期は90年からと書いたが間違え、92年夏以降、ただ95年まではいっていないと思うが。

  9. タカノ より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)
    うーん、正直言って、見当がつきません。
    私でないことだけは確かです。
    繰り返しになりますが、私がワ州行きの計画を立てたのは95年になってかだです。
    それに、95年に「探検部」を名乗ってません。
    92年に大学を出てからは「フリーのライター」を称しています。
    また、私はタイではチェンマイをベースにしており、バンコクには何もコネクションをもってませんでした。
    (特派員の先輩が一人いましたが)
    常連がいるようなゲストハウスにも泊まった覚えはありません。
    全く不思議な話ですが、誰だかわからないですね。

  10. アジケト より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    メモリークエストに高野さんが応募したら?
    謎の探検部員を探せ。

  11. シャムオン  より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    いやー、予想外に不思議な話しに成ってしまったな。
    電話と本の内容、そして探検部でワ族に興味があったのは一人だけ
    となると、電話の主はてっきり高野さんだと思ったのだが。
    著者よりも、早い時期に、酷似したスキーム、そして同じ探検部(名乗る) 
    D氏に聞いてみれば分かるかもしれないが、
    カレン、カチンへ行った事のある後輩の方ならD氏とは”カレンつながり”なのだが、
    ん〜、分からん。
    貴重なお時間ありがとうございました。

  12. シャムオン  より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727)
    D氏の連絡先は、もう分からなくなってしまいました。
    私は、あの電話の主が誰であったのかは、もう知り得る事はないでしょう。
    高野さんには、非常に不愉快な内容となったことをお詫びします。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

no image
イベント&講演会、テレビ・ラジオ出演などのご依頼について

最近、イベントや講演会、文化講座あるいはテレビ・ラジオ出演などの依頼が

ソマリランドの歌姫、来日!

昨年11月に、なんとソマリランド人の女性歌手のCDが日本でリリ

『未来国家ブータン』文庫はちとちがいます

6月23日頃、『未来国家ブータン』が集英社文庫から発売される。

室町クレージージャーニー

昨夜、私が出演したTBS「クレイジージャーニー」では、ソマリ人の極

次のクレイジージャーニーはこの人だ!

世の中には、「すごくユニークで面白いんだけど、いったい何をしている

→もっと見る

    • RT : 3位『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活 (講談社文庫)』(高野秀行/講談社) 尼:https://t.co/JMJAbhAJZT 楽:https://t.co/4mUnuTJZ7v 日本に住む二百万を超える外国人たちは、日頃いっ… ReplyRetweetFavorite
    • ネトフリでときどき村西とおる監督の実話をもとにしたドラマ「全裸監督」を見てるのだが、妻がなぜかしょっちゅう間違えて「全裸警察」と言う。そんな番組はないっていうのに。あったら見たいが。 ReplyRetweetFavorite
    • そんなレベルじゃなくて直訳調。ウェブに記事をあげたり書き込みしたりするのを「ポストする」なんて言わないだろう、ふつう。 ReplyRetweetFavorite
    • 今読んでる海外ノンフィクション、すごく面白いんだけど、訳が下手すぎ。原文の英語が理解できてないのか、日本語のセンスがないのか、時間がなくてやっつけのまま出版してしまったのか。 ReplyRetweetFavorite
    • RT : 雑誌FRaU最新号の書評コーナーに寄稿しました。「海」をテーマに『海と陸をつなぐ進化論』『タコの心身問題』『日本人の世界地図』を選書。一緒のページのノンフィクション作家の高野秀行さん、モデルのKIKIさん、漫画家の鳥飼茜さんお三方の書評もとっても面白… ReplyRetweetFavorite
    • 著者マルジは女性が人前で男と話をすることさえ憚れるイランから、80年代ドラッグやパンク文化全盛のヨーロッパに1人で移住、人前で平気でセックスする男女を見て絶句するが、読者も絶句だ。 ReplyRetweetFavorite
    • なぜか知らないが、最近新聞に、2005年に出版されたイラン人女性の自伝漫画『ペルセポリス』(マンルジャン・サトラビ著、園田恵子訳/basilico)の広告が出ていたので、気になった再読してみた。12年ぶりに読むと、こちらのイスラム… https://t.co/zzImPg7upE ReplyRetweetFavorite
  • 2019年10月
    « 3月    
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031  
PAGE TOP ↑